本レポートは、2021年11月1日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#293」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
典型的なS字カーブの普及サイクルでは、下図のように新しいテクノロジーが市場に浸透するにつれて成長が鈍化します。Apple社のiPhoneはその好例です。
典型的なS字カーブとは逆に、2013年以降、世界のEV販売台数の伸びは、下図のように60％から推定90％以上に加速しています。
ARKの調査によると、電気自動車の成長が加速しているのは、いくつかの普及曲線が同時に発生しているためであると考えられます。バッテリーのコストが下がり続け、EVが新たな購買層を惹きつける重要な価格帯に到達すると、新たな普及サイクルが始まります。当社の調査によると、今後数年間でEVの価格が2万5,000米ドル程度になったときに、別の大きな普及サイクルが始まるはずです。
先週、Facebook社はそのメタバースを構築する計画を発表しました。その重要性を示すように、マーク・ザッカーバーグ氏は、Facebookのブランド名を「Meta」に変更することを発表しました。ザッカーバーグ氏によると、メタバースは「モバイルインターネットの後継となる」もので、「友達とたむろしたり、ゲームをしたり、仕事をしたり、創作活動をしたりすることができる」空間だそうです。このビジョンを実現するために、Metaは何十億米ドルもの資金を投じて、新しいテクノロジーや体験、特に拡張現実（AR）や仮想現実（VR）を開発し、その規模を拡大していく計画です。
私たちの見解では、まず第一に、メタバースを中心としたリブランディングは、ケンブリッジ・アナリティカのスキャンダル以来、Facebook社を覆っているネガティブな物語を変えようとする試みです。第二に、拡張現実と仮想現実のリーダーとしての地位を確立することで、Meta社はApple社や他のモバイルOS事業者への依存から自社のビジネスを脱却しようとしています。最後に、マーク・ザッカーバーグ氏によれば、おそらく最も重要なことは、メタバースがインターネットの次の大きな成長の足掛かりになる可能性があるということです。
Facebook社の発表は多くの疑問を投げかけますが、その中でも最も重要なのは、バーチャルな人格や商品の所有権とポータビリティに関するものです。Meta社は、オープンなメタバースのエコシステムを作るのでしょうか、それとも、閉鎖的なものを作るのでしょうか。ユーザーが所有するデータとの相互運用性は、メタバースを定義する機能であり、ユーザーが自分の仮想資産をコントロールできるようになると考えています。完璧なメタバースでは、ユーザーは1つの仮想世界から別の仮想世界へと移動することができ、現在の物理的な世界と同じように所有権とポータビリティを楽しむことができます。相互運用性について、もしマーク・ザッカーバーグ氏が、企業がMetaの新しい基準やプロトコルに従わなければならないと言っているとしたらどうでしょうか。
その答えは分散化にあると私たちは考えています。イーサリアムのようなプロトコルは、仮想商品や仮想世界を検証する分散型の検証機関となるべきです。非中央集権的な標準を採用し、それに基づいて構築することが、メタバースの成功の鍵となるでしょう。
先週、Amazon社とApple社が発表した第3四半期の収益は、サプライチェーンの問題によりアナリストの予想を下回りました。両社とも、これらの問題は改善される前にさらに悪化する可能性が高いと発表しました。
Apple社によると、新型コロナウイルスに関連した製造上のダウンタイムとチップの不足により、iPhoneやその他の製品に対する顧客の需要に応えることができず、売上は約60億米ドル（6.7％）減少しました。現在、Apple社は、年末の需要に供給が追いつかず、第4四半期の売上に60億米ドル以上の打撃を与えると予測しています。
Amazon社は、人手不足や原材料・配送料の高騰により、第3四半期の営業コストが20億米ドル（4.8％）増加し、第4四半期には40億米ドル（9.6％）増加する可能性があると推定しています。Amazon社は、このホリデーシーズンに15万人の季節従業員を確保するために賃金を引き上げ、福利厚生を向上させています。また、ホリデーシーズンの買い物客に、ブラックフライデー、サイバーマンデー、そしてシーズン最後の数週間よりかなり前倒しでギフトを購入してもらうために、ホリデーシーズンの広告スケジュールを早めています。
Apple社とAmazon社は、総売上高は予想を下回ったものの、サービス部門の業績は予想を上回りました。Apple TV+でサプライズヒットした「テッド・ラッソ：破天荒コーチがゆく（原題: Ted Lasso）」の影響もあり、Apple Servicesは前年同期比25.9%増となり、Amazon AdvertisingとAmazon Web Servicesの収益成長率はそれぞれ49%と39%に再加速しました。
2014年以降、Generative Adversarial Networks（GAN）を使用して人工知能によって生成された顔は、明らかに偽物であるものから、驚くほど正確なものへと進化しました。人気のあるウェブサイト「thispersondoesnotexist.com」には、StyleGAN2が偽物の人の顔を生成した例が多数紹介されています。ここ数ヵ月の間に、NVIDIAはStyleGANをさらに改良し、絶対的なピクセル座標への依存を減らし、StyleGAN3では「テクスチャー・スティッキング」の問題を解決しました。
偽物の画像が本物の画像と見分けがつかなくなり、GANを使った偽情報キャンペーンが盛んになるにつれ、多くの研究機関が偽のメディア資産を検出するためのツールを構築しています。米国防総省高等研究計画局（DARPA）は、セマンティクス・フォレンジック（SemFor）プログラムを実施しており、学術界ではメリーランド大学が、GANが画像を生成したことを完璧に示す可能性が高いという仮説のもと、StyleGAN2の反転技術を開発しています。今後もGANは進化し続け、研究者は偽装画像を検出するための技術をますます積極的に展開していくと考えられます。
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