Newsletter #391:ジャック・ドーシー氏がBlock社に復帰、他。

作成者: ARK Invest|2023/11/08

本レポートは、2023年117にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #391」の日語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. ジャック・ドーシー氏がBlock社に復帰

By Andrew Kim | @andrewkimARK
Research Associate

 

先週木曜日、Block(ブロック)社は同社の第3四半期の売上高が前年同期比で24%増加したことを発表し[i]、予想を上回る驚きの結果となりました。10月にSquare(スクエア)社の前CEOであるアリッサ・ヘンリー氏が退任した[ii]とき、ジャック・ドーシーCEOはBlock社のセラー・エコシステムの日々の運営に、より積極的な役割を果たすことを約束していました。そして、ドーシーCEOは電話会見で次のように述べています。

  • 2026年に「40の法則」を達成し、2026年の売上総利益成長率を10%台半ば、調整後営業利益率を10%台半ばとする。
  • 売上高の成長が再加速する中、生成AIを活用して営業費用を最小限に抑える。
  • Block社が 「成長への大幅な回帰」を含むいくつかのマイルストーンに到達するまでCEOに留任する。
  • 来年早々、Square社とCash Appの共同コマース・イニシアチブを導入する。

ドーシー氏はさらに深い統合のために尽力しており、Square社がCash App上で展開するローカルビジネスをサポートすることでしょう。8月に、Block社は「Square Go」を立ち上げました。これは消費者向けのアプリで、地元の美容品やパーソナルケア販売店向けのマーケットプレイスを提供するものですが、まもなく、ドーシー氏とそのチームは、CashAppのプラットフォーム上の5,500万人の月間アクティブユーザー(MAU)全員を対象としたSquare Goをデビューさせる予定です。

ドーシー氏によるSquare社とCash Appの統合は、ARKのデジタルウォレットに関する論文[iii]を実行に移そうとしているかのようであり、加盟店と消費者を横断するクローズドループ決済エコシステムの成長を促進し、従来の金融仲介業者の仲介を排除するものです。

 

 

2. 新AI大統領令は広範すぎるのではないか?

By Brett Winton | @wintonARK
Chief Futurist

 

先週、バイデン政権は人工知能(AI)に関連する広範な大統領令[iv]を発令しました。この大統領令は、即時適用となり、今後3ヵ月から9ヵ月の間が順守期限となります。また、すべての私的な大規模学習モデルに対して報告とテストの要件を課し、クラウド・コンピューティングやその他の大規模データセンター・プロバイダーに対して、顧客の身元と行動を検証し監視することを求めています。そして同命令はまた、生体データを使用するAIシステムにも厳しい要件を課しています。

私たちの見解では、今回の大統領令は、より「荒削り」なオープンソースの取り組みを犠牲にして、OpenAIやAnthropic(アンソロピック)のような基盤モデルに重点を置き、すでに商業規模で事業を展開している企業に利益をもたらす可能性が高いものです。例えば、Anthropicは、AIの整合性という創業の理念を強調しており、新しいコンプライアンス要件をシームレスに満たすに違いありません。そして時間の経過とともに、規制当局の監視により、AIバリューチェーンの基盤モデル層に利益が偏る可能性があります。それは、大統領令以前から、今後10年間で不釣り合いなシェアを占めると見られていたものです。

しかし、構造的には、世界はより多くのイノベーションを必要としており、この早い段階でディープニューラルネットを規制することは、重要な技術的道筋を閉ざすことになりかねないと私たちは考えています。この大統領令は、非常に広範囲にわたるようで、ほとんどすべてのモデルが(シンプルなエクセルのスプレッドシートでさえ)、「人工知能」として認定されてしまう可能性があります。もし何十もの連邦機関がエクセルの進化を監視していたら、エクセルの運命がどうなっていたかを想像してみてください!

今はリヴァイアサンが猛威を振るっていますが、よりインテリジェントなソフトウェアシステムが普及した世界は、より人道的であることが証明されるはずです。ソフトウエアを提供するために競争する事業者が少なくなった世界は、過度に広範で、さらに面倒な規制枠組みの副産物として、ほぼ確実に、おそらく危険なほど、より脆弱になる可能性があります。

AIだけでなく暗号通貨も含めた規制の行き過ぎが、大統領令を遵守する今後3~9ヵ月の間に選挙の争点になっても不思議ではありません。とはいえ、2025年1月に政権が交代すれば、大統領令は消滅する可能性もあります。

 

 

3. FDAの諮問委員会がExa-Cel療法承認に前向きの模様

By Ali Urman | @aurmanARK
Analyst

 

昨年ARKは、免疫系に影響を与える癌の一種であるT細胞性急性リンパ芽球性白血病と診断された英国の13歳の少女、アリッサ[vi]の物語を取り上げました[V]。何度も化学療法を受け、骨髄移植を受けましたが、アリッサのがんは不治の病と思われていました。アリッサの最後の希望として、イギリスのオーモンド・ストリート病院の研究者たちは、シトシン塩基エディター(CBE)を使用して、ドナーのT細胞に3つの正確な同時編集を施し、アリッサのT細胞を攻撃するように再プログラムしました。つまり、ゲノム転移変異をC-GからT-Aに変更し、健康な細胞はそのままにして、がん細胞を除去するよう編集したのです。「CAR-T細胞」療法として知られるこの手法は[vii]、アリッサのがんを一掃しました。 そして、1 ヵ月後に彼女は寛解し、6 ヵ月後にはがんが無い状態にまでなりました[viii]

 

動画出所:Great Ormond Street Hospital and Charity 2023

情報提供のみを目的としており、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。

 

昨年、株式や債券を襲った弱気相場に気を取られ、ほとんどの投資家は、この生命を変える治療法や他のがんへの応用の可能性にほとんど関心を示しませんでした。しかしARKは、塩基編集と多重化によって、難治性がん患者を治療するための、もっと優れたCAR-Tが生まれると信じていました。

先週、FDAの諮問委員会[ix](AdComm)が開かれ、重度の鎌状赤血球症(SCD)患者に対する遺伝子編集治療薬であるExa-Celの有効性と安全性が議論されました。SCDは遺伝性の希少疾患で、一般的に鎌状の形をした赤血球が血管内を移動して全身に酸素を供給するのを阻害します。そして、現在、SCDは米国で10万人以上、世界で2,000万人以上の人々の生活に影響を及ぼしています。

CRISPR Therapeutics(クリスパー・セラピューティクス)社とVertex Pharmaceuticals(バーテックス・ファーマシューティカルズ)社によって考案・製造されたExa-Cel療法は、BC11A遺伝子を標的としています。BC11A遺伝子は、出生後に胎児ヘモグロビンの産生を停止するよう赤血球に指示し、成体ヘモグロビンが失速した場合には、その産生を誘発することができます。

最近の諮問委員会の発表では、FDAが処方薬使用者手数料法(PDUFA)の期限内に、SCDについては2023128に、またβ-サラセミア(TDT)については2024330にExa-Celを承認することを示唆しています[xi]

 

 

[i] Block. 2023. “Q3 2023 Shareholder Letter.

[ii] Mullen, C. 2023. “Square CEO to Depart.” Payments Dive.

[iii] ARK Investment Management. 2023. “Big Ideas 2023—Digital Wallets.”

[iv] The White House. 2023. “FACT SHEET: President Biden Issues Executive Order on Safe, Secure, and Trustworthy Artificial Intelligence.”

[v] Urman, A. 2022. “Base Editing Has The Potential To Save Cancer Patients’ Lives.” ARK Disrupt Newsletter. ARK Investment Management LLC.

[vi] Gallagher, J. 2022. “Base Editing: Revolutionary therapy clears girl’s incurable cancer.” BBC News.

[vii] Great Ormond Street Hospital and Charity. 2023. “Alyssa’s story: Base Editing & CAR T-Cell Therapy at Great Ormond Street Hospital.” YouTube.

[viii] ARK Investment Management LLC. 2023. “Gene Therapy Could Cure Cancer with Professor Waseem Qasim.

[ix] U.S. Food and Drug Administration. 2023. “Advisory Committees.

[x] National Heart, Blood, and Lung Association. ND. “What Is Sickle Cell Disease?

[xi] CRISPR Therapeutics. 2023. “CRISPR Therapeutics Announces Completion of FDA Advisory Committee Meeting for Exagamglogene Autotemcel (exa-cel) for Severe Sickle Cell Disease.

 

 

 

 

 

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