ドローン配送はEコマース市場を活気づける見通し

作成者: Tasha Keeney|2019/10/29

ARKの調査によると、米国規制当局に認可された場合、アマゾンの配送ドローンは配送時間30分以内、配送料金0.90ドルで利益を生みながら荷物を届けることができ、国内配送コストを約90%削減可能とみられます。フリクションレス(煩雑な手間なく)で安価な配送により、消費者はより多くの商品をオンラインで購入するようになるでしょう。ドローン配送は、小売売上高に占めるEコマースのシェアを現在の13%から2030年には75%まで押し上げる可能性があります。ドローンがない場合、小売におけるEコマースのシェアは53%に落ち着く可能性があります(下チャート参照)1

 

 

ARKでは、ドローンによる安価な荷物配送は、消費者の購買行動を劇的に変化させると予想しています。販売促進のための配送無料キャンペーンは、注文量を増加させる傾向があります2。アマゾンの場合、発送後2営業日で配送してくれるサービスを無料で利用できるプライム会員は、通常会員に比べると支出額が2倍以上にのぼります3ARKが考えているように、ドローンによって荷物を30分以内に1ドル未満で配送可能となれば、オンラインショッピングへのシフトが加速するとみられます。

規制当局の認可が待たれますが、ドローン配送による売上高は、2030年には合計4000億~5000億ドルに達する可能性があります(下チャート参照)4。荷物配送の現在の売上高は総額2800億ドル程度、荷物1個あたり約4ドルです5ARKでは、ドローン配送によって配送コストが下がるにつれ、Eコマースの売上が増加することや消費者が早くて低価格の配送を好むことにより、配送件数は増加するものと考えています。現在では配送重量が比較的重い一部の荷物などは、ドローンでの輸送を円滑にするために分割して積載量を軽くして配送することも可能です。アルファベットや楽天、JD.com、そしてDHLUPSといった配送業者など、多数の企業が恩恵を受けるとみられますが、アマゾンは、プライム会員、そしてドローンによる自宅監視サービスを契約する顧客の両方に無料のドローン配達を提供することで、他とは比べ物にならないほど大きなシェアを獲得する可能性があります。

 

 

米国では自動運転車は州当局の管轄ですが、ドローンはより煩わしい連邦規制に直面しています6。そのことを受けて、アマゾンやグーグルなどの企業は、規制制度がより寛容な英国、カナダ、オランダ、オーストラリアなどの国で試験運用するという手段をとってきました。中国の当局は、ドローンの試験運用に対してさらに寛容な姿勢をとってきています。例えば、JD.comは中国農村部の100超の村で数年にわたってドローンの試験運用を行ってきました7。安全面の検討に加えて、ドローンの実験を行っている企業は騒音公害に関する懸念にも直面しています8。とは言え、最近の認可動向に基づくと9、技術的に取り残されることへの不安からなのか、米国は規制面において進展をみせています。

その他にドローン配送サービスで恩恵を受けると考えられるのは、地図作成サービス・プロバイダーやドローン・ハードウェア・プロバイダーです。AirMap社のようなサードパーティの企業は規制当局と提携して、ドローン配送サービス運営企業向けにデジタルインフラや交通管制サービスを提供することができるしょう。ARKが予測する2030年のドローン配送売上高約5000億米ドルのうち、地図作成サービス・プロバイダーは510、金額にして260億米ドルを獲得する可能性があり(下チャート参照)11、一方で、ハードウェア市場は300億米ドル規模へと拡大する見通しです12

 

 

さらに、利便性や費用対効果が高いドローン配送は、小売市場全体を拡大する可能性があります。おそらく消費者は、外出する手間が省けるとなればオンラインで商品を購入する頻度が増すと思われ、その頻度は1日で複数回にのぼるかもしれません。そうなれば、ショッピングモールを所有する企業はさらに苦戦を強いられるでしょう。自動運転タクシーの場合は都市部で特に普及が進むと予想していますが、それに対して、ドローン配送サービスが特に大きな影響を及ぼすのは農村部や郊外エリアと考えられます。ARKが分析対象としているのは荷物配送市場ですが、自動運転によるフードデリバリーもドローンの用途として素晴らしいでしょう。ドローン配送は、世界中でショッピングや食事を一変させる可能性を秘めているのです。

 

 

  1. ここに含まれる記述の一部は、ARKの現在の見解や想定に基づく将来の予想およびそのほかの予想ベースの記述である場合があり、実際の運用結果、パフォーマンス、または事象がそうした記述で表現または示唆されているものから大きく異なる原因となり得る既知および未知のリスクや不確実性を含む場合があります。
  2. https://www.researchgate.net/publication/227442405_An_Empirical_Study_of_the_Impact_of_Nonlinear_Shipping_and_Handling_Fees_on_Purchase_Incidence_and_Expenditure_Decisions
  3. https://www.businessinsider.com/amazon-prime-customers-spend-more-than-others-2018-10
  4. ここに含まれる記述の一部は、ARKの現在の見解や想定に基づく将来の予想およびそのほかの予想ベースの記述である場合があり、実際の運用結果、パフォーマンス、または事象がそうした記述で表現または示唆されているものから大きく異なる原因となり得る既知および未知のリスクや不確実性を含む場合があります。
  5. なお、ラストマイルとはこの荷物配送市場に含まれるサブ市場で、重量70ポンドまでの荷物が含まれます。Source: https://www.pitneybowes.com/us/shipping-index.html
  6. https://www.constructiondive.com/news/faa-regulatory-delays-hamper-drone-expansion/543137/
  7. https://www.economist.com/business/2018/06/09/how-e-commerce-with-drone-delivery-is-taking-flight-in-china
  8. https://slate.com/technology/2019/05/delivery-drones-amazon-google-noise-buzzing.html
  9. https://mashable.com/article/google-wing-drone-delivery-faa-approval-us/
  10. 自動運転車およびドローン関連のサードバーティ・サービスプロバイダーへのARKの取材結果に基づく概算値です。
  11. ここに含まれる記述の一部は、ARKの現在の見解や想定に基づく将来の予想およびそのほかの予想ベースの記述である場合があり、実際の運用結果、パフォーマンス、または事象がそうした記述で表現または示唆されているものから大きく異なる原因となり得る既知および未知のリスクや不確実性を含む場合があります。
  12. ドローンの耐用年数を3年、12030個の荷物を配送可能と想定しています。