By ARK Invest

本レポートは、2023年1113にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #392」の日語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. OpenAIの改良版ChatGPTは専門家と初級開発者のどちらも満足させるはず

By Frank Downing | @downingARK
Director of Research, Next Generation Internet

 

先週、OpenAI創業者のサム・アルトマン氏は、同社初の開発者イベント[i]にて、モデルの大幅な改良とChatGPTのカスタムバージョンを作成するという革新的なサービスのニュースを発表しました。

OpenAI社の最新モデルGPT-4 Turboは、2023年4月までのデータでトレーニングされています。また、書籍の約300ページ分を一度に取り込むことができる、より大きな128,000トークンのコンテキストウィンドウを備えており、より少ない待機時間で処理することができます。しかも、開発者たちは、GPT-4 TurboをオリジナルのGPT-4よりも平均で約2.75倍低いコストで使用することができるのです。

加えて、OpenAIのユーザーは、GPTに自然言語で指示を与えるカスタマイズされたアシスタントを作成できるようになりました。コーディングはもはや不要になったのです。ChatGPTの自然言語インターフェースの強力な拡張機能として、カスタムエージェントは詳細なタスクを実行し、コードを書き、外部APIを呼び出し、プライベートナレッジデータベースと統合することができます。したがって、初級の開発者たちは、シンプルなチャットインターフェイスを使って数分でカスタムGPTを作成でき、また、利用者の多いGPTの開発者たちは 「GPTストア」のためにお金を使うことができます。

OpenAIはChatGPTの初期の成功を上手く活用しています。誰でもプラットフォーム上で独自のバージョンのChatGPTを作成し、ホストできるようにすることで、OpenAIはAppleのApp Storeの生まれ変わりになるかもしれません。言い換えれば、ChatGPTは普遍的なインターフェースとなり、ユーザーが生成した GPT と通信することで質問に答えたり、タスクを実行したりするユーザーとの最初の接点となる可能性があります。 

 

2. 民間の競合他社と比較して性能が向上しているオープンソースモデル

By Jozef Soja | @JozefARK
Research Associate

 

GPT-4 Turboやその他のクローズドAIモデルの性能が向上する一方で、オープンソースモデルが急速に普及しつつあります。最近、中国の01.AIがリリースしたオープンソースモデルYi-34Bは、いくつかのベンチマークでオープンソースの同業他社製品を凌駕しました。例えば、57科目にわたる基礎知識を測定するベンチマークであるMMLUにおいて、Yi-34Bは76.3%のスコアを記録し、Meta Platforms社のLLaMA2-70BやTII社のFalcon-180Bといった他のオープンソースモデルの68.9%や70.4%をそれぞれ上回ったのです。透明で無料のオープンソースモデルは、主要な基礎モデルにアクセスして貢献している多様な開発者グループの貢献から恩恵を受けているようです。

ARKのリサーチは、以下に示すように、プライベートモデルとオープンソースモデルの間の性能の差が縮小していることを裏付けています。OpenAIのGPT-4は、依然として他のすべての競合他社製品を凌駕していますが、以下の傾向線は、オープンソースモデルが地歩を固めつつあることを示唆しており、よりコストのかかるプライベートなクローズドソースモデルの性能にわずか数ヵ月分の差しかない可能性があることを示しています。

 

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出所: ARK Investment Management LLC、2023年 データは2023年11月10日現在のもの。このARKの分析は様々なデータソースに基づいており、リクエストに応じて入手可能です。情報提供のみを目的としており、投資アドバイスや特定の証券または暗号資産の購入、売却、保有を推奨するものではありません。過去の実績は将来の結果を示すものではありません。

 

3. CMEビットコイン先物の建玉が史上最高値を記録、機関投資家の市場参入を示唆

By Yassine Elmandjra & David Puell | @ ARKInvest Team
Crypto Team

 

先週、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されている[ii]ビットコイン先物は、2つの大きな節目を迎えました。1つ目は、ビットコイン先物の建玉が10万BTCを突破し、史上最高を記録したこと、そして2つ目は、CMEがBinance(バイナンス)を抜き、ビットコイン先物の建玉が最も多い取引所となったことです。CMEの113,000BTCが市場の27.7%であるのに対し、Binanceの104,000BTCは市場の26.7%でした。

当社の見解では、CME契約の活発化は、機関投資家が市場に参入したことを示唆しています。というのも1契約あたりの最低額は5ビットコイン、つまり約175,000ドルと高い参入障壁になっているからです。この勢いに加え、今週ビットコイン価格は、TerraLUNA USTが暴落した2022年5月以来初めて35,000米ドルを超えました[iii] 。ビットコイン価格の継続的な上昇を促すその他の要因としては、SECがビットコインのスポットETFを承認する可能性や、歴史的に強気の出来事である2024年4月のビットコイン発行量の半減が挙げられます。

 

 

[i] OpenAI DevDay. 2023. “Opening Keynote.” YouTube.

[ii] @WClementeIII. 2023. “Wow, the real flippening that no one is talking about.” X.

[iii] Sandor, K. and E. Genç,. 2022. “The Fall of Terra: A Timeline of the Meteoric Rise and Crash of UST and LUNA.” CoinDesk.

 

 

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