本レポートは、2021年5月10日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#269」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
中国政府は、バッテリー交換を提供しているメーカーを除くすべてのEVメーカーに対して、価格が45,700米ドル以下の車両に対するEV補助金を発表しました。バッテリースワップ方式を組み込んだ電気自動車は、価格制限の対象外となります。この政策は、NIOのような国内のバッテリースワップ式EVメーカーに有利であり、その戦略を避けていたテスラとは対照的です。
当然のことながら、政府は中国の地場メーカーを優遇していますが、この動きはまた、NIOが支援を必要としていることも示唆しているのでしょうか？私たちは、このような政府の支援は、長期的にはNIOのグローバル展開の野心を損なう可能性があると考えています。
ARKの調査によると、補助金があってもなくても、バッテリー交換に伴う経済性のために、設計上の制約やバッテリーの寿命が短くなることがわかっています。中国政府は、このような最適ではない結果を奨励することで、NIOのグローバルな成功を制限する可能性があります。もしNIOが、競争力のある価格の自動車を提供するための技術革新への積極的な投資の代わりに、補助金に依存している場合はなおさらです。
Cash Appに続き、ソーシャルメディアのバイラル性（口コミで爆発的に広がること）を利用してユーザーの増加を促す企業が増えているようです。当社の調査でも明らかなように、Cash AppはTwitterでアーティストやインフルエンサーのプレゼントを利用して新規ユーザーを獲得し、ブランドを構築しています。
何年もCash App社のマーケティング力に遅れをとっていたPayPal社は、ここ数ヵ月、Twitterで景品を提供していますが、バイラルな成功はあまり見られません。とはいえ、Venmoはソーシャルゲームを強化するのが賢明です。第1四半期の支払い件数は前年同期比で63％増加しましたが、Venmoは、ピアツーピアの支払いから暗号通貨、投資、銀行業へと拡大していく中で、Cash Appのような独創的で積極的な競合他社からその地位を守る必要があります。
米国のデジタルウォレット市場で競合となるのは、チャレンジャーバンクのCurrentです。Currentは、YouTubeで最も成功しているインフルエンサーの一人であるMrBeastとの独占的なパートナーシップを結び、ソーシャルゲームに拍車をかけているとみられます。わずか22歳のMrBeast（ジミー・ドナルドソン）は、大金を寄付することで爆発的な人気を博しています。この30日間で、彼の動画は5億回以上も再生されています。
私たちは、従来のピアツーピアの決済アプリケーション、チャレンジャーバンク、投資アプリケーションの間の境界線が曖昧になりつつあり、その結果、競争が激化し、顧客獲得コストが上昇していると考えています。有機的でバイラルな成長が勝者と敗者を分けることになるかもしれません。当社は、Venmoが米国で最初に成功したピアツーピア決済ネットワークであり、Cash Appがソーシャルネットワークを通じてバイラルな成長をもたらした最初の企業であることを発見しましたが、競争に勝ち続けるためには、できればMrBeastのようなインフルエンサーが規模を拡大し、法外な費用がかかるようになる前に、ソーシャルトレンドやネットワークの内外で創造性を発揮する必要があると考えています。
2015年、国連総会は、2030年までに貧困をなくし、地球を保護し、経済成長を維持し、平和と繁栄のためのインフラを整えるために、協調して17の持続可能な開発目標(SDGs)を策定し、コミットしました。それから6年が経ち、国連はもはや2030年までにこれらの目標を達成できるとは考えていません。
フランチェスカ・ペルッチ国連統計サービス局長によると「進歩が見られるほとんどすべての分野で、進歩の割合やペースを見ると、目標を達成するには決して十分ではありません。」とのことです。この言葉は事実かもしれませんが、進歩のペースを変えるために破壊的イノベーションが果たす役割を見落としています。
私たちは、国連の持続可能な開発目標の達成は可能だと信じています。その鍵を握るのがイノベーションです。今後の白書にご期待ください。
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