By ARK Invest

本レポートは、2022103ARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #336」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. Block社のTBDCircle社の新しいパートナーシップが、ステーブルコインへの幅広いアクセスを提供する

By Yassine Elmandjra | @yassineARK
Analyst

先週サンフランシスコで開催されたConverge22カンファレンスで、Circle社はBlock社のビットコインに特化した子会社であるTBD新たに提携し、世界中のユーザーにステーブルコインを提供すると発表しました。

TBDは当初、開発者が暗号通貨に直接アクセスするためのオープンプラットフォームとして立ち上げられましたが、Circle社と協力し、開発者とウォレットプロバイダーが、従来の法定通貨とビットコインなどの暗号通貨間のオンランプとオフランプを含め、ステーブルコインを支えるネイティブプロトコルに直接関与できる基盤を構築していく予定です。

「米ドルは今日の基軸通貨ですが、我々はビットコインが明日の基軸通貨になるかもしれないと考えています。ステーブルコインはその間の橋渡し役なのです。」と、TBD社の最高執行責任者であるエミリー・チウ氏は発表中に述べています。

パートナーシップの最初のマイルストーンを達成するために、TBD社はクロスボーダー(国境を越えた)送金と、新興市場での暗号通貨の普及に有望なステーブルコインを保持するデジタルウォレットをサポートする予定です。そうなれば、送金に依存している低・中所得国では、暗号通貨は現在の平均送金コストである6から数ベーシスポイントまで取引コストを大幅に引き下げる可能性があると考えます。ステーブルコインの導入により、利用者はコストだけでなくボラティリティも下げることができるはずです。

また、他のステーブルコインの中でも、時価総額で2番目に大きいステーブルコインであるCircle社のUSDCは、クロスボーダー決済の橋渡しを容易にする可能性が高いと考えられます。同様に、Block社も新興国でのサービス展開に伴い、ステーブルコインを活用できるはずです。

 

2. Meta Platforms社、テキストから動画への生成モデルを自社で導入

By Andrew Kim | @andrewkimARK
Research Associate

先週の木曜日、Meta Platforms社は、テキスト入力から映像を生成する新しい自社製人工知能(AI)モデルの詳細を示す研究結果を発表しました。今年リリースされた「DALL-E 2, Midjourney(ミッドジャーニー)、およびStable Diffusionのリリースは、テキストから画像へのモデリングにおける重要な進歩を表していますが、おそらく動画と描写テキストを組み合わせた大規模なデータセットの供給が少ないために、テキストから動画への生成に関する研究が遅れています。Meta社の新しい研究によると、Make-A-Videoモデルは、既存のテキストから画像へのモデルフレームワークと、ペアリングされていないビデオデータに対するスーパーバイザー無しの学習を併用することで、この障害を回避することができるそうです。この2つのアプローチを組み合わせることで、同社はテキストから画像へのモデルでリアルな動きを学習できるようにし、またMake-A-Videoが音声なしの短いビデオを作成することを可能にしました。

Meta社のウェブサイトでは、ユーザーが入力した映像のバリエーションを生成するだけでなく、「シュール」「リアル」「スタイライズ(様式化)」といった映像スタイルを指定したり、ユーザーの静止画や画像ペアから動きを推測したりと、Make-A-Videoを活用するためのさまざまな方法を紹介しています。合成映像の実用化はまだ先ですが、今年に入ってからAIの研究は大きく進展しています。デジタルビデオアートからデジタル広告の合成促進まで、様々なユースケースを想定しているようです。とはいえ、Meta社はその機能を実戦テストするであろう一般ユーザー向けには、まだMake-A-Videoを公開していません。

 

3. Prime Medicine社、IPOに向けS-1を提出

By Ali Urman | @aurmanARK
Analyst

先週、米国特許商標庁(USPTO[1]の特許に基づくプライム編集用の知的財産(IP)を保有するPrime Medicineは、来たる新規株式公開(IPO)に向けてS-1[2]を提しました。

プライム編集は、CRISPR-Cas9タンパク質に新たな機能を追加するもので、ハーバード大学ブロード研究所、およびハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)のデビッド・リュー博士の研究室から生まれた最も新しい遺伝子編集技術です。

生きている細胞では、プライム編集により、DNAの二本鎖、すなわち二重らせんを切断することなく、DNA配列の一部を狙った部位にコピーすることができます。二本鎖DNAの切断は、制御不能な「インデル」(挿入や欠失)のほか、転座、p53の活性化、染色体切断などの細胞変化や、標的部位の欠失を引き起こす可能性がありますが、プライム編集は、その前身である塩基編集と同様に、こうした望ましくない結果を回避することができます。

プライム編集では、「プライムエディターガイドRNA」(pegRNA)がCas9タンパク質を正しいDNA配列に導き、編集した配列のどの部分を挿入すべきかを指定します次に、無効化されたCas9タンパク質がDNA1本鎖を切り取ります。その次に、操作された逆転写酵素がCas9タンパク質に融合し、その編集された配列が細胞宿主のDNAの切り取られた標的部位にコピーされます 。その後、細胞は編集されたDNA配列をそのゲノムに組み込んで永久的な変化をもたらします。研究者は、数十個のヌクレオチドを持つ任意の配列を、開始配列に置き換えるように指示できるため、プライム編集は、遺伝子を破壊して修正しないCRISPR-Cas9よりも正確で汎用性が高いようです。

プライム編集は、遺伝子編集と、そのツールボックスの機能がますます向上するための、とてつもない前進になる可能性があると言えます。Prime Medicine社からのさらなるアップデートに期待します。

[1] United Sates Patent and Trademark Office(米国特許商標庁)。
[2] S-1
:企業が株式公開する際にSECに提出する登録書。

 

 

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