By ARK Invest

本レポートは、2022年718にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #325」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. NetflixDisneyの新しいパートナーシップは、リニア広告からデジタル広告へのシフトを裏付けるもの

By Nick Grous and Andrew Kim | @GrousARK
Associate PM and Analyst

先週、Netflixは、新規に低価格で広告付きの定額制プランを提供するにあたり、Microsoft社を「グローバル広告テクノロジーおよびセールスパートナー」にすることを発表しました。2021年にAT&TからXandr広告プラットフォームを買収したMicrosoft社は、Netflixのすべての広告インベントリ(在庫)に対応するために、今後は投資を加速させなければならないはずです。Netflix社が選択し得た多くの潜在的パートナーの中で、Microsoft社は最も独立性が高いものの、競争の激しいストリーミング分野では未経験のプレーヤーです。Needham社のシニアアナリストであるローラ・マーティン氏が指摘したように、Microsoft社は、Netflixを適切に表現できるようになるまでに、かなりの機能を開発しなければなりません。

一方、Netflix社のライバルであるDisney社は、先日、The Trade Deskを広告パートナーに選んだと発表しました。同社は、Disney+、Hulu、ABC、ESPNといったストリーミングとリニアの両プロパティにおいて、広告主や代理店とディズニーの広告在庫をつなぐ主要なデマンド(需要)サイドプラットフォーム(DSP)となります。今回の提携は、Disney社が2026年までに50%を目標に、より多くの広告在庫をプログラム販売するという取り組みにおいて重要なステップとなります。The Trade Deskとそのオープンソース識別子であるUnified ID 2.0の使用により、Disney社は貴重な自社データを活用し、安全かつ匿名化された方法でオーディエンスと広告主をマッチングできるようになるはずです。

こうしたパートナーシップは、プログラマティック広告の採用を加速させる可能性が高いと言えます。サイト運営者も広告主も、リニアTVと比較してストリーミングが広告費用対効果(ROAS)をどれだけ向上させるかを定量化できるようになるはずです。

当社の新しいオープンソースであるRoku評価モデルリサーチ記事で説明されているように、全世界のデジタル広告支出は今後5年間で、2021年の約4,390億米ドルから2026年には8,500億米ドルにまで年率で14%増加する一方、リニアTV広告の支出は1,690億米ドルから1,380億米ドルへと年率で4%縮小する見込みです。Netflix社とDisney社の最近の動きにより、私たちはこの予測にさらに確信を持つようになりました。

 

2. TwistDNAnexusの提携により、癌の液体バイオプシーの開発と商業化が加速される見込み

By Simon Barnett | @sbarnettARK
Analyst

先週、 Twist Bioscience (ツイストバイオサイエンス/TWST)社は、ゲノムデータのクラウドベース分析、データ管理、R&D(研究開発)ツールを提供する民間企業であるDNAnexus社と商業的パートナーシップを提携しました。それにより、Twist社の次世代シーケンス(NGS)サンプル前処理製品の一部を使用している顧客は、DNAnexusのポストシーケンス解析ツールとシームレスなエンドツーエンドソリューションにアクセスできるようになりました。

最初の製品は、Twist社のDNAメチル化キットユニーク分子識別子(UMI)キットであり、いずれも癌などの疾患のリキッドバイオプシー(液体生検)の開発・商品化に使用されています。バイオインフォマティクスの科学者は、予算の制約からゲノムデータの解析と研究所のソフトウェア基盤の拡張に時間を割かざるを得ないことが多いため、Twist社とDNAnexus社の提携により、イノベーションの全体速度を低下させてきたボトルネックを解消できるかもしれません。Twist社のNGSソリューションとDNAnexus社のソフトウェアスイートを組み合わせることで、バイオインフォマティシャンたちはデータベース管理ではなく、製品の作成と分析に力を注ぐことができるようになるはずです。

TwistとDNAnexusの両社は、それぞれのプラットフォームを基盤に、新しい癌診断薬の市場投入までの時間を短縮することで、利益を得ることができるでしょう。実際、Twist社とDNAnexus社は、シーケンシングプロバイダーと診断プロバイダー間のシェア争いには無関心であり続けると思われます。最終的には、この2社のコラボレーションが、Illumina(イルミナ/ILMN)社のBaseSpaceに代わる強力な選択肢を、Illumina以外のシーケンサーユーザーに提供可能にすると考えられます。

 

3. イーサリアムのハッシュレートは、Proof-of-Stakeコンセンサスへの移行完了に伴い低下中

By Frank Downing | @downingARK
Analyst

イーサリアムが待望していたプルーフ・オブ・ワーク(Proof-of-Work / PoW)からプルーフ・オブ・ステーク( Proof-of-Stake / PoS) コンセンサスへの移行がほぼ完了しました。これは、2015年の創業以来スマート・コントラクトブロックチェーンのロードマップにおいて最も重要なマイルストーンとなるでしょう。

過去数ヵ月の間に、コア開発者とノードオペレータは、イーサリアムの4つの主要なテストネットワークをPoSコードベースに移行する作業を開始しました。7月6日にはSepolia(セポリア)テストネットの移行が成功し、コア開発者がメインネットワークでの最終的なマージを完了する前に移行するのは、Goerli(ゴレリ)テストネットを残すのみとなりました(おそらく9月に)。

この「The Merge」により、イーサリアムネットワーク上のProof-of-Workマイニングが終了し、現在マイニングに使用されている消費者向けグラフィックスカード(GPU)が不要になります。また、この「The Merge」を予測して、5月上旬以降、暗号通貨の価格が広範囲にわたって下落したため、イーサリアムのハッシュレートの低下は、マイナーたちがネットワークからキャパシティの移行を進めていることを示唆しています。

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4. MynaricCEOのブレント・アルタン氏と探る宇宙レーザー通信

By Sam Korus | @skorusARK
Associate Portfolio Manager

ARKの最新ポッドキャストでは、Mynaric(マイナリック)社のCEOであるブレント・アルタン氏が、既存の規制の制約を回避できる衛星用光通信について解説しています。ぜひお聴きください。エピソード全体はこちらから。また、このポッドキャストの主なトピックは以下のとおりです。

  • ブルント・アルタン氏が語る宇宙産業とSpaceX社での仕事
  • ブレント氏がMynaric社CEOになるまでの道のり
  • 光通信を使わない衛星システムの仕組み
  • 重要なファイアウォールを持つ国々で活動する機会
  • レーザー通信の精度
  • ドローン間での通信
  • Mynaric社のシステムの性能においてソフトウェアが果たす役割
  • 軌道上通信の潜在的なコスト低下の軌跡
  • 宇宙レーザー技術で通信するためにはどのくらいの電力が必要か?
  • Mynaric社とNorthrup Grumman(ノースロップ・グラマン)社、L3Harris(L3ハリス)社との提携について

 

 

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