By ARK Invest

本レポートは、20251013日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #483」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. BlockSquareCashAppを統合しローカルコマースを強化

By Varshika Prasanna | @varshikaARK
Research Associate

 

先週、Block(ブロック)社は新機能「Neighborhoods(ネイバーフッズ)」[1]を発表しました。これは、Square(スクエア)の加盟店とCash App(キャッシュ・アプリ)の利用者をシームレスにつなぎ、統合されたローカルコマース基盤を構築するものです。

これまで加盟店にとって最優先事項は常に「成長」でしたが、それを実現するには高額なマーケティングコストや、全国チェーンとの競争におけるデジタル認知度の低さといった課題が伴っていました。Cash App上のNeighborhoodsはその構造を一変させます。5,700万人のユーザー基盤を持つCash Appを活用することで、Squareの加盟店は地域の顧客に直接リーチでき、フォロワーを獲得し、無料で商品を宣伝し、ネットワーク全体で報酬を提供できるようになります。これらすべての活動がBlockのエコシステム内で完結します。同時に、Cash App自体も決済ツールから進化し、ユーザーが近隣の店舗を探索したり、リワードを獲得したり、アプリ内で直接注文できるローカル発見型プラットフォームへと変貌しつつあります。

Blockの双方向ネットワークを活用した取引には1%の手数料が課されますが、追加のマーケットプレイス手数料は不要です。これは、一般的なカードネットワークが請求する約2.5%の半分以下にあたります。加盟店と消費者を直接つなぐことで、NeighborhoodsSquareの総決済取扱高(GPV)の拡大を促進し、加盟店の獲得と維持を支援するとともに、Cash Appのユーザー成長とエンゲージメントも強化するでしょう。最終的に、Neighborhoodsは地域ビジネスを支援し、消費者に報酬を提供し、Block社の強力なネットワーク効果をさらに深めることで、コミュニティコマースの概念を再定義しています。

 

2. ChatGPTはネイティブアプリを備えたAIオペレーティングシステムへと進化中

By Jozef Soja | @JozefARK
Research Analyst

 

先週、OpenAI(オープンエーアイ)社は「Dev Day 2025[2]を開催し、同社のエコシステムを大幅に拡張する開発者向けツール群を発表しました。基調講演でCEOのサム・アルトマン氏は、Apps SDK(ソフトウェア開発キット)[3]を発表。このキットにより、週8億人のアクティブユーザー/開発者が、ChatGPT上で直接アプリケーションを構築・利用できるようになります。初期パートナーにはFigma(フィグマ)、Spotify(スポティファイ)、Zillow(ジロー)が名を連ね、今後はDoorDash(ドアダッシュ)やInstacart(インスタカート)なども加わる予定です。Dev Dayでのデモでは、これらのアプリのChatGPTネイティブ版を通じて、ユーザーが会話型AIと実世界の機能を融合させながら操作する様子が紹介されました。たとえばアルトマン氏は、ChatGPT内でZillowを使って住宅を検索し、続けてChatGPTに物件の分析と比較を依頼しました。これらの操作はすべてChatGPTのインターフェース内で行なわれました。 

Apps SDKの登場は、ChatGPTが単なる会話AIツールから汎用AIプラットフォームへ進化する転換点となります。サードパーティ製アプリをネイティブにホストすることで、ChatGPTは、ショッピングや生産性、エンターテインメント、企業向けワークフローなど、日常的なデジタル活動を集約するAI駆動のスーパーアプリへと進化し得ます。アプリを統合するこのプラットフォームにより、ユーザーのエンゲージメント、定着率、収益化が高まるだけでなく、OpenAIの圧倒的な流通チャネルを通じてパートナー企業のアプリ価値も増幅されるでしょう。ChatGPTは「アシスタント」から、AI経済のオペレーティングシステムへと進化を遂げつつあります。

さらに、OpenAIApps SDKに加えて、エコシステムを強化する複数の新ツールを発表しました。すでに一般提供が開始されているCodex(コーデックス)コーディングエージェントは、管理機能、Slack連携、ワークフロー埋め込み機能を備えています。また、AgentKit(エージェントキット)というノーコードツールも導入され、ユーザーがワークフローの自動化やカスタムエージェントの構築を簡単に行なえるようになりました。最後に、新しい高性能ビデオ生成モデル「Sora 2(ソラ2)」がAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で利用可能となり、マルチモーダルな生成機能と会話・コーディングエージェントを統合する統一型開発スタックが形成されています。これらのアップデート群は、ChatGPTをデジタルな創造性・自動化・インタラクションの中心的ハブとして位置づけるというOpenAIの野心を明確に示しています。

 

3. Tesla、「Model 3」と「Model Y」のスタンダード仕様を発売、同時に自動運転ソフトFSD v14を展開

By Daniel Maguire, ACA | @DMaguireARK
Research Analyst

 

先週、Tesla社は「Model 3(モデルスリー)」と「Model Y(モデルワイ)」のスタンダード仕様を発表しました。価格はそれぞれ36,990米ドルと39,990米ドル[4]で、米国における新車の平均価格と比較するとそれぞれ約25%および約18%低く設定されています[5]。これらの新モデルは、最先端の性能と航続距離を備えており、さらに自動運転機能(FSD)を搭載したモデルでさえ、米国の新車平均価格を下回る価格帯に収まっています。

同週初め、TeslaFSDFull Self-Drivingv14.1[6]を発表しました。これはパラメータ数を約10倍に増やし、コンテキストウィンドウ[7]を拡張したもので、2024年初頭にv12でエンドツーエンドのAI自律走行システムへ移行して以来、最も重要なアップデートとなります[8]FSD v14.1の初期映像では、緊急車両に道を譲る動作[9]や、複雑な立体駐車場やドライブスルーでの走行[10]など、極めて高度な性能が確認されています。これらの進化は、テスラが完全自動運転の実現に急速に近づいていること、そしてそのAI駆動型システムの高いスケーラビリティ(拡張性)を示しています。

ARKのリサーチによれば、Tesla社のロボタクシー事業は2029年までに同社の企業価値のおよそ90%を占める可能性があります。今後数週間、私たちはFSD v14の迅速なアップデートと実装の進展を注視していく予定です。 

 

 

 

 

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[1] Square. 2025. “Introducing Neighborhoods on Cash App, a Neighborhood Network that Levels the Playing Field to Drive Local Business Growth.”

[2] OpenAI. 2025. “OpenAI DevDay 2025: Opening Keynote with Sam Altman.” YouTube.

[3] OpenAI. 2025. “Introducing apps in ChatGPT and the new Apps SDK.”

[4] Tesla. 2025. “Meet Model Y Standard & Model 3 Standard…” X.

[5] Cox Automotive. 2025. “Data Tables for August 2025 Kelley Blue Book Average Transaction Prices Report.”

[6] Tesla. 2025. “FSD Supervised V14.1 now rolling out…” X.

[7] Musk, E. 2025. “Tesla is training a new FSD model with ~10X params…” X.

[8] Musk, E. 2025. “(He was just on version 13)…” X.

[9] Merritt, S. 2025. “Two police cars came up behind me tonight…” X.

[10] Patane, N.C. 2025. “Tesla FSD 14.1 navigates out…” X. See also Merritt, S. 2025. “Tesla FSD V14.1 just drove me through a McDonald’s…” X.

 

 

 

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