本レポートは、2023年5月8日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #365」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
By Maximilian Friedrich | @mfriedrichARK
Co-Lead, ARK Venture & Analyst
この記事は、ARKのTasha Keeneyと共同執筆しました。
先週、貨物輸送のデジタル化に焦点を当てた後発の新興企業であるFlexport(フレックスポート)は、13%の株式と引き換えにShopify(ショッピファイ)のロジスティクス事業を買収することに合意しました。[1] FlexportはShopifyの公式物流パートナーとなり、同社の技術や従業員を引き継ぐことになります。今回の事業分離は、2019年[2] に、倉庫ロボットのスタートアップである6 River Systems社を買収することを皮切りに始まったShopifyの物流分野への参入を終わらせるものです。その後、2022年にShopifyは宅配業者のDeliverr[3]を21億米ドルで買収し、Flexport[4]に投資しました。そして、2023年初頭にはFlexportとの物流提携[5] を発表しています。
Shopify社のCEOであるトビ・ルーク氏は、従業員に宛てた手紙[6]の中で、Flexportは「物流の世界で最高のビルダーでありオペレーター」であり、この事業分離によりShopifyはその中核能力であるコマースソフトウェアの構築に集中できるようになると述べています。[7] また、この株式取引により、Shopifyは将来的にFlexportを買収するオプションを得る可能性があります。
今回の提携は、Flexport社が宅配物流とeコマースフルフィルメントに進出する道を開くものであり、非常にエキサイティングなことだと考えられます。その結果、同社はShopify社の約2000億米ドル[8]の商品総量(GMV)を利用できるようになり、そのうち約15%は国境を越えての取引となります。
[1] Shopify 2023a “Shopify Announces First-Quarter 2023 Financial Results; Agrees To Sell Shopify Logistics to Flexport.” こちらで入手可能。
[2] Smith, J. 2019 “E-Commerce Platform Shopify Buys Warehouse-Robot Startup.” The Wall Street Journal こちらで入手可能。
[3] Marchese, A. 2022.“Shopify to Buy E-Commerce Fulfillment Specialist Deliverr for $2.1 Billion.”.The Wall Street Journal こちらで入手可能。
[4] DC Velocity 2022.“Flexport lands $935 million backing for freight forwarding platform.” こちらで入手可能。
[5] Cision PR Newswire 2023.“The Flexport App Launches on Shopify to Make Global Trade Easy for Merchants Everywhere.” こちらで入手可能。
[6] Shopify 2023b “Company News: Important team and business changes.” こちらで入手可能。
[7] Shopify 2023c. “Shopify Inc. (SHOP) Q1 2023 Earnings Call Transcript.” Seeking Alpha.こちらで入手可能。
[8] Shopify 2023d. “Shopify Announces Fourth-Quarter and Full-Year 2022 Financial Results.” こちらで入手可能。
By Pierce Jamieson | @PierceARK
Research Associate
ARKが毎週行なっているブレインストーミングでは、DeepCure社のCEOであるクフィル・シュライバー氏がBroad Instituteの Machine Learning in Drug Discovery Symposiumで行なった講演を取り上げました。「What‘s Holding Back AI in Drug Discovery(創薬においてAIを阻むものは何か)」 [1]の中で、 クフィル氏は、人工知能(AI)を創薬に導入する際の現在の限界について説明し、AIがその潜在能力を発揮する前に解決すべき重要なボトルネックを明らかにしました。
AIモデルは標的候補分子の特定に有用である一方、合成の可能性や、毒性、選択性などの特徴を予測できないことがあるとクフィル氏は指摘しています。さらに、AIによって生成された化合物予測は、その後の前臨床段階で化合物の有効性を迅速にテストするために必要な、自動化されたカスタム化学合成と広く組み合わされていません。クフィル氏は、計算による予測、自動合成、および下流のアッセイを1つのワークフローに統合し、AIツールに繰り返し情報を与えて改善することで、AIが創薬の可能性を広げることに期待をかけています。
[1] Schreiber, K. 2022.“What’s Holding Back AI In Drug Discovery?” YouTubeはこちら
By Frank Downing | @downingARK
Director of Research, Next Generation Internet
先週、Googleの研究者が内部文書[1] をリークし、AIの軍拡競争の中で浮上してきたオープンソースの人工知能(AI)モデルがGoogleおよびOpenAI両社にとっての脅威となっていると指摘しました。この文書では、Meta社のLLaMA基盤モデル[2]が、この種のものとしては初めて、オープンソースコミュニティにおけるイノベーションを加速させるための大規模言語モデルの比重を公開したことを強調しています。また、効率的かつ費用対効果の高い方法でモデルの微調整を行なう上でのLow Rank Adaptation (LoRA)[3] の重要性も強調しています。
Meta社が2月にLLaMaをリリースして以来、オープンソースのAIプロジェクトは急速に進展しています。コミュニティは、低価格のデバイスで動作するモデルを開発し、ラップトップ上でのLLMの微調整を可能にし、コンテンツフィルターなしの無制限モデルをリリースしました。品質ではやや劣るかもしれませんが、GoogleとオープンソースのAIモデルの差は縮まっているように見えます。
リークされた文書は、Googleがクローズドソース開発から脱却し、外部のオープンソースプロジェクトから学び、協力することを優先するよう提言しています。また、同社が進歩を遅らせる大規模なモデルへのこだわりを捨て、小規模モデルを迅速に反復することを提案しています。
このリークされた文書は、AI開発の最先端を行くGoogleとOpenAIの2社に暗いイメージを与えていますが、これはあくまで一従業員の視点であり、AIコミュニティにおけるより広範な見解を反映しているわけではありません。
[1] Patel, D. and Ahmad, A. 2023 “Google ‘We Have No Moat, And Neither Does OpenAI’: Leaked Internal Google Document Claims Open Source AI Will Outcompete Google and OpenAI.” Semi Analysis こちらで入手可能。
[2] Cox, J. 2023“Facebook’s Powerful Large Language Model Leaks Online.” Vice こちらで
入手可能。
[3] Hu, E.J. et al. 2021.“LoRA: Low-Rank Adaptation of Large Language Models.” こちらで入手可能。
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