By ARK Invest
本レポートは、2024年5月5日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #413」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
1. 人型ロボットが小規模製造業を変革する可能性
By Sam Korus | @skorusARK
Director of Research, Autonomous Technology & Robotics
なぜ人類は人型ロボット、つまり汎用性のあるロボットを設計するのでしょうか。多用途性がその答えです。
対照的に、レンチはナットとボルトを締めるという1つのタスクのみに優れており、それ以外のことはあまり得意ではありません。多用途性はなく、様々なタスクを実行できるわけでもありません。
米国国勢調査局のデータに基づくARKのリサーチによると、米国の製造業に携わる人々の大半は、以下に示すように小規模な企業に雇用されています。一般的に、自動化に移行しつつある比較的反復的な作業に従事する大企業の従業員とは異なり、彼らは様々な作業をこなしています。それ故に、汎用化可能な機能を備えた人型ロボットが、小規模企業の競争条件を平準化し、生産性を高め、経済を大幅に変革するかもしれないのです。
出所:ARK Investment Management LLC 2024年、2021年の米国国勢調査データに基づく。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。
2. Amazonの新しい生成AI製品群はMicrosoftのCopilotに対抗する構え
By Frank Downing | @downingARK
Director of Research, Next Generation Internet
Amazon社は先週、ビジネスユーザーや開発者の生産性向上を目的として、生成AI製品群「Amazon Q」を一般向けに公開しました。
この製品群の一つである「Amazon Q Developer」は、DevinやSWE-agentに代表される、生成AIモデルを使用してエンドツーエンドでソフトウェアを開発する高度なコーディングエージェントの数を増やしています。Amazon社の5人のエンジニアからなるチームは、Q Developerを社内で使用することで、1,000のJavaアプリケーションを数ヵ月どころか、わずか2日で最新化しました。ベンチマークとの比較では、Amazon Q DeveloperはSWE-Benchで13.4%のスコアを獲得し、SWE-agentのパフォーマンスを上回り、同ベンチマークでこれまでで最も高いパフォーマンスを発揮したコーディングエージェントになりました[1]。 ライトの法則[2]に基づいたARKのリサーチでは、コストが低下するにつれてモデルの能力が向上し続け、開発者が企業の技術的負債を解消しながら価値の高い製品やサービスの構築に専念できるようになることが示唆されています。
もう一つの製品である「Amazon Q Business」は、Microsoft社のColilot(コパイロット) やChatGPT Enterpriseのようなチャット・インターフェースです。このツールは、企業データを使って質問に答えたりタスクを完了したりすることで、様々なタスクにおける知識労働者の生産性を向上させることを目的としています。ユーザーはまた、特定のタスクに特化したカスタム・ユーザー・インターフェース「Q Apps」をオンデマンドで作成し、組織全体で共有することもできます。Q Appsは、組織内でのソフトウェアの作成と使用方法を再定義する重要なマイルストーンとして機能し、潜在的にコストを削減し、イノベーションのペースを高め、既存ベンダーに取って代わる可能性があります。
3. CRISPR-GPTは科学者がより効率的に実験をデザインすることを可能にする
By Rong Guo, PhD | @ARKInvest
Research Associate
CRISPR技術は、治療薬の創製を目的とした生物医学研究に広く利用されていますが、その可能性を実現するには、深い技術的知識と研究室での経験が必要です。実験計画の効率化を図るため、スタンフォード大学とプリンストン大学の研究者らは最近、遺伝子編集実験の自動設計に特化した大規模言語モデル(LLM)エージェントであるCRISPR-GPT[3]を開発しました。
生物学的実験の設計に必要なドメイン知識を持たない汎用のLLMとは異なり、CRISPR-GPTは、ドメインの専門知識と推論能力を獲得するために、遺伝子編集の文献の大規模なコーパスでトレーニングされています。研究者らは、文献を検索して遺伝子編集の実験を設計するのに時間を費やす代わりに、CRISPR-GPTに「EGFR(がんの原因となる遺伝子)をノックアウトする必要がある。」といった一般的な実験目標を与えれば、最適なガイドRNAの選択、最適な送達アプローチ、最適な検証実験の推奨など、詳細な実験計画を受け取ることができるようになりました。
一般的な実験目標を詳細な実験計画に変換するCRISPR-GPTの機能を活用することで、より多くの研究者が遺伝子編集ツールをより効率的に使用できるようになり、時間と費用を節約しながら、科学的ブレークスルーの可能性を高めることができるはずです。
[1] Sivasubramanian, S. 2024. “Accelerate software development and leverage your business data with generative AI assistance from Amazon Q.” AWS Machine Learning Blog.
[2] Winton, B. 2019. “Moore’s Law Isn’t Dead: It’s Wrong—Long Live Wright’s Law.” ARK Investment Management LLC.
[3] Huang, K. et al. 2024. “CRISPR-GPT: An LLM Agent for Automated Design of Gene-Editing Experiments.” arXiv.
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