本レポートは、2021年10月11日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#290」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
1. GoogleのDeepMindは遺伝子の発現を予測できる
Google(GOOGL)内のAI研究子会社であるDeepMindは、遺伝学の分野に大きな影響を与える可能性のある「Enformer」と呼ばれる強力なソフトウェアツールをリリースしました。Enformerは、DNAシーケンシングのデータを使用して、遺伝子発現のレベルを予測します。
DNAは、RNAとして転写または発現し、最終的にタンパク質になることを思い出してください。科学者たちは、さまざまな遺伝子の近くや遠くで発生するDNAの変異が、細胞内のRNAの発現をどのように変化させるかを理解したいと考えています。
Basenji2など、遺伝子発現を予測するための最先端のツールの多くは、ゲノム内の離れた領域からの情報を組み込むことが困難な畳み込みニューラルネットワーク（CNN）をベースにしています。対してEnformerは、自然言語処理（NLP）の原理を活用し、Basenji2の5倍の視野を持つ改良型の
トランスフォーマー・アーキテクチャを使用します。その結果、「実験的グランドトゥルース」に向けた方法の3分の1で遺伝子発現の予測を向上させることに成功しました。
ARKは、Enformerをはじめとするトランスフォーマー・アーキテクチャが、DNAの変異が健康や病気にどのように影響するかを研究および臨床関係者がより正確に理解するのに役立つと考えています。
2. 大規模な機能停止に見舞われたFacebook
先週の月曜日、FacebookはInstagramやWhatsAppを含むすべてのサービスを1日の大半にわたって停止する障害に見舞われました。定期的なメンテナンスの作業中、Facebookのバックボーンネットワーク上のトラフィックをチェックするための無害なコマンドを発行した際に、エンジニアが誤ってすべてのサービスを公共のインターネットから切断するように要求したのです。リモートで適切なサーバーにアクセスしたり、社内のツールを使って問題を解決することができず、ネットワークエンジニアは、問題を解決するためにFacebookのデータセンターに物理的にアクセスしなければなりませんでした。機能停止は非常に広範囲に及んだため、Facebook、Instagram、WhatsAppにおける停止の理由を理解すべくユーザーが殺到し、Twitterなどの他のウェブサイトでも大幅なパフォーマンス低下に見舞われました。
30億人近いユーザーがどれほどFacebookのサービスに依存してつながりを保ち、ビジネスを行なっているかを思い知らされた月曜日でした。重要なのは、集中型システムの欠点を示し、分散型ネットワークの価値を浮き彫りにしたことです。
3. 中古車価格が過去最高に
木曜日、マンハイムは中古車価格指数を更新し、以下に示すように9月に過去最高を記録しました。その一方で、中古車販売台数は前年比で13％減少しており、今後の価格変動の前兆かもしれません。
出所: https://publish.manheim.com/en/services/consulting/used-vehicle-value-index.html
物価の上昇により、消費者をデフレに対応した技術の採用へとシフトさせる傾向が、そうでない場合よりも早く、より広範に生まれる可能性があります。従来の自動車メーカーは、自動車販売台数が減少した理由として、チップ不足を指摘していますが、電気自動車への移行が加速する中、ガソリン自動車の需要が期待通りに回復しなければ、驚くことになるかもしれません。
4. Netflixの新しいヒットシリーズ「イカゲーム」は記録を塗り替えるかもしれない
現在、Netflixで最も人気のあるシリーズは「Bridgerton」で、配信開始から4週間で8,200万世帯が視聴しました。しかし、共同CEOのテッド・セランドス氏によると、韓国で制作された新しいオリジナルシリーズ「イカゲーム」が、Netflix史上最も視聴されたシリーズになる勢いであるそうです。下図に示すように、Googleの検索ボリュームはセランドス氏のコメントを裏付けるもので、このシリーズが1億世帯の視聴を突破することを示唆しています。
5. Google社、銀行口座の展開計画を中止
Google社は、デジタルウォレット「Google Pay」向けのバンキング商品であるPlexをキャンセルしました。2020年に発表されたGoogle Plexは、CitigroupやStanford Federal Credit Union（スタンフォード連邦信用組合）などのパートナー銀行や信用組合を通じて、ユーザーにフロントエンドのコンシューマーバンキング体験を提供することを目的としていました。
Google社は、銀行と競合するのではなく、銀行と「深く提携」し、既存の金融インフラと統合することを計画しました。一方、提携銀行は、Google社の技術的専門知識を活用し、ユーザーに適切に設計されたモバイル体験を提供することを望んでいました。約40万人のウェイティングリストを持つこの製品は、ユーザーの大きな関心を集めました。
WSJによると、Google社は、経営陣の離脱や納期の遅れなどから、このプロジェクトの中止を決定したそうです。私たちの見解では、もうひとつの理由は、最大の広告主およびクラウドの顧客である銀行との競合を回避するというGoogle社の決定であった可能性があると考えています。
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