By ARK Invest

本レポートは、2022321ARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#309」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. 公開市場は、レイトステージのベンチャーキャピタルや投資銀行が設定したIPO株の評価を否定している模様

20223月現在、過去4年間に新規株式公開(IPO)を行なって上場した企業の約3分の1は、こちらのグラフにあるように、以前の非公開市場の評価額を下回る価格で取引されています。

私たちの見解では、こうしたデータは、公開市場の投資家がベンチャーキャピタリストや投資銀行によって設定されたレイトステージ(事業の方向性がしっかり見えてきた段階にあるベンチャー企業)やIPO株の評価を、否定していることを示唆するものです。注目すべき例の1つとして、投資銀行がWeWork社を、2019年後半にIPOが失敗する前は1,040億米ドルと評価していたことが挙げられます。これは、20191月の民間資金調達ラウンドにおける同社の評価額460億米ドル2倍以上です。そして2021年、WeWork社はSPAC経由で90億米ドルの評価額で上場しましたが、その後、半分の45億米ドルにまで減少しました。[1]

重要なのは、レイトステージのベンチャーキャピタルの投資家が、株式の損失に対して清算優先権で自分たちを保護するため、従業員も、非公開市場でのダウンラウンドや公開株式市場での株価下落の影響を受けるという事実に気付きつつあるということです。WeWork社の大失敗の時と同様に、過去1年間のイノベーション分野におけるアーリーステージの上場企業の厳しい評価圧縮に対して、プライベート・エクイティの記録的な評価額が並存していることが、非公開企業の人材を獲得・維持する能力に打撃を与えている兆候が現在見られます。「経験豊富な採用担当者は、天井知らずのバリュエーションに見合うだけの価値を求めており」「候補者側は、アップサイド(上昇余地)が少ないと見て、優良企業からの内定を辞退している」のです。[2]

[1]2022317日現在、ブルームバーグ調べ。
[2]https://twitter.com/paulinebhyang/status/1503462013028036610

  

2. ロボットの「Flippy」と「Chippy」が、フードサービスに登場

米国では労働力不足が、外食産業の自動化の機会を生み出しています。先月には、ファストフード・チェーンのWhite Castle(ホワイト・キャッスル)がMiso Robotics社のハンバーガーをひっくり返すロボット「Flippy(フリッピー)」を100店舗に導入し、メキシコ料理レストランチェーンのChipotleチポトレMiso社のトルティーヤ製造ロボット「Chippy(チッピー)」のテスト運用をカジュアルレストラン数店舗で開始しました。

ライトの法則とは、「コストが下がると製品の普及が進む」というもので、ARKのリサーチでも産業用ロボットをその典型例として多く取り上げています。当社のリサーチによると、産業用ロボットのコストは劇的に低下し、生産量が累積で2倍になるごとに約50%ずつ低下していますが、なぜかロボットの需要は、価格の推移に応じた弾力的な伸びが見られませんでした。その結果、ロボットの普及は、別の変数に依存することが分かりました。後方互換性、つまり既存のインフラストラクチャの中でロボットを動作させることができる設計です。後方互換性のおかげで、レストランはFlippyChippyなどのロボットを実験的に導入し、新しいシステムやキッチンデザインへの高額な投資を避けることができます。この設計原理は、自動運転車のようなより広範なロボットのコスト削減と普及率に影響を与えるはずです。

 

3. Ethereumの新しいプルーフ・オブ・ステークネットワークへの入金が、移行日が近づくにつれて加速中

2015年にEthereumが登場して以来、コミュニティは取引を確認し、ブロックチェーンにコミットするためのより効率的で効果的な方法を評価してきました。7年近くにわたる検討、研究開発、遅延を経て、現在の「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」マイニング合意メカニズムへの移行(「The Merge」と呼ばれる)が間近に迫っているようです。先週、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)の準備が整ったことを示す最初の大きなシグナルとして、コア開発者はEthereumのテストネットワークであるKiln上でThe Mergeのシミュレーションに成功し、残りのテストネットワーク、そして最終的にはEthereum自体を6月までにプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ移行する意向を発表しました。

イーサ(ether)の時価総額が3,500億米ドル、現在、分散型金融(DeFi)の価値が900億米ドル近くあることを考えると、この「移行」の成功に伴うリスクは高いです。しかし、以下に示すように、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)契約に対する新たなイーサのコミットメントが急増しており、「移行」が成功する確率が高まっていることを示唆しています。

 

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注目すべきは、この「移行」によってネットワーク上でのGPUマイニングが終了し、おそらくNvidia社とAMD社に大きな影響を与えるであろうということです。私たちの見解では、ゲーム市場におけるGPUの売上は、イーサマイニングの波及需要に対応して急騰しています。

 

 

 

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