By ARK Invest

本レポートは、2024年116にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #398」の日語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. スポットビットコインETFの取引開始

By Yassine Elmandjra | @yassineARK
Director of Digital Assets

 

先週、米国証券取引委員会(SEC)は、11のスポットビットコインETFの登録申請を承認[i]、ビットコインは重要な節目を迎えました。これらのファンドの立ち上げは、ニッチなデジタルマネーから、規制された新しい資産クラスへと成長したビットコインの目覚ましい道のりを強調するものです。ARKは早くも2015年には、ビットコインに関する白書「Bitcoin: A Disruptive Currency[ii]を発表し、クライアントにビットコインへのエクスポージャーを提供しています。

スポット型ビットコインETFは、ビットコインと従来の金融市場の双方にとって重要な意味を持つことが明らかになるはずです。第一に、スポットETFは機関投資家や個人投資家が、複雑な自己保管やその他のオンボード要件に対処することなく、ビットコインへのエクスポージャーを得る直接的な方法を提供します。第二に、スポットETFはビットコインを機関投資家の資産として正当化し、ビットコインが伝統的な金融システムに受け入れられ、統合されることを促進します。そして最後に、スポットETFはビットコインの流動性と取引量を大幅に増加させるはずです。

取引初日、承認されたETFは総額で46億米ドルの出来高を生み出しました[iii] 。つまり、流出したGBTCを除くと23億米ドルになります。GBTCを除いた純流入額は82,000万米ドルでした[iv]。スポットビットコインETFコンプレックスの出来高とフローは、どの資産のETFのローンチよりも多かったのです[v]。メディアに好意的に取り上げられたETFは、サーキットブレーカーや取引停止もなく、また市場構造上の問題もなく、スムーズに運用されました。

2015年以来、ビットコインを様々な角度から深く研究してきた私たちは、ビットコインが公共財であり、世界中の何十億もの人々の購買力を維持・強化し、金融サービスへのアクセスを提供する金融スーパーハイウェイであると考えています。

スポットビットコインETFがローンチされた今、次の大きなカタリストは、2024年4月に予定されている待望の「半減期イベント」[vi] であり、ビットコインの供給量の伸びが年率1.8%から約0.9%に半減し、金の長期平均供給量の伸び率の約1%を下回ることになると私たちは見ています。そして、注目すべき重要な点は、この半減期はビットコインの数学的に計量された金融政策を強化するものであり、最終的にはビットコインの鋳造数は2,100万枚を上限とし、現在の発行残高の1,960万枚よりわずか7%増加するだけになるということです。 

 

 

2. バイオテクノロジー市場にポジティブなカタリストに焦点を当てたJP Morganのヘルスケア会議

By Ali Urman | @aurmanARK
Analyst

 

先週、JP Morganのヘルスケア・カンファレンス(以下「JPM」)においていくつかの発表があり、M&A(合併・買収)活動、科学的ブレークスルー、規制の明確化などのカタリストがバイオテクノロジー株式市場の反発を引き起こすだろうという当社の見解を裏付けました。そして、このカンファレンスの歴史どおり、M&A活動は多くの見出しを飾りました。

JPM期間中に発表された注目すべきM&Aには次のようなものがあります。Johnson & Johnson社による抗体薬物複合体に特化した合成生物学企業Ambrx Biopharma(アンブレックス・バイオファーマ)社の20億米ドルでの買収[vii]、 Boston Scientific(ボストン・サイエンティフィック)社による膀胱・腸管制御企業Axonics(アクソニクス)社の37億米ドルでの買収[viii]、 Merck(メルク)社によるT細胞免疫療法企業Harpoon Therapeutics(ハープーン・セラピューティクス)社の6億8,000万米ドルでの買収[ix]、など。

BioPharma Diveのジャーナリストによると[x] 、下図で示すように10億米ドルを超える世界のバイオテクノロジー企業の買収件数は、2022年から2023年にかけて36%増加しました。

 

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出所: ARK Investment Management LLC, 2024。 2024年1月8日時点のPagliarulo and Bellのデータに基づく [xi] 。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。また、過去の実績は将来の結果を示唆するものではありません。

臨床資産を開発している小規模のバイオテクノロジー企業にとって、買収は重要であり、市場投入を早め、患者に利益をもたらし、資本市場での活動の復活を引き起こすはずです。また、特許が失効し、インフレ抑制法が施行され続ける中、独占権の喪失に伴う収益減を補うのにも役立つはずです。JPMのカンファレンスからのニュースは、バイオテクノロジーにおける株式弱気相場が軌道修正されることを示唆していると言えます。

 

 

3. Rabbit R1はパーソナライズされたAIの新境地を開くか?

By Nick Grous | @GrousARK
Associate Portfolio Manager

 

先週、AIスタートアップ企業のRabbit(ラビット)は、以下に示す通り、同社初のコンシューマー向け製品「Rabbit R1」を発売しました。

 

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出所: Rabbit  例示のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。

R1の魅力の中心となるのはそのラージ・アクション・モデル(LAM) [xii] であり、それは、特定のアプリベースのタスクを可能にすることで、ChatGPTのような従来のチャットボットの単純な会話機能を飛び越えた新しい基盤モデルです。

LAMはインタラクティブなアプリケーション・インターフェースを利用し、学習してユーザーの習慣に適応します。そして、情報を提供したり問い合わせに答えたりするテキストベースのチャットボットの機能を超えるパーソナライズされたツールへと進化するのです。LAMにより、Rabbit R1はアプリケーションで直接タスクを管理することができるため、例えば、独自のユーザーのパターンや好みに基づいて、ホテルの予約やスケジュールの再調整を行なうことができます。

情報アシスタントから不可欠な実践的デジタルツールへと飛躍したRabbit-R1のAI機能は、検索および発見を目的とした音声コマンドで、AIをAPIエコノミーとシームレスに融合させることにより、AIを中心としたハードウェアのゲームチェンジャーとなる可能性があるでしょう。

 

 

[i] U.S. Securities and Exchange Commission. 2024. “Statement on the Approval of Spot Bitcoin Exchange-Traded Products.”

[ii] ARK Investment Management LLC. 2015. “Bitcoin: A Disruptive Currency.”

[iii] Lang, H. et al. 2024. “US bitcoin ETFs see $4.6 billion in volume in first day of trading.” Reuters.

[iv] Balchunas, E. 2024a. “Latest: With two days in the books…” X.

[v] Balchunas, E. 2024b. “Home Stretch: $IBIT has just passed $1b in volume today…” X.

[vi] Whittaker, M. 2024. “Bitcoin Halving 2024: How It Works And Why It Matters.” Forbes Advisor.

[vii] Yahoo Finance Businesswire. 2024. “Johnson & Johnson to Acquire Ambrx, Advancing Next Generation Antibody Drug Conjugates to Transform the Treatment of Cancer.”

[viii] Businesswire. 2024. “Axonics Announces Definitive Agreement to be Acquired by Boston Scientific.”

[ix] Merck. 2024. “Merck to Acquire Harpoon Therapeutics, Further Diversifying Oncology Pipeline.”

[x] Pagliarulo, N. and Bell, J. 2024. “Biotech M&A is picking back up. Here are the latest deals.” BioPharma Dive.

[xi] 同上。

[xii] Rabbit Research Team. 2024. “Learning Human Actions on Computer Applications.”

 

 

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