本レポートは、2022年1月18日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#301」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
1. 予想を大幅に下回るインフレの可能性に焦点を当てたARKの1月のmARKet update（ウェビナー）
まず、先週のmARKet update（ウェビナー）のリプレイをこちらでご覧ください。
Cathie WoodとARKのアナリストチームは、同社のイノベーション研究と投資について、マクロ経済的な背景を踏まえて議論しました。特別ゲストのナンシー・ラザー氏（Cornerstone Macro社のチーフエコノミスト）は、マクロ的背景、特に予想を大幅に下回るインフレの見通しについて見解を述べています。また今回のmARKet updateでは、ARKの最新のブロックチェーン関連のリサーチであるオンチェーンデータ（ビットコインを評価するためのフレームワーク）についても取り上げました。
通常通り、mARKet updateでは、皆さまから寄せられた質問を中心に、活発な質疑応答が行なわれました。イノベーションに関心のある方は、ぜひ、Twitterのハッシュタグ #AskARKや、電子メール（info@ark-invest.com）、またはウェビナー中のチャットからmARKet updateへの質問をお送りください。
2. 豚から人への初の心臓移植で臓器移植への希望が広がる
今週、移植科学は新たなマイルストーンを達成しました。外科医が初めて豚から人への移植手術を成し遂げたのです。これは、ニューヨーク大学のランゴン病院で、遺伝子操作された豚の腎臓移植が行なわれてから、わずか数ヵ月後の出来事です。
臓器を待ちながら、毎日17人もの人が亡くなっています。今日の臓器移植待機者リストの人数は106,726人にのぼります。異種移植は、この重要なニーズに応えるために進化していると私たちは考えます。
これまで、糖尿病の膵臓細胞、心臓弁、火傷患者の皮膚など、さまざまな用途に使われてきたブタの臓器は、およそ6ヵ月で人間の大きさになるため、異種移植における魅力的な対象とされてきました。今週、異種移植された心臓には、心臓の成長とヒトの拒絶反応を防ぐためにノックアウトされた4つの遺伝子と、ヒトの免疫系との臓器適合性のためにノックインされた6つの遺伝子の、計10の遺伝子改変が施されていました。
3. 新興国における暗号通貨の普及が急増中
今週、トルコとブラジルの暗号通貨取引が急増し、発展途上国における暗号通貨の普及が加速する可能性があることを示唆しています。ウォールストリートジャーナルによると、Chainalysisは、トルコの暗号通貨取引量が2020年第4四半期の1日平均1億6,900万米ドルから前四半期の18億米ドルに1065％増加し、トルコリラ安に対応していると報告しました。トルコでは、物議を醸したステーブルコインであるTetherが、ドルとユーロの両方を上回る勢いを見せました。
ブラジルでは、エドゥアルド・パエス市長がリオ・イノベーション・ウィーク中に、リオデジャネイロ市の資産の1％をビットコインで運用し、ビットコインで支払われたすべての固定資産税から10％を控除すると発表しました。パエス市長の発表は、マイアミ市のフランシス・スアレス市長との対談に続いて行なわれました。
ARKの白書「Bitcoin As An Investment」で強調されているように、ビットコインは新興国市場において重要な貯蓄手段になる可能性があるため、企業が法定通貨ではなくビットコインでの支払いを好むようになる可能性もあります。そうなれば、法定通貨化の速度が上がり、インフレと通貨切り下げを悪化させる可能性があります。最悪の場合、ハイパーインフレでドル建ての債務が無価値になる可能性もあります。
ビットコインのネットワークはまだ始まったばかりですが、そのインフラが拡張され、クリティカルマスに達すると、新興市場におけるビットコインの需要は増加する可能性があります。当社の調査によると、仮にビットコインが4大法定通貨（米ドル、円、人民元、ユーロ）を超える世界の通貨ベースのわずか5％を獲得した場合、その市場規模は現在の8,000億米ドルから2027年までに3倍以上の2兆8,000億米ドルとなる可能性があります。
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