本レポートは、2021年3月22日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#263」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
今週、フォルクスワーゲンはPower Dayを開催し、2030年までのバッテリー生産と充電インフラの計画を、昨年9月に開催されたテスラのBattery Dayを模した形で発表しました。その内容は、フォルクスワーゲンが240GWhのバッテリーを生産し、バッテリーのコストを約50%削減し、18,000ヵ所の急速充電ポイントを追加する計画など、ハイレベルなものでした。
プレスリリースでは伝えきれなかったことが、ライブプレゼンテーションの形で表現されました。初期のスティーブ・ジョブズのプレゼン形式に対するアンチテーゼとして、数十人のプレゼンターがそれぞれ30秒の持ち時間で、フォルクスワーゲンのEV移行戦略に自分たちのチームがどのように貢献するかをアピールしました。ARKの見方では、「旧世界のDNA」を持つ企業は、新世界を支配するのに十分なスピードで移行することができないようです。旧世界と新世界のDNAの違いは、多くの場合、指数関数的な成長ではなく、直線的な成長軌道を計画していることです。テスラの2030年の目標は、年間生産量が3テラワットアワーで、フォルクスワーゲンの240ギガワットアワーの12.5倍です。エクスポネンシャル(指数関数的)な世界では、リニアに考える企業は取り残されてしまうかもしれません。
Facebookは一連のブログの中で、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)についてのビジョンを示しましたが、(読めば分かりますが実は)そこに、スマートフォンは含まれていません。代わりに、Facebookは、「拡張現実(AR)メガネ(ARグラス)用の、文脈を認識するAIを搭載したインターフェイス」に焦点を当てています。
そのビジョンを達成するために、FacebookはARインターフェイスを最適化する必要があります。ひとつの選択肢は、人間の手首です。そうです、あなたの手首です!2019年、FacebookはCTRL-Labsというニューラルインターフェースのスタートアップ企業を買収しました。当時、CTRL-Labsは「心を読むリストバンド」を開発していました。ここに古いデモ動画があります。こちらをご覧ください。
今週、Facebookは、この新しい技術が将来のARディスプレイをどのように制御できるかを示すデモを公開しました。-これは絶対見るべきです!
では、なぜ手首なのでしょうか?「手首は昔から時計を装着する場所であり、(新しいデバイスが)日常生活や社会的な状況に合理的に適合することを意味しています。手首は、一日中身につけていても違和感のない場所であり、外の世界と交流するための主要なツールであるあなたの手のすぐ隣にあります。」とFacebookは述べています。
ARが日常生活に浸透するにはまだ何年もかかると思われますが、Facebookは正しい思考のもとでこの課題に取り組んでいるようです。コンピューティングの全ての進歩は、利便性とエンゲージメントを中心に進められてきました。この2つは、インターネットの進化に欠かせない要素です。例えば、マルチタッチに対応したスマートフォンが登場する前は、携帯電話を使うといっても、メールや電話をしたり、ブロック崩しで遊んだり、インターネットを見たりする程度でした。しかし現在では、マルチタッチのような格段の進歩のおかげで、スマートフォンは私たちの主要なコンピューティングデバイスとなっています。
Facebookがそのビジョンを実行に移すことができれば、いつの日かスマートフォンは、洗練されたARグラスやスマートウォッチに取って代わられることになるでしょう。
今週のWSJビデオは、中国のデジタル人民元展開の初期の段階を捉えました。このビデオでは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の利点として、利便性、通貨供給量のコントロール、KYC/AML(Know Your Customer:本人確認/Anti Money Laundering:アンチマネーロンダリング)などが挙げられています。しかし、言葉にならない懸念は、プライバシーにあります。
また、デジタル人民元は、Ant社のAlipayとTencent社のWeChat Payという既存のデジタルウォレットの二強に挑戦することになります。私たちは、加盟店の取引手数料がかからないデジタル人民元口座であれば、二強に対抗できると考えています。とはいえ、PBOC(中国人民銀行)のデジタル人民元研究の責任者であるMu Changchun氏によれば、デジタル人民元はデジタルウォレットとしてではなく、M0マネーサプライとしての役割を果たすそうです。
デジタルウォレットが中国のインターネットエコシステムにしっかりと組み込まれていることを考えると、中国のデジタルウォレットの独占状態を解除することは難しいと考えられます。しかしながら、デジタル人民元が中国のデジタルウォレットのエコシステムの一部になる可能性はあります。それは時間の経過と共にいずれ分かることでしょう。
これまで、プロテオミクス(生物に含まれるすべてのタンパク質の研究)は、臨床診断においてゲノミクスに遅れをとってきました。人体に存在するすべてのタンパク質の集合体であるプロテオームは、約2万個の遺伝子しか持たないゲノムに比べて複雑で解析が困難です。そのため、これまでの分子診断では、病気の検出や治療の指針として、タンパク質ではなく、DNAやRNAを中心に解析を行ってきました。
次世代シーケンシング(NGS)は、安価で拡張性のある正確なDNAおよびRNAの分析を可能にし、分子診断を支えてきましたが、分析エコシステムはより複雑なものとなっています。多くの診断会社は、上流のサンプル前処理と下流のバイオインフォマティクスで能力を差別化し、サンプル中のDNAやRNAの検出を最大化しています。
たちは、プロテオミクスに特化したサンプル前処理およびバイオインフォマティクス企業は、質量分析計(MS)などの既存のタンパク質検出装置を強化することができると考えています。プロテオミクス分野の新興企業であるSeer社(SEER)はその一例です。この分野の他の企業とは異なり、Seer社は新しいタンパク質検出器ではなく、血液サンプル中のさまざまな生命に関連するタンパク質であるプロテオミクスに関連する課題を克服することを目的とした強力なソフトウェアを備えた自動サンプル調製システムを構築しています。
血液中に豊富に含まれるタンパク質もあれば、稀にしか含まれないタンパク質もあり、分析は困難です。Seer社のソリューションであるプロテオグラフは、独自に開発した磁性ナノ粒子を利用しており、低周波のタンパク質をキャッチして放出することで、MSでの検出を容易にします。Seer社のプロテオグラフ・プラットフォームは、Nautilus社(ARYA)やQuantum-Si社(CAPA)のような新しいタンパク質検出器と組み合わせることで、プロテオミクスの分野を加速的に進化させることができると私たちは考えています。
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