本レポートは、2023年6月26日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #372」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
By Yassine Elmandjra
Crypto Lead
この10日間で、世界最大の資産運用会社であるBlackRock社は、NASDAQに上場するビットコインETFの申請書を証券取引委員会（SEC）に提出しました[1]。SECが業界最大手の取引所であるCoinbaseとBinanceの2社を未登録証券の提供を理由に提訴[2]した1週間後に、この大手投資会社はETFのカストディアンとしてCoinbaseを選択したのです。
これは以前のETF申請とよく似ていますが、BlackRock社は、NASDAQと協力し、ビットコイン関連の市場操作のリスクを防止するために設計されたの独自の監視共有協定[3]を締結し、同社の申請書を差別化しました。しかし、私たちのリサーチによれば、他の申請者もほとんどコストをかけずに同様の合意で申請書を修正することができるでしょう。
当社の見解では、BlackRock社がビットコインETFの申請を決定したことは、大手機関投資家がデジタル資産の長期的な見通しに前向きであることを示していると考えています。BlackRockがSECと提携した今、Invesco、WisdomTree、Valkyrie、Bitwise[4]のような他の発行会社も、再びこの世界に参入しようとしているのです。
2023年4月25日、ARKと21SharesはSECにビットコインETFの申請を行ない、現在ではBlackRock社に先行する唯一のETFとなっています。私たちは、今回のBlackRock社の参入はビットコインETFの受け入れに向けた有望な一歩であり、ビットコインが機関投資家に受け入れられるための重要なターニングポイントとなる可能性があるとみています。
By Jozef Soja | @JozefARK
Research Associate
先週、Tesla社はコンピューティング能力に関する予測[5]を発表し、同社が電気自動車（EV）のトップメーカーの内の一社になるだけでなく、世界で最も重要なAI企業のひとつになることを明らかにしました。同社は、2024年10月までにその計算能力が100エクサフロップスという驚異的な数値に達すると予測しており、これは昨年9月のAI Day[6]で公開した4.5エクサフロップスの20倍に相当するものです。Tesla社は、現在のAIトレーニング・インフラをほぼ100％の稼働率で運用しており、データの大きな優位性を活かし、自動運転へ向かう競争に勝つために、コンピューティング能力を積極的に拡張しています[7]。
言い換えれば、同社は世界最大級のAIトレーニング企業になるかもしれないのです。 Tesla社は以下に示すように、 2024年10月までの2年間で、そのコンピューティング能力を最大14,000個のNvidia A100チップから、最大30万個のA100チップに相当するまでに拡張する予定です。参考までに、過去1年間に市場の約80%を占めた[8]Nvidiaは、推定約35万台のSXMサーバーGPUユニットを出荷しました[9]。
出所： Tesla AI 2023。2023年時点のデータ。Tesla Dojoは、Teslaが完全自動運転システムを支援するための機械学習モデルを訓練するために、コンピュータビジョンの映像処理と認識のために設計したスーパーコンピュータ。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券や暗号通貨の購入、売却、保有を推奨するものではありません。過去の実績は将来の結果を示すものではありません。予測は実現しない可能性があります。
Tesla社は、おそらく今後もNvidia社からハードウェアを購入し続けますが、2024年10月にはNvidiaのA100の約3倍の性能で100エクサフロップスの容量を達成するために、自社のハードウェア（Dojo）にシフトしていく可能性が高いです。とはいえ、Nvidia社の最新チップであるH100は、すでにA100の4～6倍の性能を持っているため、Tesla社が輸送分野における完全自動運転の競争で優位に立つには、ハードウェアを迅速に改良し、進化させる必要があります。
By Daniel Maguire, ACA | @DMaguireARK
Research Associate
先月、Cruise（クルーズ）社は200万マイルの無人ドライブデータを収集したと発表しました[10]が、後半の100 万マイルは、わずか3ヵ月前の最初の100万マイルに比べて約5倍のペースで収集されました [11]。
Waymo（ウェイモ）社がサービス開始後[13]、100万マイルの「乗客専用」データを収集するのに要した約2.4年[12]と比べると、Cruise社の功績は注目に値します。
とはいえ、当社のリサーチによると、Tesla社の完全自動運転（FSD）プラットフォームは、以下に示すように、2023年4月の時点で、約14時間ごとに現実世界の走行マイルを100 万マイル収集しています。同社は、約400万台の車両（うち約40万台は現在FSDを搭載）に無線でアップデートを提供できるため、完全自動運転への道において驚異的な競争優位性を持っているのです。
[1] Kharif, O. and Greifeld, K. 2023. “Bitcoin Jumps on Speculation BlackRock ‘May Know Something.’” Bloomberg.
[2] Stempel, J. et al. 2023. “US tightens crackdown on crypto with lawsuits against Coinbase, Binance.” Reuters.
[3] Allison, I. and Braun, H. “BlackRock May Have Found Way To Get SEC Approval For Spot Bitcoin ETF.” Coindesk.
[4] Light, J. 2023. “Hope for a Bitcoin ETF Gain Steam. 2 Reasons It Might Get Approved.” Barron’s.
[5] Tesla AI. 2023. “And will be trained on enormous amounts of compute.” Twitter.
[6] Tesla. 2022. “AI Day.”
[7] Maguire, D. 2023. “Tesla’s data capability is dwarfing peers.” Twitter.
[8] Mujtaba, H. 2023. ““GPU Shipments Continued To Decline In Q1 2023: NVIDIA at 84%, AMD at 12%, Intel at 4% Market Share.” WCCF TECH.
[9] Morgan, T.P. 2023. “Just How Big Are Nvidia’s Server And Networking Businesses?” The Next Platform.
[10] Cruise. 2023a. “2,000,000 driverless miles! As sweet as the first million, just 5X faster.” Twitter.
[11] Cruise. 2023b. “One Million Driverless Miles.” Cruise.
[12] Waymo. 2023. “First Million Rider-Only Miles: How the Waymo Driver is Improving Road Safety.” Waymo.
[13] Waymo. 2020. “Waymo is opening its fully driverless service to the general public in Phoenix.” Waymo.
[15] Cruise. 2023a. “2,000,000 driverless miles! As sweet as the first million, just 5X faster.” Twitter.
[16] Waymo. 2023. “First Million Rider-Only Miles: How the Waymo Driver is Improving Road Safety.” Waymo.
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