本レポートは、2024年11月17日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #440」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
By Nick Grous | @GrousARK
Associate Portfolio Manager
テキストを主体としたリアルタイムのSNSであるX、Threads(スレッズ)、Blueskyは、米国大統領選挙後に急成長しており、それぞれが独自の方法で成長と高い関心を集めています。
イーロン・マスク氏とリンダ・ヤッカリーノ氏は、選挙後のX(旧Twitter)のエンゲージメントと利用率が過去最高を記録したと宣伝しています[1] 。直感的には逆と思われるかもしれませんが、これがThreadsやBlueskyのような競合プラットフォームのユーザー増加に拍車をかけているかもしれません。
アダム・モッセーリ氏[2]によると、Instagram(インスタグラム)のテキスト主体のSNSである、Threadsは、11月中だけで1,500万人のユーザーを増やし、過去3ヵ月の間、1日あたり100万人以上のユーザーを増やしました。言い換えれば、8月中旬以降、Threadsのユーザー数は50%近く増加し、約3億人に達したということです[3]。ユーザーが新鮮なコンテンツに出会うことで、より強いエンゲージメントが得られることを確認したThreadsは、新規登録者を獲得するためにInstagramのソーシャルグラフから離れる計画を立てています。Threadsはまた、2025年に広告を導入する準備も進めています。
また米国大統領選挙後、ユーザー数が2,000万人未満[4]の小規模な競合アプリであるBlueskyが、App Storeの無料アプリ部門でThreadsとXを抑えてトップに躍り出ました。 Bluesky は Threads などとともに Fediverse[5]の一部であり、ユーザーは複数のプラットフォームからの投稿を閲覧できるため、ソーシャルメディアの状況が一変する可能性があります。
これらのプラットフォームが進化し、競争するにつれて、公共の議論やニュースの普及におけるその役割は大幅に増大する可能性があります。デジタルコミュニケーションと情報共有の新時代が始まろうとしているようです。
By Yassine Elmandjra | @yassineARK
Director of Digital Assets
先週、世界最大のステーブルコイン発行会社であるTether(テザー)社は、ユーザーが事実上あらゆるものをトークン化できるリアルワールドアセット(RWA)のトークン化プラットフォームであるHadron(ハドロン)[6]を立ち上げました。
Hadronの立ち上げは、RWAのトークン化に対する支持の高まりを表していると私たちは考えています。というのも、トークン化されたリアルワールド資産の総額は110億米ドル[7]に過ぎず、約500兆米ドルの対象市場の総額に対して取るにたらない割合にとどまっていることから、デジタル資産業界最大手の1社であるTether社は、新たな機会を最大限に活用したいと考えているようです[8]。
RWAとは、不動産、商品、美術品、債券や株式等の金融商品など、物理的、あるいはオフチェーンの資産であり、パブリック・ブロックチェーン上でデジタルで表現、つまりトークン化されます。トークン化には、これらの資産の所有権を表すデジタルトークンが含まれるため、Finternet(フィンターネット)[9]上で取引したり担保としての役割を果たすことができるようになります。言い換えれば、トークン化されたRWAは流動性の低い資産を取引可能な商品に変えることができるのです。
参入障壁を下げることで、トークン化されたRWAは投資機会へのアクセスを民主化し、従来の仲介業者を排除します。例えば、デジタルトークンを購入することで、発展途上国の個人がマンハッタンの高級不動産の一部を所有したり、米国債に投資したりすることができるようになります。
リアルワールドアセットは、伝統的な金融とデジタルアセットの深い融合を象徴しています。規制の明確化が進み、機関投資家の関心が高まる中、RWAはデジタル資産革命の次の波において中心的な役割を果たす可能性が高いと思われます。RWAは、デジタル資産を法定通貨に結び付けるという同社の中核事業の自然な延長線上にあるため、Tether社はこの分野のリーダーになる上で極めて有利な立場にあると私たちは考えています。
By Frank Downing & Jozef Soja | @ARKInvest
Next Generation Internet Team
最近のヘッドライン(見出し)[10]によると、人工知能のパフォーマンス指標は、次世代モデルの内部目標値を下回っており、頭打ちの様相を呈しているようです。しかし、当社のリサーチでは、複数の指標にわたって着実な改善が見られることが示唆されており、より複雑な現実が明らかになっています。
例えばコーディングタスクでは、基礎モデルの改良と新しいエージェントフレームワークを組み合わせることで、SWE-Benchベンチマーク[11]で一貫した進歩が見られました。エージェントフレームワークは、基本的な大規模言語モデルとプロンプト技術およびプログラミングツールを組み合わせて、SWE-Bench ベンチマークに含まれる実際のソフトウェア開発タスクを解決します。Anthropic(アンスロピック)社の最新モデルは現在、SWE-Bench内のケースの53%を解決しており、昨年の同時期に最善のソリューションで解決されたケースの約4%に比べると、以下に示すように驚異的な進歩を遂げています。
出所: 2024年11月15日時点のSWE-Benchのデータに基づく。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。また、過去のパフォーマンスは将来の結果を示唆するものではありません。
AIモデルの経済性は2つの道筋に沿って進化しています。最初の道筋では、AIを使用するコストによって決まるアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)の価格設定が、以下に示すように大幅に低下し、アクセスの民主化と企業導入が可能になっています。
出所: ARK Investment Management LLC、2024年、OpenAI、Anthropicのデータに基づく。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。また、過去の実績は将来の結果を示唆するものではありません。
第2の道として、AIを構築するコストは劇的に増加しており、最先端のAIモデルを訓練するために必要な資本の額に影響を与えています。その結果、OpenAIやxAIのようなAIラボは、より高い評価額で数十億米ドル規模の資金調達ラウンドを民間市場に求めています。Google、Microsoft、Meta Platforms、Amazonなどのハイパースケーラ-は、設備投資計画を増やすことでこの傾向を裏付けており、現在、2025年には3,000億米ドル[12]に達すると予想されています。
重要なのは、スケーリングのジレンマに対処するための他の方策の中でも、推論時の計算[13]がトレーニングコストの上昇を抑制できる可能性があることです。つまり、推論により多くの計算時間を割り当て、モデルにより長く「考える」ようにさせることで、パフォーマンスの向上が加速します。当社のリサーチによると、OpenAIやその他の企業は、推論時の計算が新たなスケーリングパラダイムを生み出す可能性を追求しています。
AIパフォーマンスの最前線に参入するためには巨額の投資が必要であり、従来の事前学習法に伴う収益が減少している[14]にもかかわらず、ライトの法則[15]に基づくコスト低下に関する当社のリサーチは、AIの進歩が頭打ちになっていないことを示唆しています。
[1] Carr, D.F. 2024.「Xのトラフィックは米国で選挙日の後にピークに達した。非アクティブ化も同様」
[15] ライトの法則とは、生産台数が累積で2倍になるごとに、コストは一定の割合で低下するというものである。Winton, B. 2019を参照。"Moore's Law Isn't Dead: It's Wrong-Long Live Wright's Law". ARK Invest.
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