By ARK Invest

本レポートは、202326ARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #352」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. AIがビッグテックの収益に貢献:そこから見えてきたこと

By Frank Downing | @downingARK
Director of Research, Next Generation Internet

 

この数週間における大手ハイテク企業の決算報告では人工知能(AI)が取り上げられ、AlphabetAmazonAppleMetaMicrosoft各社における決算説明会ではAIに関する言及の合計回数が前年比2倍以上となりました。中でもMicrosoft社の言及は633%と急増し、最大の増加率となったほか、Alphabet社はAIに関する言及の絶対数が32と、売上や経費のそれを上回ってトップとなりました。一方、Apple社の決算説明会ではティム・クック氏がAIに関する質問に1つ答えていましたが、Amazon社の決算発表ではAIに関する言及はありませんでした。

 

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Microsoft社は、OpenAIChatGPTによって巻き起こった生成AIモデル騒動に最も積極的に資本参加し、今週のTeams Premiumの発売を含め、同社の製品群にOpenAIモデルを展開しているようです。先月、CEOのサンダー・ピチャイ氏は、全社員に宛てた手紙の中で、Alphabet社がAIに注力していることを強調し、これを大きなチャンスと呼びました。Facebookの決算説明会では、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏がジェネレーティブAIにどれだけ期待しているかを表明しました。また、ティム・クック氏は、Apple社がアップルウォッチの衝突検知や心電図(ECG)など健康に関するAIに注力していることを強調しましたが、ジェネレーティブAI市場の発展を見守った上でより多くのスポットを選び、同時にApp Storeに投入されたすべてのサードパーティ製AIサービスから利益を得るつもりなのかもしれません。例えば、Lensaなどは、個人の画像の小さなサンプルから幅広い自画像を生成するために料金を徴収しています。

おそらく最も不可解なのは、Amazon社のAmazon Web ServicesAWS)が多くのAIサービスをサポートしているにもかかわらず、同社の四半期報告書が、特に、より循環的な顧客層において、その成長を鈍化させている事業の継続的な最適化に焦点を当てていたことです。eコマースは、Alexaのようなサービスがあったとしても、ジェネレーティブAI技術を活用するのに適した立場にないのでしょうか。私たちはその考え方には同意しかねます。

 

 

2. 2023年は次世代ロングリードDNAシーケンスにとって歴史的な年になる

By Simon Barnett | @sbarnettARK
Director of Research, Life Sciences

 

次世代 DNA シーケンス(NGS)は、破壊的イノベーションの教科書的な例と言えます。生化学、光学、計算機におけるブレークスルーが集結し、2003年には30億米ドル近くかかったヒトゲノム配列決定のコストが、2023年にはわずか200米ドルにまで削減されたのです。ARKBig Ideas 2023では、コストの急落がどのように分子癌検査などの新しい製品やサービスを生み出したかを解説しています。

NGS社の爆発的なイノベーションは、ライフサイエンスの展望、特に主要プレイヤーを再編成する可能性が高いと私たちは見ています。Illumina(イルミナ/ILMN)社はショートリード技術によってDNAシーケンスのリーダーとしての地位を確立しましたが、ロングリード・シーケンスと新しいショートリード・メソッドがライフサイエンス業界における発見と革新の波を再び作り出すにつれて、その独占に近い地位は低下していくかもしれません。

昨年は、Nature誌のMethod Of The Yearに選ばれたロングリード・シーケンスの飛躍の年でした。ロングリード・シーケンスのパイオニアであるPacific Biosciences(パシフィック・バイオサイエンス/PACB)社とOxford Nanopore(オックスフォード・ナノポア/ONT.L)社の2社は、ショートリード・シーケンスではアクセスできなかった8%の領域を打ち破り、人類初の完全なヒトゲノムのシーケンスを可能にしました。

そして今年、その勢いは目を見張るものがあるかもしれません。米国でこれまで行なわれた最大規模の集団研究の1つであるAll of Us Research Programは、多様な背景を持つ100万人のアメリカ人のシーケンスを行なうことを目的としています。このプロジェクトチームは最近、ヒトゲノムシーケンスにおいて「ロングリードは最も完全で正確な変異型判定を確立するために広く利用されている」と述べ、これまでの小規模な研究を再確認するとともに、より多くの集団規模のロングリードプロジェクトに対する強い説得力を持たせています。 

2年前、ARKPacBio社のロングリード・シーケンスに関する最初のライトの法則モデルを発表し、データの累積生成量が2倍になるごとにコストが30%近く低下すると結論づけました。そして、そのモデルに基づき、私たちは、2023年までにPacBio社が臨床ヒトゲノムのシーケンスを1,000米ドル未満で行なうことになるだろうと予測していました。しかし、私たちの予想よりもやや早く、当四半期中に、PacBio 社は 旧モデルであるSequel IIシステムの15倍のデータ処理能力を備えたRevio(レビオ)システム1ゲノムあたり定価995米ドルで発売する予定です。

当社の試算によると、Revioの導入により、今後数年にわたり、PacBio社の高品質なロングリードデータの生成キャパシティを年間100%以上拡大することが可能です(下図)。そして、このキャパシティがあれば、研究者は高品質でロングリードのデータのユニークな利点を示す、統計的に有意な研究を生み出すことができるはずです。

 

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3. 規制が妨げてきたAmazonのドローンの急成長

By Tasha Keeney | @TashaARK
Director of Investment Analysis & Institutional Strategies

 

先週、Amazonがテキサス州とカリフォルニア州で展開している宅配プログラム「Prime Air」が、開始1ヵ月でわずか10世帯にしかサービスを提供できていないというニュースが流れFAAの規制がイノベーションを阻害していることが示唆されました。相次ぐ規制を踏まえ、同社は車体の軽い競合他社と異なり、ドローンを道路や車、人の上空で飛ばすことができません。一方、Alphabet社のProject Wingは、米国、フィンランド、オーストラリアでこれまでに30万個以上の小包を配達しています*

ARKの最新のBig Ideas 2023で取り上げたように、出前や小包のドローン配送市場は、2030年までに7000億米ドルの収益規模になる可能性があります。規制当局がその道を「切り開く」手助けをしてくれることを期待したいところです。

*Wingのフライトの大半はオーストラリアで行なわれているとする報告もあります。

 

 

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