本レポートは、2023年6月5日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #369」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
By Sam Korus | @skorusARK
Director of Research, Autonomous Technology & Robotics
バッテリー電気自動車(BEV)の販売台数は、2023年第1四半期に世界の軽自動車販売台数に占めるシェアの10%を突破しました(下図参照)。過去3年間、第1四半期におけるBEVの普及は、旧正月の影響もあって第4四半期に比べ遅れていました。しかし、今年は、BEVのシェアがその季節的な傾向を打ち破りました。
とはいえ、すべての自動車メーカーがこの上昇傾向にあったわけではありません。例えば、Tesla、BYD、VW、GAC Motorは、総販売台数の48%を占めるに過ぎないにもかかわらず、2023年4月までの累計BEV販売台数の前年比ベース伸び率の約75%を占めています。一方で、自動車メーカーの約40%がBEVの販売台数が減少したと報告しています。マクロ経済の逆風が、勝者と敗者を分けているようです。
出典:Irle, V. 2023. “Global EV Adoption is on steady increase.” Twitter.
EV-volumes.comのデータに基づく、2023年6月2日時点のデータhttps://twitter.com/viktorirle/status/1664633210158850049
By Will Summerlin | @summerlinARK
Co-Lead ARK Venture & Analyst
アブダビで開発されたオープンソースの大規模言語モデルである「Falcon 40B」は、オープンソースAIの最新の進化形です。特に、このモデルは、LLaMAやその他のオープンソースモデルの性能を凌駕しており、Apache 2.0ライセンスにより商用利用が可能です。FlashAttentionとマルチクエリにより、Falcon 40Bモデルのアーキテクチャは推論に特化して最適化されており、処理速度と全体的な効率が向上しています。興味深いことに、半分以下の計算量で学習させた後でも、65BパラメータのLLaMAを上回っています。(Falconの2800PF-daysに対してLLaMAの6300PF-days)。[1]
Falcon 40Bは、MosaicMLのオープンソースモデルMPT-7B[2] に続いて登場したもので、MosaicMLプラットフォーム上でわずか20万米ドルでトレーニングされました。[3] MPT-7Bは最大8万4千トークンの入力に対応しており、Meta社のLLaMA-7Bの性能に匹敵します。
オープンソースの大規模言語モデルは、今後も商用のものと歩調を合わせ、商用のAIアプリケーションの構築コストを下げることができるでしょう。
[1] Wolf, T. 2023. “LLaMA is dethroned. A brand new LLM is topping the Open Leaderboard: Falcon 40B.” Twitter. https://twitter.com/Thom_Wolf/status/1662085371826405377.
[2] The MosaicML NLP Team. 2023. “MPT-7B: A new Standard for Open-Source, Commercially Useable LLMs.” MosaicML. Foundation Series. https://www.mosaicml.com/blog/mpt7b?utm_campaign=Sunday%20Newsletter&utm_medium=email&_hsmi=258348178&_hsenc=p2ANqtz–xSFXiwSo2-zfNBfW8NneOXN6kpHSd7ZWqJmFEcC5mo49mJ5FColgMw1khCRvEX5pKeqc1-ZJ2iqYKlnNrhiktZPY6Pw&utm_content=258348178&utm_source=hs_email.
[3] 2020年のGPT-3の最終トレーニングランの推定費用約500万米ドルとの比較。
By Daniel Maguire, ACA | @DMaguireARK
Research Associate
昨年、Deere(ディア)社は、自動運転8Rトラクター(8R)[2]を皮切りに、2030年までに完全に自動化されたトウモロコシと大豆の生産システムを立ち上げる計画を発表[1] しました。当社のリサーチによると、自動運転技術を同社の ExactShot(エグザクトショット)プランター[3]やSee and Spray Ultimateスプレイヤー[4]と組み合わせると、トウモロコシと大豆の生産にかかる運営コストが25%以上削減される可能性があります。
自動化されたExactShotプランター、See and Spray Ultimateスプレイヤーは、ある種の農業生産コストを大幅に削減するはずです。まず、自動化により農家が機械を操作する必要がなくなるため、作物の収穫に関わる人件費が削減されます。8Rは現在、耕作に重点を置いていますが、技術の進歩により、噴霧器と耕耘機の両方が自動化されるでしょう。次に、ExactShotは、種子の段階で直接肥料を施すことで、初期の肥料の必要量を60%以上削減することができます。また最後に、See and Spray Ultimateは、コンピュータビジョンと機械学習を用いて雑草を特定し、的を絞って散布することで、除草剤の使用量を67~80%削減します。[5]
当社のリサーチによると、Deere社の技術により、米国のトウモロコシと大豆の農場の運営コストを1エーカー当たりでそれぞれ26%と31%削減できることが分かりました。このコスト削減効果だけで20~50%の収益が見込めるため、同社の自動化技術が普及すれば、ソフトウェア・アズ・ア・サービスのような利幅で継続的な収益源を確保することができるはずです。
この分析では運営コストに焦点を当てましたが、ARKは自動化技術によって機械の稼働率が向上し、種子の遺伝子編集と組み合わせることで、作物の収量や農場全体の生産性が劇的に向上することも期待しています。
[1] Paukner, M. 2022. “Deere: Fully Autonomous Corn, Soybean Production System Planned by 2030.” Precision Farming Dealer. https://www.precisionfarmingdealer.com/articles/5099-deere-fully-autonomous-corn-soybean-production-system-planned-by-2030.
[2] Deere & Company. 2022a. “John Deere Reveals Fully Autonomous Tractor at CES 2022.” John Deere. https://www.deere.com/en/news/all-news/autonomous-tractor-reveal/. [3] Deere & Company. 2023. “John Deere Debuts New Planting Technology & Electric Excavator During CES 2023 Keynote.” John Deere. https://www.deere.com/en/news/all-news/deere-debuts-new-planting-technology-and-electric-excavator-ces-2023/.
[4] Deere & Company. 2022b. “Deere launches See & Spray™ Ultimate: in-season targeted spray technology combined with a dual product solution system for corn, soybeans, and cotton.” John Deere. https://www.deere.com/en/news/all-news/see-spray-ultimate/.
[5] Scalcup, L. 2022. “Texas Grower Puts John Deere’s See and Spray Technology to the Test.” AgWeb. https://www.agweb.com/news/machinery/new-machinery/texas-grower-puts-john-deeres-see-and-spray-technology-test.
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