By ARK Invest
本レポートは、2024年3月4日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #405」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
1. 史上最高値に近づき、ビットコインのボラティリティが上昇中
By David Puell | @dpuellARK
Analyst
ビットコイン(BTC)価格は、2月に約44%上昇して史上最高値の約68,000米ドルに近づき、2020年12月以来最高の月となりました。この強気相場に貢献したのは、1月にスポットビットコインETFがローンチされたことであり、これらのETFは合計で477億米ドル、または約766,000 BTCの運用資産(AUM)で当月を終えました。そして、2月末時点では、スポットビットコインETFはビットコインの供給残高の3.9%を占めていました。
11のETFがすべてローンチした1月11日、次のチャートで示されるように、ビットコインのボラティリティは16ヵ月以上ぶりに上昇に転じました。第1四半期以前、ビットコインの四半期ボラティリティは年間ボラティリティに対して1年以上にわたって低下しており、これは次のことを示唆しています。1)サイクルごとにビットコインのボラティリティは低下している。2)一方で、需要の増加とモメンタムが今日の市場を拡大している。
注:実現ボラティリティは、時間軸の日次リターンの標準偏差に365の平方根を乗じて測定。出所: ARK Investment Management LLC, 2024.[i]過去の運用実績は将来の運用成果を示唆するものではありません。また、本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。2024年2月29日時点の情報、Glassnodeのデータを使用。
4月には、ビットコインは引き続き「半減期」の恩恵を受けて、供給量の伸びが年率約1.8%から約0.9%に減少するはずです。ビットコインの市場およびオンチェーンダイナミクスの詳細については、今週発行するARKのBitcoin Monthly(2月号)でご確認ださい。
2. KlarnaのAIを搭載したカスタマー・サービス・エージェントは、ナレッジワーカーの消滅を予兆しているのか?
By Andrew Kim | @andrewkimARK
Analyst
先週、Klarna(クラーナ)社は、同社のOpenAIを搭載したカスタマー・サービス・エージェントが、運用開始から1ヵ月の間に、フルタイムの人間のエージェント700人分に相当する仕事、つまりカスタマー・サポート・チャット全体の3分の2に相当する仕事を処理したことを明らかにしました[ii]。人間のエージェントが11分必要とするタスクを2分未満で解決し、AIエージェントは人間のエージェントと「同等」の顧客満足度スコアを達成したのです。
当社の試算によると、Klarna社の700人の人間のエージェントは月額360万米ドル、つまり1会話あたり1.58米ドルのコストで230万回の会話をサポートしています。GPT-4の現在の価格体系に基づいて、同じ数を1チャット2分で対応する場合、OpenAIを搭載したエージェントの費用は、月額約9,000米ドル、1会話あたり0.004米ドル以下となります[iii]。言い換えれば、人間のエージェントからAIエージェントに切り替えることで、Klarna社は人件費をほぼ100%節約できます。
Klarna社やその他の消費者向け企業は、おそらくAIでは解決できないカスタマー・サポート・ケースを解決するために、人間参加型システムを維持するでしょうが、AIに関連した効率化によって、カスタマー・サポートのポジションにいる人間の数は大幅に削減される可能性があります。実際、企業の営業、テクニカル・サポート、カスタマー・サクセスに関連したあらゆる会話中心の知識労働は、大きな混乱に直面するだろうと私たちは考えています。
3. Figure AIは著名投資家から戦略的資金を調達
Daniel Maguire & Sam Korus | @ARKInvest
Autonomous Technology & Robotics Team
先週、Figure(フィギュア) AI社は、自律型ヒューマノイドロボット「Figure 01」の展開を支援するために、Open AI、Microsoft、NVIDIA(エヌビディア)、ARK Investなど[iv]の投資家から26億米ドルの評価額で6億7,500万米ドルの資金を調達しました。同社はまた、人型ロボット用の次世代人工知能(AI)モデルを開発するため、Open AI社と提携しました[v]。
最近のAIとコンピュータビジョンの飛躍的な進歩により、ロボットは従来のロボットが支配してきた構造化された領域とは対照的に、非構造化環境でもコスト効率よく動作できるようになるはずです。ARKのリサーチによると、次のチャートで示すように、汎用化可能なロボットが大規模に運用されれば、世界中で約24兆米ドルの収益機会が見込まれます[vi] 。現在、ARK は、Figure AI社とTesla社への投資を通じて、ヒューマノイド ロボットに多大な影響を及ぼしています。
*注:緑色でハイライトされたセルは、ARKが合理的または可能性が高いと考える結果を表しています。出所:ARK Investment Management LLC、2024年[vii] このARKの分析は、外部ソースからの様々な基礎データに基づいています。予測は本質的に限定的であり、依拠することはできません。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。また、過去の実績は将来の結果を示唆するものではありません。
[i] ARK Investment Management LLC, 2024. “Big Ideas 2024: Disrupting The Norm, Defining The Future.”
[ii] Klarna. 2024. “Klarna AI assistant handles two-thirds of customer service chats in its first month.”
[iii]この演習では、2分間のチャットの半分を書くことに割り当て、残りの半分を読むことに充てると仮定する。エンドユーザーが1分間に入力する平均単語数は40語(または~53トークン)、入力と出力の比率は1:2と仮定する。
[iv] Adcock, B. 2024. “Excited to share: Figure raises $675M at $2.6B Valuation.” X.
[v] Adcock, B. 2024.”In addition, OpenAI & Figure signed a collaboration agreement.” X.
[vi] ARK Investment Management LLC, 2024. “Big Ideas 2024: Disrupting The Norm, Defining The Future.”
[vii] Ibid.
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