By ARK Invest
本レポートは、2022年2月14日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#305」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
1. 非代替性トークン(NFT)は、医療情報管理の問題解決に役立つか?
先週、ベイラー医科大学、ハーバード大学医学部、ミュンヘン工科大学、およびコペンハーゲン大学等に所属する科学者らは、NFT(あるいはNFTに似た個人の健康情報フレームワーク)が消費者に個人の健康データの所有権と管理権を与える可能性があるという説得力のある主張を行ないました。この論文は、ARKのアナリストが2016年に調査した可能性を再活性化させるものです。
米国では、非効率的でまともに機能していないデータ管理システムのせいもあり、年間3兆米ドル以上(GDPの20%近く)が医療費に費やされています。最近のブロックチェーン技術と法的枠組みの進歩は、パブリック型ブロックチェーンに着目し、医療システムの体系的なデータ関連の弱点を解決する時期に達したことを示唆しています。
2. クリティカルシンキングを身につけるAIの探求で大きな進展を示したDeepMindの新しいプログラム
Alphabet社の子会社DeepMind社は最近、コーディングコンテストで上位54%にランクインする新しい人工知能プログラムを発表しました。これは、ソフトウェアエンジニアリング業務に必要なクリティカルシンキングに大きな進歩があったことを示すものです。ARKのリサーチでは、AIツールがソフトウェアエンジニアの生産性を2倍に高め、世界の知識労働者の生産高を56兆米ドル増やし、2030年までに約80兆米ドルの企業価値を創出する可能性があると予測しています。
コーディングコンテストで成功を収めるため、DeepMind社の研究者たちは、オープンソースのコードで変換器ベースの言語モデルを事前にトレーニングし、競争力のあるプログラミングデータセットからのサンプルを使用して微調整を行ないました。 OpenAIがCodexを発表してから1年も経たないうちにリリースされたDeepMind社のモデルは、人間のトップレベルのパフォーマンスには及びませんでしたが、コンテストでも素晴らしい結果を残しており、2030年までにはAIモデルが人間のプログラマーを上回るだろうという我々の確信を強めました。
3. オンチェーン・アナリストたちは、司法省のビットコイン押収について、公表の1週間前に知っていた
今週、米国司法省(DOJ)は、史上最大の金融差し押さえを発表しました。これは、よく知られている、2016年に暗号取引所のBitfinex(ビットフィネックス)からハッキングで盗まれた約36億米ドル相当の9万4000ビットコインを超えるものです。米国司法省はイリヤ・リヒテンシュタイン、ヘザー・モーガン夫妻をハッキングではなく、ハッキング後に資金洗浄を行なった容疑で逮捕しました。
TIME誌で報じられたように、2016年のハッキングでは、さまざまなBitfinexユーザーが約2000件の取引を「承認」し、ハッカーのウォレットに約12万ビットコインが送られました。2017年、リヒテンシュタインとモーガンは元のハッキングを覆い隠し、Silk Roadに似たダークネット市場であるAlphabayを介して資金洗浄を行ないました。同年、米国の法執行機関がAlphabayを閉鎖すると、ロンダリングはロシアのダークネット市場であるHydraに移行し、Wasabi Walletを介してビットコインを「混ぜる」ことも行なわれました。Alphabayのユーザーアカウントにアクセスできたことから、司法省はビットコインアドレスを、小さいシェルや銀行口座、金やNFT、プレイステーションのギフトカードの購入など、犯人の日常使いの金融口座と消費行動に結びつけました。
この事件の当事者については知らなかったものの、一般のオンチェーン・アナリストたちは司法省が発表する1週間前にこの押収を知っていました。このことは、ビットコインのブロックチェーンの開放性と透明性を浮き彫りにしています。ここで重要なのは、オンチェーンのスペシャリストたちが、政府機関に関連すると思われる事業者が不正に取得したビットコインを移動させたことを見抜いたことですが、それは、当該事業者が取引を一切隠そうとせず、盗んだビットコインを1つのアドレスに統合していたからです。
誰でもビットコインの取引をリアルタイムで追跡できるため、今回のケースでは、オンチェーン・アナリストたちが、政府が盗まれたビットコインを回収したことを察知することができました。
つまり、パブリック型ブロックチェーンは、従来の金融市場を動かしてきた情報の非対称性を許していません。これは、ブロックチェーン技術で構築されたグローバル金融システムが、2008~2009年のような金融危機の震源地であるカウンターパーティーリスクを防ぐ可能性を示唆するものと言えます。
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