ARKは広範囲に及ぶリサーチの結果、世界のあり方を変え、後世の歴史学者が生産性向上の道標として認識する可能性のある5つの革新的なイノベーション・プラットフォームを特定しました。それは人工知能(AI)、ゲノム解析(塩基配列解析)、ロボティクス(ロボット工学)、エネルギー貯蔵、ブロックチェーン技術であり、コストの低下、幅広い業種や地域での需要増、技術革新が加速するなかで、転換点を迎えようとしています。
当社の見通しでは、これら5つのプラットフォームは向こう10~15年間で、50兆米ドルを超える事業価値および資産価値を創出します。現時点では、これらのプラットフォームの企業の株式時価総額は6兆米ドル弱にすぎず、イノベーション・プラットフォーム投資において正しい方向性をもつことにより、資産価値を10倍近くにすることができる機会が訪れていると考えています。
破壊的イノベーションへの投資:なぜ今なのか
後世の歴史学者が、私たちが住んでいる現在を振り返ったとき、「恐ろしいほど技術が進歩した時代の1つだった」と捉えることでしょう。人工知能やゲノム解析、ゲノム編集の重要な節目であり、この10年間でロボティクスの普及が不可欠になったことや、エネルギー供給の基本がバッテリーになったことを認識し、ビジネスや金融事業を全く新しいものに変えることのできる構造の起源がブロックチェーン技術や暗号通貨(仮想通貨)にあったことを理解するでしょう。
後世の歴史学者は、革新的なイノベーション・プラットフォームをもたらしたのが人工知能、ゲノム解析、ロボティクス、エネルギー貯蔵、ブロックチェーン技術の5つであったことを特定し、これらのイノベーションを起点に「何もかもが変わった」と指摘するでしょう。
後世の歴史学者は今の時代を、内燃機関や電力、電話通信が普及した100年前になぞらえるかもしれません。これらの技術は移動、通信、エネルギー伝達の方法を根本から変えました。また、それより100年以上前に市場を大きく変化させ、産業革命を引き起こした蒸気機関と比較するかもしれません。私たちがこれらの技術を記憶しているのは、世界の仕組みを変え、経済においては、既存の企業を駆逐し、新たなビジネスがグローバル経済の推進力となって富を生み出していったからです。
電気やコンピューター、蒸気機関やインターネットと比べるのは言い過ぎという意見があるかもしれませんが、それらの進歩と同じ特徴を、現在重要な変曲点にある技術のいくつかがもっていることは確かです。革新的技術は、コストの劇的な低下を具現化し、多くの国で多くの業種に影響を与え、そして次の技術革新の基礎となります1。学術界には、「通常ペースの経済的進歩に割って入り加速させる技術2」を分析した文献が豊富にあります。経済史学者はそのような技術を「汎用技術(GPT)3」と呼んでいますが、ここでは「革新的技術」、「イノベーション・プラットフォーム」、「GPT」という用語を同義で使用します。
[1] これらの基準について詳しく書かれている文献:Boyan Jovanovic and Peter L. Rousseau、「General Purpose Technologies」、Handbook of Economic Growth, ed. Philippe Aghion and Steven N. Durlauf, vol. 1, Part B (Amsterdam: Elsevier, 2005), 1181–1224.
[2] Brynjolfsson, E. & McAfee, A. (2018). 「The Second Machine Age: Work, Progress, and Prosperity in a Time of Brilliant Technologies」、Vancouver, B.C.: Langara College. 75.
[3] この概念が最初に記載された文献: Bresnahan, T. and M. Trajtenberg. 1995. 「General Purpose Technologies: ʻEngines of Growthʼ?」、Journal of Econometrics 65: 83-108.