1. 待望のビットコイン・ソフトウェア・アップグレード「Taproot」のアクティベーション、もう間近
2017年のSegWit以来、最も期待され、熱く支持されているビットコインのアップグレードであるTaproot（タップルート）のシグナリング期間がビットコインネットワークで始まってから1ヵ月となりました。2018年1月、Bitcoin Coreの開発者であるグレッグ・マックスウェル氏は、ビットコイン取引のプライバシーと効率性を高めるためにTaprootを提案しました。ビットコインのデジタル署名方式を改善するもう1つのアップグレードであるSchorr（シュノア）署名に加えて、Taprootは、ビットコイン取引がライトニングネットワークチャネル上であろうと、ピアツーピアであろうと、複雑なスマートコントラクトであろうと、区別できないようにするはずです。
Taprootを起動するためには、この2週間の難易度調整測定期間中に、採掘されたブロックの90％に関わるマイナーがアップグレードへの支持を表明しなければなりません。この期間は、6回あるシグナリング期間のうちの3番目です。本記事を書いている時点において、この3番目の期間中にハッシュレートの90％以上がTaproot支持を通知できる1つ以上のブロックを採掘しましたが、支持が表明されたのはブロックの77％のみです。この期間では129ブロックしか残っていないため、Taprootのアクティベーションは次の3つの期間のいずれかを待たなければならないかもしれません。もし6つ目の期間の終わりまでに失敗した場合、開発者はユーザーによるソフトフォークのような別のアクティベーション戦略を追求しなければならないでしょう。
Taprootのアクティベーションまでの過程は、こちらでフォローすることができます。
2. 香港でデビューしたJD Logisticsと自動運転技術で進歩するMeituan（美団）
今週、JDの子会社であるJD Logistics (JDL)が香港で取引を開始しました。創業者のリチャード・リュー氏によると、JDLは、JDの厳しいeコマース・フルフィルメント要件を満たすため、業務の遂行に必要不可欠な要素を完備し、テクノロジーを駆使した物流インフラを提供しています。同社のIPO目論見書によると、JDLはJDの注文の約90％を24時間以内に処理して配送しています。
2017年、JDLは統合物流サービスをJD以外の顧客にも提供し始め、現在では収益の約50%を占めています。ARKの調査によると、JDLは、物理的なインフラ、独自の自動化と予測技術への規律ある投資、そして20万人の正社員のおかげで、最先端の総合物流企業を築いてきました。IPO申請書によると、JDLのクレーム発生率は業界平均の10％以下であり、配達された100万個の小包につき、業界平均が0.22件であるのに対し、0.002件となっています。
一方、今週の他の中国のイノベーション関連のニュースでは、Meituan（美団）社が第1四半期の業績を発表し、自動運転技術、特にドローンに焦点を当て、2025年までに1日の配達件数を4倍の1億件にするという野望を明らかにしました。
Meituan社は、これまでの成功により、平均注文額7.50米ドルで、配送あたりのコストを0.70米ドルに引き下げました。これに対し、米国の大手フードデリバリー事業者は、平均注文額が30米ドルで、配送あたりのコストが3米ドル近くかかります。その結果、中国のレストラン・飲食業全体に占めるフードデリバリーの割合は20％に達しており、米国の9％を大きく上回っています。
3. 新型コロナウィルスの大流行で加速するプライマリ・ケアにおける遺伝学の導入
一般的に、プライマリ・ケア（かかりつけ医）はほとんどの医療システムにおける最初の接点であり、遺伝子医療の未来にとって不可欠です。そして、遺伝子検査は、あらゆる疾患領域とライフステージに関連する可能性が高いと言えます。最も成熟した検査カテゴリーは、遺伝性疾患スクリーニング、非侵襲的出生前検査(NIPT)、キャリアスクリーニングであり、これらはすべてプライマリ・ケアに適しています。とはいえ、小規模なコンシェルジュの慣例を除き、プライマリ・ケア・プロバイダー(PCP)と遺伝子検査について話し合う機会を持つ人はほとんどいませんでした。このような障害があったにもかかわらず、あるいは障害があったからこそ、新型コロナウイルスの大流行は、遺伝学をプライマリ・ケアに統合するための道を開いたように思われます。
ほとんどの保険会社は、積極的な遺伝子検査をカバーしていません。保険が適用されたとしても、多くの患者や医師が、保険金の請求が拒否されることを心配するかもしれません。拒否されれば、検査につき何千米ドルもの請求が患者に戻ってくる可能性があるのです。2008年に可決された遺伝子情報差別禁止法(GINA)は、健康保険会社が遺伝子検査の結果に基づいて適格性や補償範囲を否定できないことを保証するものです。残念ながら、これらの保護は生命保険や障害保険には適用されません。ほとんどのPCPは、患者の迅速な訪問を奨励するサービス料系の下で運営されています。
遺伝子検査と解釈は、このモデルには適していません。最近のレビューでは、運営上の課題がいくつか取り上げられています。(a)家族歴の収集の難しさ、(b)検査前後の患者教育、(c)検査結果の解釈の難しさ、(d)電子カルテ(EHR)や臨床意思決定支援ツール(CDST)とのバックエンド統合、(e)遺伝カウンセラー(GC)への公平なアクセス、などです。
新型コロナウィルスの大流行をきっかけに、革新的なバーチャルヘルスケア企業や遺伝子検査企業がこれらの障害に対処する態勢を整えていると私たちは考えています。さらに重要なことは、これらのグループが互いに協力することに大きな動機付けがあるということです。
Teladoc (TDOC)、One Medical (ONEM)、Accolade (ACCD)などのグループは、バーチャルプライマリ・ケアサービスに積極的に投資しています。One Medical社の「クリック＆モルタル」プラットフォームは、デジタルと対面式のプライマリ・ケアの両方に対応しており、独自のEHRシステムを組み込んでいます。また、このモデルでは、医師にはサービス料ではなく給与が支払われ、医師の一日の大半を占める管理業務の負担を軽減することができます。このようなモデルは、バリューベースの遺伝子検査サービスに適していると考えています。
一方、Natera(NTRA)、Invitae(NVTA)、Myriad Genetics(MYGN)などの検査プロバイダーは、遺伝子検査を容易にするためにAI対応のチャットボットを立ち上げています。例えば、Clear Genetics社とYouScript社の買収により、Invitae社のプラットフォームは、同意、検査前後の教育、家族歴の自動収集、結果報告、バーチャル遺伝カウンセリング、EpicやCernerなどのEHRとの統合、CDST機能、低コストの患者負担オプションなどを提供しています。
私たちは、この2つのグループが提携し、高品質で縦断的なデータセットを作成することで、患者ケアの向上、機械学習アルゴリズムの訓練、顧客への価値提案の強化を図ることができると考えています。
4. 人工知能において重要な「正確さ」以外の尺度
歴史的に、研究者たちは主に正確さに基づいてAIモデルを評価してきました。モデルの精度が高いほど、同業者に対して高くランク付けされています。ただし、最先端のAIシステムの構築に焦点を当てたアカデミックな研究設定と比較してみると、現実世界では、精度だけが重要な尺度ではありません。研究データセットからのクエリには正確に応答しても、スペルミスを理解しない自然言語モデルは、チャットボットとしてはうまく機能しません。同様に、特定の人種や政治的意見に対して無意識のうちに偏っているモデルは、信用に関する決定をするべきではありません。
先週、Anthropicという新しいAIスタートアップが1億2,400万米ドルのシリーズA資金調達ラウンドを発表しました。OpenAIの元リサーチ担当副社長が率いるAnthropicは、より優れた解釈性と堅牢性を備えた大規模なAIシステムを構築するため、精度を超えた指標に焦点を当てています。FacebookAI は、Dynaboard by Facebook AI の立ち上げも発表しました。これは、精度、計算、メモリの堅牢性、公平性などの要素で AI モデルを評価し、研究者がアプリケーションに適したアルゴリズムを選択できるようにするツールです。たとえば、エッジで AI を使用する製品は、評価プロセスの精度よりも計算効率を重視する可能性があります。
ARK’s statements are not an endorsement of any company or a recommendation to buy, sell or hold any security. For a list of all purchases and sales made by ARK for client accounts during the past year that could be considered by the SEC as recommendations, click here. It should not be assumed that recommendations made in the future will be profitable or will equal the performance of the securities in this list. For full disclosures, click here.