By ARK Invest

本レポートは、2023年925にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #385」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. OpenAIDALL-E 3ChatGPTと統合

By Andrew Kim | @andrewkimARK
Research Associate

 

先週、OpenAI社は、同社のテキストから画像へ変換モデルの第3版であるDALL-E3を今年10月[2]にリリースする予定であることを発表しました[1]。DALL-E2と競合他社のMidjourneyおよびStable Diffusionはすべてシンプルな入出力インターフェースを使用しているのに対し、OpenAI社は、DALL-E3をChatGPTに統合して、ユーザが会話形式でAI画像を生成できるようにしました。この統合により、Midjourneyが提供するものよりもオープンで便利な、テキストから画像への自然言語クエリが可能になる[3]はずです。また、DALL-E3をChatGPT に統合することで、プロンプトの入力を繰り返して目的の画像出力を生成する「ゼロショット」方式に比べて、より優れた画像の反復やブレーンストーミングが可能になるのではないかと考えています。

DALL-E3は、競合するテキスト画像変換モデルよりも正確な画像を生成するようです。例えば下の画像では、他のモデルにありがちな意味不明な単語ではなく、首尾一貫した単語が生成されています。

 

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出典: OpenAI。2023.「DALL-E 3」金星のヴィンテージ旅行ポスター(縦向き)。こちらは、情報提供のみを目的としており、投資アドバイスや特定の証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。

10月に一般発売される際に、さらなる詳細が発表されることを期待していますが、私たちは、生産性向上のためのツールとしても、また、新しいコンシューマー・エンターテインメントへの道筋を示すオプションとしても、DALL-E3の可能性に大いに注目しています。

 

 

2. ARKの最新のEVモデルで性能の大幅な向上が明らかに

By Daniel Maguire, ACA | @DMaguireARK
Research Associate


この記事は、ARKのSam Korusと共同で執筆しました。

 

当社の最新モデルによれば、電気自動車(EV)の性能は大幅に向上しています。私たちのリサーチでは、「充電率」、つまり1分あたりに加算される航続距離のマイル数[4]が、電気自動車の効率、パワー、航続距離を把握しているため、EVの性能を測る最良の指標であることが示唆されています。とはいえ、ほとんどの充電は家庭で行なわれるため、EV普及の指標としてはあまり有用ではありません。

私たちのモデリングに基づくと、ライトの法則[5]に沿って電池コストが下がり続けるため、EVの性能は価格に対して上昇し続けるはずであり、下図のグレーの線に向かう傾向にあります。言い換えれば、価格帯に応じてレンジが広がるはずです。

 

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3. FDAが早産に対処するための人工子宮の使用を評価

By Ali Urman | @aurmanARK
Analyst

 

先週、食品医薬品局(FDA)は、早産児の生存率を高める人工子宮の可能性に関連する倫理、適用可能性、および規制上の懸念について議論[6]するための会合を開きました。下図で示すように、米国では、「早産」(世界保健機関(WHO)によって妊娠37週以前の出産と定義される)の数が、2015年の9.6%から2021年には10.5%にまで増加しています。また、世界全体では、最新のデータである2020年時点での早産数は1,340万人[7]でした。

 

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出典:March of Dimes, 2023.”2022年March of Dimesの米国報告カード”.Feeding Mattersより引用。2023."Premature Births On The Rise, Leading to More Pediatric Feeding Disorders(未熟児出産が増加し、小児哺乳障害が増加している)".本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。

科学者たちはこの重要な研究において進歩を遂げつつあり、FDAでの議論を促しています。例えば、ミシガン大学とフィラデルフィア小児病院(CHOP)の研究者は、子羊を使った人工子宮技術を開発し、テストを行なっています。

最近、ミシガン大学の科学者たちは、次の図で示すように酸素供給器に血液を送り込む方法を考案し[8]、子羊の寿命を2週間延ばすことに成功しました。

 

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出典: コズロフ、M. 2023年。「人工子宮の人体実験がまもなく始まるかもしれない。今知っておくべきこと。」 Nature。画像はDe Bie, F. R. 他。「人工胎盤と子宮技術:臨床応用に向けた過去・現在・将来の課題」出生前診断。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。

また、フィラデルフィア小児病院(CHOP)の科学者たちは、人工子宮として機能する「バイオバッグ」を開発し[9]、下図のように、血液をまず臍動脈から送り、次に臍静脈から戻すことで、8頭の子羊の命を最大4週間延長しました。

 

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出典: コズロフ、M. 2023年。「人工子宮の人体実験がまもなく始まるかもしれない。今知っておくべきこと。」 Nature。画像はDe Bie, F. R. 他。「人工胎盤と子宮技術:臨床応用に向けた過去・現在・将来の課題」出生前診断。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。

私たちは、人工子宮の安全性や倫理的配慮について、そして早産の原因や治療法に関するさらなる研究が進むことを期待しています。

 

 

4. GPT-4が知識労働者の生産性を大幅に向上させることを示唆する新たな研究結果

By Frank Downing | @downingARK
Director of Research, Next Generation Internet

 

最近のハーバード・ビジネス・スクール[10]の研究によると、GPT-4が戦略コンサルタントのパフォーマンスを40%、スピードを25%向上させたことがわかりました。品質とスピードが生産性と同等の尺度であると見なした場合、GPT-4は、コンサルタントの生産性をGPT-4を利用しなかった対照グループと比較して1.75倍、つまり75%向上させたことになります。この1.75倍の増加は、人工知能(AI)が、2030年までに知識労働者の生産性を4.5倍に高めるというARKの長期予測の達成に向けて順調に進んでいることを示唆しています。

この研究では、758人のBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)コンサルタントの活動に焦点を当てており、スキルの低いコンサルタントの方が、スキルの高いコンサルタントよりも業績向上率が高いことも浮き彫りになりました。(それぞれ最大43%対17%)さらに、GPT-4を使用するように訓練されたコンサルタントは、さらに優れたパフォーマンスを示し、適切なプロンプト・エンジニアリングの有用性が浮き彫りになりました。興味深いことに、このリサーチでは、GPT-4を使用しているコンサルタントは、GPT-4の現在の機能の限界を超えていると思われるタスクのスコアが低いことも実証されました。それはなぜでしょうか。どうやら、彼らはAIを必要以上に信頼していたようです。

こうしたリサーチ結果を総合すると、生成AIは時間の経過とともに知識労働者の生産性を大幅に向上させるはずであり、また、低スキルの労働者が優秀な人材との競争力を高め、知識労働者の報酬を相対的に引き下げる可能性があることを示唆しています。

この研究では、大規模な言語モデルの現在の限界が浮き彫りになりましたが、GPT-3.5からGPT-4へのアップグレードに伴う性能向上[11]は、言語モデルの機能が急速に向上していることを明確に示しています。

 

 

5. 3DプリンティングがFordの在庫コストを10%削減する可能性

By Tasha Keeney, CFA | @TashaARK
Director of Investment Analysis & Institutional Strategies

 

先週、Ford社は、ロボットの「ピックアンドプレース」グリッパーにMarkforgedの連続炭素

繊維3Dプリント部品を使用し、これまでに約320万米ドルの節約につながったことを明らかにしました[12]。同社は、3Dプリンティングが一般部品在庫の20%に影響を与え、総在庫コストを10%、つまり1億米ドル削減されると予想しています[13]。Ford社は、既存の工具や予備部品に基づいてこれらの見積もりを行なっていますが、3Dプリンティングで最終用途の部品をゼロから作成すれば、さらにコストを削減できる可能性があります。

自動車産業が、ガソリンで動く個人運転の自動車から、全自動のロボットタクシーへと移行していく中、3Dプリンティングはその移行における極めて重要な役割を果たす可能性があります[14]。ARKは、3Dプリントされた最終用途製品がもつ機会は、現在の市場の30倍にあたる5,000億米ドル[15]規模になると見積もっています。

 

 

[1] David, E. 2023. “OpenAI releases third version of DALL-E.” The Verge. [2] DALL·E 3 will be released to ChatGPT Plus and Enterprise subscribers, just one year after the release of DALL·E 2, with API access to follow. [3] OpenAI. 2023. “DALL·E 3.” [4] Environmental Protection Agency. 2023. “Fuel Economy and EV Range Testing.” [5] ARK Investment Management LLC. ND. “What Is Wright’s Law?” [6] Christensen, J. 2023. “FDA advisers discuss future of ‘artificial womb’ for human infants.” CNN. [7] Kozlov, M. 2023. “Human Trials Of Artificial Wombs Could Start Soon. Here’s What You Need To Know.” Nature. [8] Kozlov, M. 2023. “Human Trials Of Artificial Wombs Could Start Soon. Here’s What You Need To Know.” Nature. [9] Kozlov, M. 2023. “Human Trials Of Artificial Wombs Could Start Soon. Here’s What You Need To Know.” Nature. [10] Dell’Acqua, F. et al. 2023. “Navigating the Jagged Technological Frontier: Field Experimental Evidence of the Effects of AI on Knowledge Worker Productivity and Quality.” Working Paper 24-013. Harvard Business School. [11] OpenAI. 2023. “GPT-4.” [12] Markforged. 2023a. “Markforged 2023 Investor Day.” [13] Markforged. 2023a “Markforged To Host 2023 Investor Day.” [14] The Fabricator. 2021. “Michigan shop is binder-jetting first part for a GM production vehicle.” [15] This ARK forecast is based on underlying data from external sources, which may be provided upon request. Data as of September 22, 2023. See also ProtoLabs. 2023. “3D Printing Trend Report 2023.”

 

 

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