By ARK Invest

本レポートは、2021年7月26日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#279」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. ARK Invest キャシー・ウッド、ジャック・ドーシー、イーロン・マスクによるライブ対談を目玉企画とした「The B Word」を共同開催

ビットコインが誕生してから12年以上が経過し、制度的にも受け入れられつつあるようです。ARK、Square、Paradigm、CCIの4社は、水曜日、ビットコインに焦点を当てたイニシアチブ「The B Word」を開催しました。これは、機関投資家がビットコインを採用し、そのネットワークをサポートする方法とそうすべき理由を説明することを目的としたものです。

この仮想会議では、8時間にわたって43人のスピーカーが登壇し、6つのトラックに分かれてトピックが展開されました。トラック1では、ビットコインに関する主流の説を取り上げ、最も一般的なビットコインの神話を解明することを目的としました。トラック2では、キャシー・ウッド、ジャック・ドーシー、イーロン・マスクによる基調講演が行なわれ、ビットコインが経済的エンパワーメントを促進するテクノロジーであることが強調されました。トラック3では、ビットコインのオープンソース開発者エコシステムをサポートすることの重要性を説明しました。トラック4では、ビットコインをサポートするには、そのセキュリティに対するリスクを理解し、対処する必要があることを説明しました。トラック5では、ビットコインについて政策立案者を教育し、賢明な規制監督を奨励することの重要性を強調しました。最後に、トラック6では、機関投資家の関心が高まる中、ビットコインの理念を維持することの重要性について述べました。

「The B Word」のコンテンツはこちらからご覧いただけます。

私たちは、この「The B Word」が今後もビットコインと、ビットコインが世界的に果たすであろう重要な役割について健全な議論を喚起し続けることを願っています。

 

2. PacBio社、Omniome社の買収でシーケンシングの精度を倍増

今週初め、高精度ロングリード・シーケンス技術の大手プロバイダーであるPacific Biosciences社(PACB)は、現金と株式取引を合わせて6億米ドルでOmniome社を買収しました。Omniome社は、Sequencing-by-Binding(SBB)と呼ばれるショートリード・シーケンス技術のパイオニアであり、現在のショートリードの現状よりも桁違いの高い精度でシーケンスデータを生成します。今回の買収により、Pacific Biosciences社は、ゲノムシーケンシング市場向けに忠実度の高いソリューションを提供する第一人者としての地位を確固たるものにすることができるでしょう。

PacBio社による買収の商業的・戦略的メリットを含め、Omniome社の技術についてより詳しく知りたい方は、今週公開したMediumの記事をご覧ください。

 

3. 中国が放課後の家庭教師派遣会社に営利団体から非営利団体への移行を強要としているとの報道

金曜日、中国の地元メディアBloombergは、中国が教育政策改革「二重削減」の一環として、放課後の家庭教師(AST)派遣会社を非営利団体にすることを検討していると報じました。「二重削減」とは、学生が負担する宿題やAST入試の準備の負担を減らすことです。5月に中国がこのような政策改革の方向性を示して以来、地元メディアは、週末や夏休み・冬休み中の家庭教師の禁止、家庭教師サービスの広告の禁止、AST企業を監督する特別な組織の設立など、変更の可能性を報じてきました。金曜日に急落する前に、これらの報道によって、中国のAST株はすでに50%以上も下落していました。

今回の改革の背景には、中国が教育を重要な戦略課題としていること、学生への個別指導の負担が大きすぎること、保護者の費用負担が増大していること、さらには、裏では富裕層を優遇する不正なビジネスが行なわれていると報じられていることなどが考えられます。この変更が実施されれば、学生の生活の質が向上し、保護者のコストが削減される可能性があります。これは、中国の人口問題や新たな3人っ子政策を考えると、ますます重要なことであると言えます。

中国の新政策に伴うトレードオフとしては、AST分野における既存の投資家への多大な負担、より広範な株主の不安を煽っているように見えること、教育分野におけるイノベーションの喪失などが挙げられると考えています。長年にわたって資本の流れが中国の利益になってきましたが、最近の動きを見ると、中国は外国人の資本逃避のリスクを抱えることになるかもしれません。

 

4. コールセンターはこの世から消えつつあるか?

先週の日曜日、Zoomがクラウド・コールセンター・ソフトウェア・プロバイダーのFive9社を買収する契約を発表し、大きな話題となりました。コールセンターソフトウェアは、広範なクラウド導入に向けた移行の中において顕著な例外となっています。業界アナリストによると、2020年9月の時点で、コールセンターの10%しかクラウド化されていませんでした。

しかし、新型コロナウィルス大流行の危機は、この動きを変え、コールセンターのクラウドへの移行を促しました。自宅で仕事をしているエージェントは、会社のサーバーで稼働する既存のソフトウェアでは電話を転送することができませんでした。実際、多くの企業がリモートワークやハイブリッドワークのポリシーを恒久的に導入している今、クラウドへの移行は今後も加速していくでしょう。

人工知能によるサポート業務の自動化が進む中で、従来のコールセンターは存続するのでしょうか。2つの傾向は、彼らが時間の経過とともに段階的に淘汰されていくことを示唆しています。

1つ目の傾向は、お客様との主要なコミュニケーションチャネルが音声からテキストに移行していることです。テキストベースのコミュニケーションでは、サポートエージェントが非同期にリクエストを処理できるため、リモートワーク環境での接続性の問題が緩和され、音声よりも自然に自動化をサポートすることができます。さらに、ミレニアル世代やZ世代は、音声よりもテキストを好むようです。

2つ目の傾向は、サポート業務の自動化で、人間をループから排除することです。Five9社のデータによると、企業はコールセンターに年間2,300億米ドル以上を費やしており、そのコストの大部分を人件費が占めています。業界の専門家との会話によると、コールセンターにおける労働者の離職率は年間40〜60%であり、カスタマーサポート業務の自動化には強力な経済的インセンティブが働いています。TwilioやLivePersonのような先進的なソフトウェアプロバイダーは、人間をループから排除し、自然言語理解モデルを用いて同時に顧客の意図をモデル化しながら顧客と会話することで、カスタマーエクスペリエンスを向上させています。私たちが嫌う「支払いをするには “Pay Bill ”と言ってください。」というような単純な自動ツリーメニューモデルとは異なり、高度な自然言語理解モデルは驚くほど正確に意図を測ります。

今後10年以内にコールセンターが消滅する可能性は低いですが、テキスト化と自動化への移行により、支出が人件費からソフトウェアに移行するため、サポートコストが大幅に削減され、カスタマーエクスペリエンスが大幅に向上すると考えています。

 

 

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