By ARK Invest
本レポートは、2025年2月18日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #451」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
1. 過熱するAIモデル競争
By Jozef Soja | @JozefARK
Research Analyst
先週、OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏は、ChatGPTの開発者による次期AIモデルGPT-4.5とGPT-5のロードマップを投稿しました[1]。GPT-4.5は、o1やo3のようなモデルがより複雑なタスクに適応できるようにするためのプロセスである思考連鎖推論を持たない最後のモデルになります。同社はGPT-4.5の後、音声やキャンバスから検索やディープリサーチに至るまで、複数のモデルやツールを組み合わせた統合システムとしてGPT-5を導入する予定です。GPT-5は、それらを統合することで、推論に費やす時間と使用するツールを決定します。サム・アルトマン氏は、GPT-4.5とGPT-5がそれぞれ今後数週間と数ヵ月の間に展開されると予想しています。
特筆すべきは、GPT-5は、ユーザーのサブスクリプションレベルに応じて、異なるレベルのインテリジェンスへの段階的なアクセスを提供することです。無料ユーザーは標準的なGPT-5にアクセスでき、PlusとProのサブスクライバーはより強力な機能にアクセスできます。すべての階層で、ディープリサーチ[2]機能を利用することができ、サブスクリプションレベルに応じて月間の利用上限が設定されます。
この競争環境は激化しています。Anthropic社は、ユーザーが思考時間を調整できる機能を備えた独自の推論モデルを開発中であり[3]、同社のClaude(クロード)モデルとOpenAIやGoogleが最近提供した製品とのギャップを縮めようとしています。同時に、イーロン・マスク氏のxAIはGrok 3[4]をリリースする予定であり、今後数週間でのさらなる飛躍が約束されています。私たちの見解では、このイノベーションの波は、ほとんどの産業を一変させるAIの急激な成長の可能性を高めるものといえます。
2. ソニックブームなしの超音速機が飛行に向けて前進
By Sam Korus & Daniel Maguire, ACA | @ARKInvest
Autonomous Technology & Robotics Team
Boom Supersonic(ブーム・スーパーソニック)社が歴史に名を刻みました。同社は、1月に 音速の壁を突破した米国製初の民間用超音速ジェット機として、「Boomless Cruise(ブームレス・クルーズ)」技術を発表しました。この技術は、爆音を発することなく、現在のジェット機より最大50%高速で飛行することを約束し、2029年に商用の超音速飛行を実現する計画です[5]。 Boomless Cruiseは、下図で示すように高高度で音速の壁を突破し、ソニックブームが地面に触れることなく大気圏内でUターンします。
出所:Scholl, 2025 [6]。本資料は情報提供のみを目的としており、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。
Boomless Cruiseには、高高度の超音速飛行、正確な気象データ、およびブーム伝播を予測する高度なアルゴリズムが組み込まれています。適切な高度とパワーにより、Boom社の「Symphony(シンフォニー)」エンジンがこの画期的進歩を可能にしました。イーロン・マスク氏は、政府効率化省(DOGE)が、FAAによる民間超音速飛行の禁止を含む不必要な規制を撤廃することを確認しており[7]、これは 2029 年までに Boomの商業化を達成するための後押しとなるはずです。
3. AIが労働に与える影響を明らかにしたAnthropicの新しい「経済指標」
By Jozef Soja | @JozefARK
Research Analyst
先週、Anthropic社はAnthropic Economic Indexを発表しました[8]。これは、同社のClaudeモデルが労働市場にどのような影響を与えているかについて、データに基づいて分析したものです。Claude.aiとの匿名のやり取りに基づいて作成されたこのレポートでは、AIがさまざまな職業にどのような影響を及ぼしているのかが浮き彫りにされています。
例えば、ソフトウェア開発に関連する労働力は米国の労働人口の3.4%を占めるに過ぎませんが、次の図で示すように、Claudeのチャットの37.2%がコーディングに集中しています。これらのデータは、AIモデルがさまざまな強みを開発したことを示唆しており、Claudeは技術的なタスクで優れたパフォーマンスを発揮していることを示しています。Anthropic社によると、AIは36%の職種において25%程度のタスクに組み込まれていますが、作業負荷の75%以上をAIに依存している職種は全体の4%に過ぎません。
出所:Anthropic, 2025 [9]。本資料は、情報提供のみを目的としており、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。
さらに、同社によると[10]、Claudeの使用率の57%は人間の作業を補助するためのもので、Claudeとのチャットの43%は、下図に示すように、より自律的に問題に取り組むようClaudeに求めています。採用は、最も低賃金、あるいは最も高賃金の仕事に比べてプログラミングやデータサイエンスのような中・高賃金の仕事に偏っています。このようなテーマに関する研究を奨励するために、Anthropic社はデータセットをオープンソース化 [11]し、経済学者や政策立案者に対してAIが生産性や雇用へ与える今後の影響を探るよう呼びかけています。
出所:Anthropic, 2025 [12]。本資料は、情報提供のみを目的としており、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。
[1] Altman, S. 2025. “OpenAI Roadmap Update for GPT-4.5 and GPT-5…” X.
[2] Altman, S. 2025. “I think we are going to initially offer 10 uses per month…” X.
[3] Palazzolo, S. 2025. “Anthropic Strikes Back.” The Information.
[4] Saba, Y. 2025. “Elon Musk says Grok 3 in final stages, outperforming all chatbots.” Reuters.
[5] Boom. 2025. “United Goes Supersonic.”
[6] Scholl, B. 2025. “Boom! We cracked it!” X.
[7] Musk, E. 2025. “This administration will get rid of all regulations…” X.
[8] Anthropic. 2025. “The Anthropic Economic Index.”
[9] 同上
[10] 同上
[11] Anthropic. 2025. “Datasets. Anthropic. EconomicIndex.” Huggin Face.
[12] 同上
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