By ARK Invest
本レポートは、2023年1月31日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #351」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
1. 大手銀行が商業決済用のデジタルウォレットを立ち上げる計画
By Maximilian Friedrich | @mfriedrich
ARK Venture Committee Member & Analyst
Wells Fargo(ウェルズ・ファーゴ)、JP Morgan Chase(JPモルガン・チェース)、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)の他、米国の4つの銀行が、Cash AppやApple Payなど人気のデジタルウォレットに対抗して、オンライン購入用の消費者向けデジタルウォレットの立ち上げを計画していると報じられています。Zelleを運営する銀行傘下のEarly Warning Systemsがウォレットを管理する予定です。Zelleは、米国の複数の銀行間で送金ができるピアツーピア決済サービスです。
様々な報道によると、このウォレットは銀行口座ではなく、消費者のデビットカードやクレジットカードと結びつけられるため、銀行はインターチェンジ手数料を獲得できるようになり、金利以外の収入を強化することができるようになるそうです。この重要な項目に関して、2022年にBank of Americaが非金利収入の約30%をカード決済から得ており、リワードやその他のインセンティブ費用を除くと15%程度になると報告されています。
銀行が運営するデジタルウォレットは成功するのでしょうか。これまでの歴史は答えがNoであることを示唆しています。2012年、CVS Health、Target、Walmartなどの米国の小売業者グループが、Apple Payに対抗するため、モバイル決済システムMCX(のちにCurrentCに改名)を立ち上げました。2014年、WalmartはApple Payの受け入れを拒否しましたが、現在もまだブロックされた状態が続いています。Apple Payの成功とは対照的に、CurrentCが人気を得ることはありませんでした。そして、JP Morgan Chaseは同社のQRコードベースの決済サービスでありデジタルウォレットであるChase Payシステムを強化するためにCurrentCを買収しましたが、結局のところChase Payに1億米ドル以上を投資した挙句、2020年にChase Payを閉鎖したのです。
2. Tesla、順調に納車中...次の一手は?
By Tasha Keeney | @TashaARK
Director of Investment Analysis & Institutional Strategies
先週の決算説明会で、Tesla社は2023年のEV生産台数を31%増の180万台と予測しましたが、イーロン・マスク氏は46%増の200万台も可能であると発言しました。同氏はまた、最近の受注台数は生産台数の2倍のペースで増加しており、投資家の需要に対する懸念を払拭しているとも述べています。
また、イーロン氏は、自動運転タクシープラットフォームが史上最大の資産価値を生み出す可能性があるという確信を示しました。ARKのリサーチによると、自動運転配車サービスは、1日のうち5%未満しか使用されていない車を、多額の経常的なキャッシュフローを生み出す資産に変えることができます。Tesla社の自動運転配車サービス車は1台につき年間2万米ドル程度を生み出す可能性があり、私たちが発表した2026年の目標株価に大きく貢献することになるでしょう。
決算説明会でTeslaの経営陣は、自動車以外の用途に向けた推論コンピューターなどの新製品についても言及しました。イーロン氏は、これらのアプリケーションのいくつかは、「公開されれば、世間をあっと驚かせるだろう。」と示唆しています。ロボットタクシーや人型ロボット「Optimus(オプティマス)」以外の、このような新製品は一体何でしょうか。Tesla社のデータライブラリとトレーニング/推論ツールは、物理世界をナビゲートする他の自動運転装置、おそらくドローンや宅配ロボットを作るためのものだと私たちは考えています。ARKは、飛んで転がるリアルタイム配送ロボットが、2030年には1兆米ドルの収益を上げると予測しています。
3. De Novo DNA合成の進歩が、様々な分野での革新と競争を加速させる可能性
By Pierce Jamieson | @PierceARK
Research Associate
De novo(デノボ) DNA合成は、DNAのテンプレートを使わずに、文字単位で新しいDNA鎖を合成するものです。1970年代に開発されたde novo合成は、遺伝子工学、医薬品開発、基礎研究など、重要な用途への応用が可能になりました。また、カスタム設計されたDNA配列を作ることができるため、研究者は特定の遺伝子の機能を研究し、新しいバイオ医薬品を作り出すことができるようになっています。
このほどNature Reviews Chemistryに最近掲載された論文で、研究者らはde Novo DNA合成の新たな進歩と傾向に焦点を当てました。医療、バイオテクノロジー、農業などの分野でのDNAベースの技術の利用は、DNA配列決定の需要に拍車をかけ、好循環的にde novo DNA合成、合成生物学、遺伝子治療、精密医療における技術革新をもたらしています。その結果、過去15~20年のDNAシーケンシングのようなコスト低下が起こるとみられ、DNA合成は進歩するはずです。
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