By ARK Invest

本レポートは、202252ARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#314」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. Twitterのフルポテンシャル発揮が目前に 

Twitterの潜在能力を最大限に引き出すには、サードパーティの開発者が独自のユーザー体験、アルゴリズム、デザインを構築できるようにする必要があります。ベン・トンプソン氏の最近のエッセイ「Back to the Future of Twitter」では、Twitter2つのエンティティに分けています。データとソーシャルグラフを管理するTwitter Serviceと、Twitter User Interface (UI)です。もしサードパーティがTwitter Service上でアプリケーションを構築するようになれば、その競争によりTwitterの複雑で一見手に負えないコンテンツモデレーション問題の一部解決につながると考えられます。

また、サードパーティの開発者にプラットフォームを開放することで、より多くのユーザーを満足させるためのTwitterの取り組みを向上させるかもしれない新しいビジネスモデルが可能になります。サードパーティが生み出すUIの収益にプラットフォーム料金を課すことも一つの案です。「インターフェイスのマーケットプレイス」では、あるユーザーはスポーツやmeme(ミーム:「ネタ画像」のようなもの)なしでもTwitterを楽しむことができ、また別のユーザーはツイートを選別して血圧を下げることができるようになるでしょう。ユーザーは、広告ネットワークや購読モデルを通じて収益化することができます。

ARKの見解としては、Twitterのネットワークは膨大な情報価値を有していると考えています。キュレーションを社外で展開することが、Twitterのポテンシャルを引き出し、最終的に収益化するための最良の方法かもしれません。

  

2. 生き残りに苦労しているワンクリック購入

オンラインマーチャントが「ワンクリックチェックアウト」を提供できるようにする決済スタートアップのBolt(ボルト)社は、顧客の維持に苦戦しているようです。最近の報道によると、2021年の同社の収益はわずか10%増の2800万米ドルで、直近の110億米ドルの非公開評価額は収益の400倍となり、202110月の前回のラウンドでの60億米ドルのほぼ2倍になりました[1] これに対し、PayPal社の収益は2021年に18%増加し、時価総額は同時期に25%下落して収益の9倍となっています[2]

ワンクリック注文に関するAmazon社の特許が切れてから1年後の2019年に、Bolt社の競合の1つであるFast(ファスト)社が設立されました。2021年初頭、ベンチャーキャピタルは同社を58000万米ドルと評価していました[3]。これは、月額1000万米ドルの現金を消費していたため、予測された60万米ドルの収益のおよそ1000倍の額です。先月、ベンチャーキャピタルを利用することができなくなったFast社は、事業停止しました。

過去10年間において、新しい決済手段は、まず消費者や加盟店といったネットワークの一方を支配し、その後でもう一方の側に流通を拡大させることで成功を収めてきたと私たちは考えています。Apple PayiPhoneを通じて、WeChat PayWeChatを通じて消費者を所有し、またShop PayShopifyのコアマーチャント製品を通じて、AlipayAlibabaを通じてマーチャントを所有してきました。

消費者向け決済スタートアップであるFast社とBolt社は、加盟店と消費者の両方に採用されなければならないチェックアウトソリューションという二面性のある製品の拡張がいかに困難であるか身をもって知る結果となりました。

[1] 評価額はPitchBookより出典。

[2] 2021年第4四半期の時価総額と2021年第4四半期末の売上高に対する株価の倍率は、YChartsより出典。

[3] PitchBookによる。

 

3. 規制推論におけるイノベーションの必要性が強調されたCrypto Bahamas会議 

先週、SALTFTXが共催したCrypto Bahamasでは、暗号ビルダー、投資家、ユーザーなどが一堂に会し、レイヤー1スマートコントラクトブロックチェーン、分散型金融(DeFi)、Web3などについて議論しました。共通して取り上げられたのは暗号資産(仮想通貨)の規制でした。

ARKが参加したパネルでは、最大のDeFiプロトコルの2つであるUniswap(ユニスワップ)とAave(アーベ)が、規制推論に関する2つのモデルを奨励しました。

まず、現行の金融規制は仲介者のリスクを監視・管理していますが、暗号ネットワークは従来の仲介者を必要としないため、金融取引におけるカウンターパーティーリスクを制限する重要な機能を備えています。この違いだけでも、イノベーションを促進しながら投資家を保護する新しい規制パラダイムの必要性を示しています。

第二に、規制当局は、パブリックブロックチェーンインフラの透明性とピアツーピアの性質が脅威ではなくツールであり、そこに実装されているコンプライアンス基準が、今日の金融システムのものよりも優れている可能性があることを理解すべきです。

FTXは、これらのモデルを説明するために、米国で暗号通貨デリバティブ取引を開始するためのCFTC(商品先物取引委員会)への申請を取り上げ、暗号通貨取引の即時決済によって証拠金リスクをリアルタイムで監視できること、またこれは従来の金融インフラよりも大幅に改善されていることを強調しました。

ブロックチェーン技術とDeFiの進化に伴い、規制当局が金融の安全性と安定性だけでなく、コラボレーション、実験的取り組み、教育にも重点を置くようになることを信じています。そうすることで、イノベーションを促進しながら投資家を保護するための思慮深い対策を導入してくれることでしょう。

 

 

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