By ARK Invest

本レポートは、2023522ARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #367」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. デジタル資産をめぐる規制の不透明さにより、危機に瀕している米国のイノベーション

By Yassine Elmandjra | @yassineARK
Crypto Lead

 

Jane Street GroupJump Tradingなどの大手マーケットメーカー[1]は、規制の不透明さとリスクに直面し、米国の暗号資産市場への参加を縮小しています。かつては確立された信頼性の高い機関投資家が多数を占めていた米国の暗号資産エコシステムですが、現在は空白の期間に直面しており、他の機関投資家の関心は停滞気味になっているようです。

その結果、米国における暗号資産(仮想通貨)の流動性はかなり低下し、暗号資産価格のボラティリティが上昇しました。CoinMetrics(コインメトリクス)によると、ビットコインの取引量は、3月の1日あたり200億米ドルから、先週は40億米ドルまで75%減少しています。さらに、先週のBinance.USでは、ビットコイン価格が他の取引所よりも600米ドルほど高く、これは価格発見の弱さを示すシグナルとも言えます。

このように、米国では、規制の不透明さが、既存の企業や暗号資産分野への新規参入を阻んでいるようです。その結果、米国は、アラブ首長国連邦、韓国、オーストラリア、スイスなどの国々に、変革をもたらす産業の最前線での地位を譲ることになるかもしれないような危険な状態に陥っています。[2]

 

[1] Yang, Y. 2023. “Crypto Trading Takes a ‘Few Steps Back’ After Jane Street, Jump Retreat.” Bloomberg. こちらから閲覧可能。
[2] Reguerra, E. 2023. “UAE infrastructure for crypto is more ‘business-friendly’ than the US, says exec.” Cointelegraph. 
こちらから閲覧可能。

 

2. Metaの広告プラットフォームはどうなるのか?

By William Summerlin | @summerlinARK
Co-Lead ARK Venture & Analyst

 

Meta社は最近、同社の「AI Sandobox(サンドボックス)」の提供を通じて、生成AI[3]を使用し、代替広告コピーを作成する新しい広告ツールを発表しました。[4] 同社の新製品は、昨年8月に発表された「Advantage+」ツールに続くもので、広告主は最大150のクリエイティブをアップロードして自動A/Bテストを行なうことができ、 Meta社が広告主のキャンペーン目標とオーディエンスを一致させるために最適なクリエイティブを選択できるようになっています。[5] また、Advantage+」で収集したデータを利用することで、「AI Sandbox」は、他のデジタル広告プラットフォームによる生成型AIツールに対して、説得力のある正のフィードバックループを通じて優位に立つことができます。つまり、同社は代替コピーを生成し、A/Bテストを行なってAI生成広告の中で最もパフォーマンスの高いものを発見し、新しい観察に基づいて報酬モデルをトレーニングすることができるのです。Meta社の広告の多くは、画像や動画のクリエイティブとそれに対応するテキストを組み合わせているため、同社のツールを利用すれば、広告主は、手動でサンプルをアップロードせずとも、自然言語のクエリーだけで広告クリエイティブを生成することができます。将来的には、同社は人間の介入を最小限に抑えたエンドツーエンドのAI生成キャンペーンを提供し、中小企業の参入障壁を下げることができるかもしれません。

短編動画コンテンツを中心とした広告クリエイティブのデータセットに依存しているTikTokに対して、Meta社のデータ量の多さが競争上有利に働くかどうかは疑問です。また、Meta社の比較的均質なユーザー体験が、Searchの検索広告、YouTubeの動画広告、第三者ウェブサイトのディスプレイ広告など、プロパティごとに特定の広告フォーマットに依存しているように見えるGoogleに対し、優位性をもたらすかどうかも疑問です。しかし、AIによってキャンペーンの自動化が進めば、FacebookInstagramの広告フォーマットの一貫性によって、Meta社はGoogleなどに対して、プラットフォーム間でパフォーマンスを発揮するクリエイティブの生成で優位に立つことができ、より大きな、プラットフォームにとらわれないデータセットが提供されると考えられます。

Meta社の広告プラットフォームは、オープンソースAIコミュニティへの有意義な貢献[6]、自社製AIチップ[7]AIスーパーコンピュータの開発[8]、消費者向けAIの初期実験[9]に続くものです。ここでも、Meta社がTikTokや他の急成長するソーシャルメディアプラットフォームとの競争を食い止められるかどうかが注目されます。同社の月間総アクティブユーザー数の伸びは、2020年の11%から2021年には7%、2022年には2%と減速し[10]、前四半期には約30億人となりました。そのAIの商業化は明らかに広告主に利益をもたらしましたが、消費者にとってもMeta社は魅力的であり続けることができるでしょうか。

 

[3]  Mehta, I. 2023a. Meta Announces Generative AI for Advertisers.” TechCrunch.こちらから閲覧可能。
[4] Google
も最近、同様のサービスを発表した。Elias, J. 2023を参照のこと。 “Google plans to use new A.I. models for ads and to help YouTube creators, sources say.” CNBC TECH.こちらから閲覧可能。
[5]
マーケティングや製品開発におけるA/Bテストは、ある機能の2つ以上のバージョンを比較し、どのバージョンがターゲットオーディエンスに最もよく作用するかを評価するランダム化実験を伴なう。
[6] MetaAI. 2023a. “Introducing LLaMA: A foundational, 65-billion-parameter large language model.”
こちらから閲覧可能。

[7] MetaAI. 2023b. “MTIA v1: Meta’s first-generation AI inference accelerator.” こちらから閲覧可能。
[8] MetaAI. 2022. “Introducing the AI Research SuperCluster — Meta’s cutting-edge AI supercomputer for AI research.”
こちらから閲覧可能。
[9] Mehta, I. 2023b. “Meta Says It Is Experimenting With AI-powered Chat On WhatsApp and Messenger.” TechCrunch.
こちらから閲覧可能。
[10] Meta Investor Relations. “Quarterly Earnings 1Q.
こちらから閲覧可能です。

 

3. Amazonのドローン配送の野望はFAAに阻まれ、同業他社が躍進中

By Tasha Keeney | @TashaARK
Director of Investment Analysis & Institutional Strategies

 

ドローン配送のパイオニアであるAmazon社は、事業規模の拡大に苦戦しており、競合他社に遅れをとっています。CNBCによると、今年、同社が完了したドローン配送はわずか100件で[11] 、計画していた1万件を下回り、Wing社の世界累計配送件数33万件やZipline社の60万件を大きく下回っています。[12]  どうやら連邦航空局(FAA)の規制により、Amazon社の人や道路の上空を飛行する能力が制限[13] されてしまったようです。

2015年、ARKは同社がドローン技術で30分で約1米ドルというコストを実現し、宅配便に革命を起こす可能性があることを取り上げました。[14] 2016年、米国での規制当局の承認プロセスが長期化したため、Amazon社はテストのために英国に向かいましたが、この努力は2021年に具体的な結果が出ないまま縮小されました。[15] ドローンやロボットを含むリアルタイムの自動配送の世界的な市場規模が12兆米ドルであることを考えると、他国でドローン配送の競合他社が急成長する中で、米国は巨大な機会を逃しかねません。

 

[11] Tarasov, K. 2023. “Amazon’s 100 drone deliveries puts Prime Air far behind Alphabet’s Wing and Walmart partner Zipline.” CNBC Tech. ちら閲覧可能。
[12] Chun, C. 2023. “Drone maker Zipline, on track for 1 million deliveries, adds vitamins, pizzas and prescriptions to cargo.” CNBC Disruptor 50.
ちら閲覧可能。
[13] Davis, W. 2023. “Amazon Prime Air hoped for 10,000 drone deliveries this year — it’s only done 100.” The Verge.
こちらで閲覧可能。
[14] Keeney, T. 2015. “Amazon Drones Could Deliver a Package in Under Thirty Minutes for Less Than One Dollar.” ARK Investment Management LLC. 
こちらで閲覧可能。
[15] Kersley, A. 2021. “The slow collapse of Amazon’s drone delivery dream.” Wired.
 こちらで閲覧可能。

 

 

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