本レポートは、2021年3月29日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#264」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
最近のSquareのレポートによると、この1年間で、米国のSquareの加盟店における現金の使用は、総取引額に占める割合が30%台後半から20%台後半へと10%ポイント近く低下し、過去5年間における平均的な年間減少率の3倍の低下となりました。つまり、コロナウイルス危機が、現金離れを3年加速させたと言えます。
2015年以降、FRBの「Diary of Consumer Payment Choice」(消費者の決済方法選択の日誌)が算出した取引全体に占める現金の割合は、以下のように、Squareのデータによるものよりもおよそ10%ポイント低くなっています。この不一致を説明すると、現金は少額の取引を支配しており、これは歴史的に多くのSquare加盟店での支出を特徴づけるカテゴリーだからです。新型コロナウイルスの大流行でいくつかのトレンドが加速したことが、現金からの移行を加速させた理由だと考えています。消費者は、少額取引での物理的な支払い習慣を現金からカードやデジタルウォレットに変更し、より多くの商品をオンラインで注文するようになりました。その結果、FRBの「Diary of Consumer Payment Choice」(消費者の決済方法選択の日誌)において、2020年に現金の使用が全取引の20%を初めて下回ったことが示される可能性が高いです。
消費者が現金を放棄し続けるのであれば、Squareが加盟店と消費者のエコシステムを統合することは容易になるはずだと考えられます。Squareはこれまで、Cash Appのユーザーが加盟店のPOS(Point-of-Sale)デバイスに表示されたCash AppのQRコードをスキャンする際に、支払い取引時の意向を調査してきました。新型コロナウイルスの流行中に現金を捨て、QRコードの有用性を知ったことにより、今後Squareの調査項目に肯定的に答える消費者が更に増えると予想されます。
1960年代、ボストン・コンサルティング・グループの創設者であるブルース・ヘンダーソンは、「ライトの法則」の本質を表す言葉として「経験曲線」を提唱しました。ライトの法則とは、生産台数が累積で2倍になるごとに、一定の割合でコストが下がるというものです。
ヘンダーソンは、技術的に優れた製品の成功には、マーケットシェアが重要であると考えました。消費者が低価格の製品を選択すると、競争力のある企業は生産規模を拡大し、生産台数の累積的な倍増を加速させ、競合他社と比較してコストを低下させるという好循環に陥ります。このダイナミズムは、以下のセクションBで示すように、新製品の初期段階で大幅なマージンの拡大をもたらします。
ARKは、電気自動車が学習曲線の初期段階に入ったと考えていますが、多くの企業はまだコストが価格を上回る導入段階にあると考えています。ARKの考えが正しければ、今後数年間、電気自動車市場のリーダーはマージンを拡大し、他の業界は経験曲線に追いつこうとするでしょう。
水曜日の朝、Bloombergは、中国政府がユーザーデータを監視できるようにするために、Alibaba、Tencent、Bytedanceといった中国を代表するインターネットプラットフォームとの合弁事業を検討していると報じました。公式発表ではなく、地元メディアの報道対象となってはいませんが、この噂は、この分野での次のラウンドの規制強化の恐れを引き起こしました。
同日の朝、SECは、ドナルド・トランプが12月に署名した、米国の監査基準に準拠していない米国上場の中国企業を取り締まる法律「The Holding Foreign Companies AccountableAct」を展開することを発表しました。同法によると、米国は中国政府とのつながりがある企業や、中国共産党の幹部が取締役を務める企業を上場廃止にすることができます。中国の上場ADRは、この新法を遵守するために3年間の猶予が与えられます。
これらの見出しは、中国のテクノロジー関連銘柄、特に米国のみに上場している銘柄に短期的な混乱をもたらしたと考えられます。米国でも中国でも、多くの政策立案者が自国の経済やビジネスの成長に既得権益を持っています。政策によって、一時的にイノベーションのペースが加速したり、妨げられたりすることがあるかもしれませんが、おそらくは自衛本能から、政策立案者たちは双方の交渉のテーブルに戻ってくるだろうと考えます。
がん研究者たちは、個別化医療が患者の予後を良くすると推測しています。カリフォルニア大学では、346件の第1相試験のメタ分析を行なった結果、バイオマーカーを用いた試験では患者の奏効率が30%向上したのに対し、バイオマーカーを用いない試験では4.9%しか向上しなかったことがわかりました。
このような結果が出ていることからも、個人に完全に合わせた治療を行なった場合の奏効率を想像してみてください。科学者たちは、遺伝子だけでなく、腫瘍の微小環境に基づいて個別化された治療法を研究しています。
ミシガン大学では、マウスに移植されたヒトのメラノーマの転移が、ヒトの臨床結果と相関していることを発見しました。腫瘍の成長には数ヵ月を要するため、マウスを転移予測因子として使用することは現実的ではありませんが、今回の試験結果は、遺伝学を超えた個別化されたアプローチへの移行を促すものと思われます。
例えば、オルガノイド(生体外で3次元的に作られた臓器)は、臓器の複雑さを再現し、治療が臓器に影響を与える際の細胞間の相互作用をモニターすることができます。
ARKは、個別化医療の技術革新により、将来的に患者の治療効果が大幅に向上すると確信しています。
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