本レポートは、2022年9月6日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #332」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
By Pierce Jamieson | @pierceARK
Research Associate
サイケデリック神経科学と薬理学の分野が数十年にわたる文化的偏見を打ち破るにつれて、製薬会社は幻覚剤の臨床試験への参入を熱望しているようです。
この革新的な分野でのビジネスチャンスを模索している投資家たちは、幻覚剤の真の可能性をめぐる議論に惑わされるかもしれません。例えば、Journal of the American Medical Association (JAMA) に掲載された最近の記事では、「マジックマッシュルーム」の有効成分であるシロシビンがアルコール依存症を抑制する可能性があることが強調されています。その論文に続いて、JAMA Psychiatry誌は、サイケデリック神経科学の著名な研究者であるローランド・グリフィス氏によるコメントを掲載し、幻覚剤を取り巻く誇大宣伝はその有用性を誇張する恐れがあると警告しています。
先週、ARKは、「サイケデリック治療薬(幻覚剤)はいかに“進歩”しているか」という新たな研究を発表しました。この研究は、治療薬としての幻覚剤の潜在的なメリットを掘り下げたものです。私たちは、投資家がその可能性を評価するために、精神衛生を改善する可能性のある幻覚剤とそうでないものを区別して、客観的な分析を行なっています。
By William Summerlin | @summerlinARK
Analyst
この夏、OpenAI社のDALL·E 2は、テキストプロンプトからクリエイティブな画像を生成する機能で世界中を喜ばせました。そして、この数ヵ月の間に、DALL-E 2は、商用利用、価格設定、より制限の厳しいコンテンツ仲介など、いくつかの重要なマイルストーンを通過しています。
同時期に、他の研究グループも同様にテキストから画像への変換モデルを開発しましたが、その中でも、Stability.AI社は、「Stable Diffusion」と呼ばれる最も刺激的なモデルをデビューさせました。実際、その画像生成モデルは、特定の領域、特に顔生成においては、「DALL-E 2」よりも優れているように思われます。
2つのモデルの重要な違いのうち、「Stable Diffusion」はオープンソースであり、生成のリクエストにほとんど制約がありません。例えば、ユーザーは自分のデスクトップ上でそれをセルフホスティングすることができ、好きな画像を生成することができます。一方、OpenAI社は、不快な画像や物議を醸しそうな画像の生成を抑制しています。
オープンソースのDALL-E 2のようなモデルの普及は、投資家にとって、これらのモデルがコモディティ化するかどうかという重要な問題を提起しています。しかし、私たちは、一般に公開されているデータで学習させた大規模なモデルはコモディティ化し、独自のデータで学習させたモデルは差別化され、複製が困難なままになるだろうと考えています。例えば、Tesla社は、「コーナーケース」として知られるオートパイロット(自動操縦)の介入を含め、何百万台もの車両から膨大な量のデータを収集しています。複製することはほぼ不可能であり、これらのデータは同社の自動運転プログラム成功のために不可欠なものです。私たちは、最も成功するモデルとは、独自のデータ資産と公開されているデータを組み合わせることだと考えています。
By Frank Downing & Yassine Elmandjra | @downingARK
Analysts
8月24日、Coinbaseはリキッドステーキング製品である「cbETH」をの提供を開始しました。Lidoのリキッドステーキング・イーサであるstETHと同様に、cbETHはプラットフォーム上にステーキングされたイーサの償還権を提供する、トークン化された預金を作成するものです。その名が示すように、リキッドステーキングは、ユーザーが原資産を乱すことなく、分散型金融(DeFi)でトークンを譲渡、取引、使用できるようにすることで、イーサリアムのProof-of-Stakeネットワークにステークされた資産により多くの流動性を提供します。
流動性のあるステーキング製品を提供する最初の主要取引所として、Coinbaseは収益性が高く、変動が少なく、経常的な収益を特徴とする市場でのシェアを獲得しようとしており、それは、ベースとなる取引事業の重要な多様化への要因となり得るものです。現在までに、投資家はCoinbaseでステークされた推定200万イーサのうち、65万イーサ以上をラップしています。つまり、cbETHの供給残高は、今日現在、約10億米ドルの価値があるのです。
Coinbaseのリキッドステーキング製品は、Lidoと比較していくつかの特徴的な設計上の決定を行なっています。Lido の stETH は、保有者の残高を毎日更新し、発生した利息を反映させる 「aToken」 モデルにであるのに対し、 cbETH は 「cToken」 モデルを採用しており、当初の預金に基づいて保有者の残高が報告される一方で、保有者のトークンの償還額は時間の経過とともに増加する仕組みになっています。実際には、1cbETHが時間とともに1ETHに等しくなるわけではないため、後者のモデルはユーザーにとって直感的ではないように思われます。とはいえ、cTokenモデルは、下流のDeFIにトークンを統合することに伴う複雑さを軽減し、cbETHの普及を加速させる可能性があります。
また、この2つのモデルは、税務上の取り扱いも異なる可能性があります。私たちはこの問題についてのアドバイスや意見を提供していませんが、一部の暗号資産税務の専門家は、cTokenの上昇はキャピタルゲインとして扱われる可能性があり、aTokenの利息は通常の所得として扱われるであろうことを示唆しています。CoinbaseはcbETHのステーキング収入に対して25%のカットを受け取っていますが、LidoはstETHのステーキング収入に対しわずか10%の手数料しか取っていません。
おそらく、この2つのサービスの最も重要かつ物議を醸す違いは、Lidoが29のノードオペレーターからなるグローバルネットワークにバリデータプールを分散させ、時間の経過とともにさらに分散化させることを計画していることです。対照的に、Coinbase は cbETH の唯一の発行者および管理者になる予定です。
この違いは、エンドユーザーにとって興味深い判断材料となります。Coinbaseが提供する安定性と利便性が選ばれるのでしょうか、それともLidoが生み出した分散型で検閲に強いアプローチが選ばれるのでしょうか。
重要なことは、Coinbaseは法律で義務付けられた場合にcbETH資産を凍結することができるため、その普及によって暗号資産の中央集権化と検閲のリスクが高まることでしょうか。8月にOFACがTornado Cashに制裁措置を科した後、このホットな話題は刻々と熱を帯びてきています。
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