昨年、ARKは2024年のテスラの株価を7,000米ドル、1対5の株式分割後の今でいえば1,400米ドルになる可能性があると試算していました。今回の調査では、2025年には3,000米ドルになる可能性があると予測します。
この予測値を得るために、ARKは34のインプットを持つモンテカルロモデルを使用し、高値と安値の予測には4万回のシミュレーションを行いました。当社のブル(強気)およびベア(弱気)の株価は、下の表で示した通り、シミュレーションの上位4分の1と下位4分の1の結果です。
注: 2025年の目標株価の数値は、予測の合理的な変動に合わせて、わかりやすくするために四捨五入されています。予測は本質的に限定的なものであり、信頼することはできません。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買や保有を推奨するものではありません。
40,000回のシミュレーションの中で、ベアとブルのケースが一つもないため、以下のようにそれぞれもっともらしいと思われるケースを選択しました[1]。
注: 数値は、単純化のために四捨五入されており、予測の合理的な変動と一致しています。2020年の総売上高は、サービス、エネルギー貯蔵、その他を含む。2020年のクレジットを含む自動車の粗利益率は26%。(リンク先参照)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000156459021004599/tsla10k_20201231.htm#ITEM_6_SELECTED_CONSOLIDATED_FINANCIAL_D
*弱気のケースでは、テスラはそれほど積極的にスケールアップしないため、高い価格帯に長くとどまることができ、利益率が向上します。
**2021年3月17日現在
予測は本質的に限定的なものであり、信頼することはできません。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。
*Wright's Law: https://ark-invest.com/wrights-law/. ** このシミュレーションでは、EV製造工場への投資に必要なキャッシュフローの関数として生産を行いますが、テスラの成長能力には、同社が遭遇する可能性のある原材料やバッテリー生産のボトルネックを反映して、固定のスケーリング制約を課しています。
予測は本質的に限定的なものであり、信頼することはできません。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。
当モデルの主な更新点
電気自動車
前回の「2024年分析」以降、テスラの資本効率についての想定項目を増やしました。前回は、2024年にテスラが生産能力を1台増やすごとに1万1,000米ドルから1万6,000米ドルを費やすと見積もっていました。2019年、テスラは設備投資(capex)に13億3,000万米ドルを費やし、前年比14万4,505台増の50万9,737台を生産したことから、生産台数1台増あたりの設備投資はおよそ9,200米ドルであると考えられます。2020年のテスラの設備投資額は31億6,000万米ドルで、車両生産台数が60%[3]増加したと仮定すると、2021年の資本効率は10,330米ドルとなります。
なお、この計算では、自律型データセンターやテスラの垂直統合型セル工場などの長期的なプロジェクトに必要な設備投資が一部含まれているため、車両の増産に必要な資本が過大評価されている可能性があります。Battery Dayでテスラは、最新のセル化学と製造プロセスにより、投資コストを長期的に75%削減できると発表しました。
テスラの優れた資本効率を評価するため、最新モデルでは1台あたりの総資本支出を引き下げました。これらの最新の予測に加え、モデルに1年分の成長を追加した結果、テスラの販売台数は2025年に500万台から1,000万台になると予測しています。
保険
ARKは、テスラが顧客の車から収集した非常に詳細な運転データにより、保険において平均以上のマージンを達成できると考えています。アンダーライターと提携し、テスラは2019年8月に保険商品を導入しました。現在は、カリフォルニア州でのみ提供されています。
ARKは、今後数年のうちに、テスラが自社で保険を引き受けて、より多くの州に保険提供を展開する可能性があると考えています。テスラの車両は平均よりも優れた安全性を備えているため、リアルタイムのデータを利用して車両に保険を提供し、動的に価格を設定することで、顧客獲得コストを削減し、利益率を高めることができるはずです。
プログレッシブ社の2019年のEBITマージンが13%であるのに対し、テスラ社は40%近いマージンを達成できるとARKは予測しています。2025年までに独自の保険を提供して40%の車両を販売すると、ベアケースではテスラの保険収入は年間230億米ドルに近づく可能性があります[4]。 ブルケースでは、ロボットタクシーの普及に伴い、テスラの保険収入はプラットフォーム料金に組み込まれるとARKは予想しています。この保険により、2025年の目標株価は約60米ドル上昇します。
人間が運転するライドヘイリング(配車サービス)
ARKのベアケースには、テスラが人力によるライドヘイリング(配車サービス)を開始する機会が含まれています。
ARKのベアケースでは、テスラの人力による配車サービスは、既存の企業よりも低いコスト構造を持ち、完全に自律的なライドヘイルネットワークの基礎を築くことになると説明しました。ベアケースの例では、ライドシェアは2025年までにテスラの営業利益を200億米ドル増加させる可能性があり、目標株価は約500米ドル上昇します[5]。
ロボットタクシーサービスに備えて、テスラはまず人間主導のライドシェアネットワークを立ち上げ、収益性の高い経常的な収入源を確保し、自律走行サービスの失敗によるマイナス面を抑えることができます。人間が運転するライドヘイリング(配車サービス)は、ARKのベアケースにおけるテスラの目標株価を大幅に引き上げる可能性があります。
完全自律走行型ライドヘイル(ロボットタクシーネットワーク)
前回の評価モデルでは、ARKはテスラが2024年までの5年間に完全な自律走行を実現する確率を30%と仮定しました。現在、ARKはその確率が2025年までに50%になると予測しています。前回の予測以降、ニューラルネットワークによって、これまで解決不可能とされていた多くの複雑な問題が解決され、ロボットタクシーが実現する可能性が高まっています[6]。
ARKは、テスラは自社車両から1日あたり3,000~4,000万マイルのデータにアクセスできると推定しています(昨年の試算では1日あたり2,000万マイルでした)。もし上手くいけば、テスラはロボットタクシーのサービスを急拡大し、その分の現金を自律走行ネットワークに対応する製造能力に割り当てることができます。オートパイロットを搭載した車両の60%がロボットタクシーとして利用されるようになれば、テスラは2025年に1,600億米ドルのEBITDAを追加で生み出すことができます[7]。
下(次のページ)の2つのグラフが示すように、自律走行は当社の予想目標株価の分布を大幅に押し上げます。最初の図は、モンテカルロ分析で得られたすべての可能な目標株価の分布を示しており、2番目の図は、分布内の目標株価の範囲内でどのシナリオが発生するかを示しています。
予測は本質的に限定的なものであり、信頼することはできません。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買や保有を推奨するものではありません。 出所: ARK Investment Management LLC
我々がモデル化した下のグラフ上の進捗の悪いケースにおいては、生産上の制約からテスラの年間生産台数は400万台以下に制限されており、技術的・物流的なボトルネックから、グレーで示したように、人力によるライドへイル・ネットワークと自律型ライドへイル・ネットワーク(ロボットタクシーネットワーク)の両方を立ち上げることができません。一方、生産に制約がない場合、人力によるライドヘイルネットワークは、緑(2025年にライドヘイルで販売されるテスラ車の20%未満)とネイビー(2025年にライドヘイルで販売されるテスラ車の20~70%)に示すように、予想される株価目標範囲を拡大します。最後に紫は、テスラがロボットタクシーのサービスを開始するという最も進捗が優れたケースにおける株価目標です。
ARKのテスラの目標株価では、2025年のテスラの予想時価総額のうち、電気自動車事業とロボットタクシー事業が、それぞれモンテカルロシミュレーションの平均値である約40%と50%を生み出すことにご注目ください。
予測は本質的に限定的なものであり、信頼することはできません。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買や保有を推奨するものではありません。 出所: ARK Investment Management LLC
結論
このブログで説明したアップデートを考慮すると、ARKの2025年のテスラの目標株価は3,000米ドルです。ARKのベアケースとブルケースは、テスラが1株あたりおよそ1,500米ドルと4,000米ドルの価値を持つことを示唆しています。私たちのモデルはGithubで公開していますので、ぜひご自身の仮定を検証したり、私たちのシミュレーションを使ってご自由に視覚化したりしてみてください。
注: 当社のモデルでは、テスラの電力会社向けエネルギー貯蔵や太陽光発電事業はモデル化していません。 また、ビットコインの仮定もモデル化していません。企業キャッシュとしてのビットコインに関するARKの取り組みについては、最新のBig Ideasプレゼンテーションをダウンロードしてください。
*対象企業に対するARKの現在の評価はポジティブなものですが、顧客固有のガイドライン、市場環境の変化、投資家の動き、企業のビジネスモデルや競争環境の基本的な変化、ヘッドライン・リスク、政府・規制当局の動きなどの様々な条件により、対象企業が表示された評価額に達する前にARKが清算やポジションサイズの縮小を行う必要がある場合があることにご留意ください。また、ARKは、対象会社と投資銀行業務、コンサルティング、またはいかなる種類の手数料支払いの関係もありません。