Teslaは、先週の木曜日に完全電動ピックアップトラックの「Cybertruck」を発表しましたが、(Facebookのかつての企業モットーであった「素早く行動し破壊せよ」のごとく)文字通り「素早く行動し破壊」しました。当初は多くのレビューがCybertruckの独特なデザインに注目していましたが、いずれはその特徴や機能性、価格が話題の中心になるでしょう。シングルモーター型モデルの価格は39,900米ドルで、これは予想されていた50,000米ドルまたは米国のフルサイズ・ピックアップトラックの平均取引価格をともに下回る見込みで、その牽引能力とアプローチアングルは競合他社モデルに匹敵します。ハイエンドモデルのトライモーター型は価格が69,900米ドルとなる見込みで、航続可能距離が500マイルと優れており、停止状態から時速60マイルまで2.9秒で加速できます。潜在顧客のなかにはデザインを嫌う向きもあるかもしれませんが、Cybertruckの価値と機能は間違いなく期待に沿うものです。例えば、過去に製造された車のなかでデザインが最も醜悪とされた「PT Cruiser」は、多くのアナリストが50,000台程度の「Hummer的」ニッチな販売水準を予想していましたが、実際にはそれを上回り、ピーク時には販売数が145,000台を超えました。
発表会で窓ガラスが割れてはしまいましたが、グーグルの検索数によると、Cybertruckは、Fordの「Mach E」が先週の発表会で得たよりも高い関心を買い手から集めました(下チャート参照)。Cybertruckの予約注文はすでに146,000台に達していますが、これには手付金が100米ドルで済むということも奏功しているものと思われます。
ARKの分析によると、TeslaのCybertruckの発表会当日における検索回数はModel 3の検索回数と同じで、モンタナ州やワイオミング州、ウェストバージニア州などトラックの売上げが多い州では特に関心が高くなっています(下図参照)。
Teslaがブランドにそぐわないデザインを選んだのは、環境面の理由でTesla車を買おうと考えたことがあまりないような層にアピールしたいからかもしれません。実際、Cybertruckは従来のTeslaのブランド・イメージからはかなりかけ離れていると言え、もしかしたらCyberpunkという新たな自動車シリーズの第1弾ということなのかもしれません。
本レポートは、2019 年11月25日にARKが公開した、英語による「Innovation Newsletter Issue 199」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。