By ARK Invest

本レポートは、2026126日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletter #495」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。

 

1. OpenAIChatGPT収益化戦略が具体化、新たな疑問も浮上

By Nick Grous | @GrousARK
Director of Research, Consumer Internet & Fintech

 

先週、OpenAIは、月額8米ドルでGPT-4にアクセスできる新プラン「ChatGPT Go」を発表しました。これは、月額20米ドルのPlusプランよりも低価格でGPT-4を利用したいユーザー向けのものです[1]。その代わりとして、無料版と同様に「コンテクスチュアル(文脈連動型)広告」が表示されます[2]

ChatGPTが主流サービスへと広がる原動力となった、クリーンで広告のないユーザー体験(UX)からの転換に加え、OpenAIShopify(ショッピファイ)とも提携しました。ChatGPT上で商品を発見・購入した場合、OpenAIは売上の約4%を手数料として受け取ります[3]

つまりOpenAIは、サブスクリプション、広告、リード獲得、コマースという複数の収益源を組み合わせたマネタイズ戦略を採用しつつあります。この戦略自体は、ARKの『Big Ideas 2026[4] 31ページで示されている通り特段驚くものではありませんが、このタイミングでの実行については意外でした。

競合であるGoogle Gemini(グーグル・ジェミニ)やAnthropic Claude(アンソロピック・クロード)は、現在も無料で利用でき、広告も表示されていません。両者は、信頼、普及、定着、そしてシェアの獲得を目的に、当面この戦略を維持する可能性が高いとみられます。

賭け金は大きくなっています。AIエージェントが消費者のインターネット利用のあり方を再構築するなか、AIを介した収益は、現在の約200億米ドル規模から2030年には約9,000億米ドルへと、年率105%で成長すると予想されます(次の図を参照)。その収益の大部分は、サブスクリプションではなく、リード獲得と広告から生まれる可能性が高いでしょう。

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2024年および2025年のデータは実績値。出所:ARK Investment Management LLC2026年)。Grous and Kim2024年)、Magna2025年)、Prasanna2024年)のデータに基づく[5]。これらの情報源に加え、本資料に含まれる一部の情報は、複数の追加情報源を基にしたARK独自の分析結果である場合があります。本資料は情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の購入、売却、または保有を推奨するものではありません。過去の実績は将来の成果を示唆するものではありません。予測には本質的な制約があり、その正確性を保証するものではなく、これに依拠すべきではありません。

 

2. Replit、新機能群でモバイルアプリ開発者の生産性を大きく押し上げ

By Frank Downing | @downingARK
Director of Research, AI & Cloud

 

生成AIによるコーディング支援ツールはChatGPT以前から存在していましたが、近年の技術的ブレークスルーにより、ソフトウェア開発への影響力が一段と加速しています。Coatue(コーチュー)のリサーチによると、20252月から12月にかけて、iOSアプリストアに新規公開されたアプリ数の伸び率は、前年比0%から60%へと急加速しました[6]。この転換点を生み出したのが、Anthropic(アンソロピック)による「Claude Code」です。高度な計画立案、コーディング、ツール活用機能を備え、ソフトウェアを自律的に構築できるClaudeのコマンドライン版が、変化の引き金となりました。さらに11月には、同社最高水準のコーディングエージェント「Opus 4.5」を投入し、前例のないレベルの自律的ソフトウェア開発を可能にすることで、成長を一段と加速させました。

そして現在、コーディングエージェントのスタートアップであるReplit(レプリット)が、モバイルアプリ開発をこれまで以上に容易にしようとしています。新たに提供された機能群により、開発者は「作りたいアプリ」を言葉で説明するだけで、スマートフォン上でテストし、そのままApp Storeへシームレスに公開することが可能になります。これらすべては、Replitのウェブサイトおよびモバイルアプリ上で完結します[7]。この新サービスは、創造性を阻んできた障壁を取り払い、アプリ内にマネタイズ機能を組み込むAIファーストな新世代ビジネスの創出を後押しする可能性があります。 

プロの開発者市場を主戦場とし、昨年ランレート収益が10億米ドル[8]を突破したCursor(カーソル)のような他のコーディングエージェント企業と比べると、Replitは、優れたアイデアを持ちながらも技術的スキルが不足している非開発者層を力強く支援する立ち位置にあります。Replitのアーキテクチャはクラウド上で稼働し、ユーザーアプリケーションの構築からホスティングまでを一貫して提供します。

Replitは、約4,000万人のユーザーから支持を集め、年間換算売上高を前年初めの280万米ドルから15,000万米ドルへと急拡大させました。これは、9月に発表された30億米ドル規模の資金調達ラウンドを前にした水準です[9]

 

3. Tesla、ドライバー不要の瞬間が示す重要な節目

By Tasha Keeney, CFA & Daniel Maguire, ACA | @ARKInvest
Autonomous Tech & Robotics Team

 

先週、重要なマイルストーンに到達したTesla(テスラ)は、米テキサス州オースティンにおいて、安全ドライバーが同乗しない完全自動運転のライドヘイリングサービスを、少数の車両で開始しました[10]。これまで一般向けに展開されてきた自動運転サービスでは、助手席に人間のオペレーターが同乗していました。 

一部の観測筋は、同社が「チェイスカー」(自動運転車の後方を人間が運転する車両が追走し、問題発生時に介入できる体制)を用いている可能性を指摘しています[11] Waymo(ウェイモ)も商用化初期段階においてチェイスカーを導入していましたが、これはコストのかかる戦略的運用でした[12]

現在、商用ロボタクシーの走行マイル数ではWaymoが先行していますが、長期的にはTesla2つの構造的優位性を享受すると考えられます。ひとつは、約800万台に及ぶ車両フリートから得られる圧倒的なデータ優位性、もうひとつは、迅速なスケール展開を可能にする製造面での優位性です。

ARKのリサーチによれば、ロボタクシー・プラットフォームは2030年までに約34兆米ドルの企業価値を生み出す可能性があります。この予測に対するリスクのひとつが供給サイドです。Teslaを除くと、自動車メーカーの多くは、意味のある規模でロボタクシーを生産する明確なコミットメントを示していません。例えば、Waymo2018年に約8万台の車両を取得する契約を発表しましたが、現在稼働している車両は約3,000台にとどまっています[13]。さらに踏み込んで言えば、WaymoZeekr(ジーカー)との提携は、年間数万台規模への拡大を目指すものですが、Tesla2027年末までに年換算300万台の生産体制に到達する計画です[14]。目標と大規模展開とのギャップを埋められるかどうか。特に自動車メーカーとの提携に依存する企業にとって、これが最大の課題となります。

 

 

 

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[1] OpenAI. 2026. “Release Notes."

[2] OpenAI. 2026. “Our approach to advertising and expanding access to ChatGPT."

[3] Marketplace Pulse. 2026. “ChatGPT's 4% Fee Confirms Marketplace Economics.”

[4] ARK Investment Management LLC. 2026. “Big Ideas 2026."

[5] Grous, N. and A. Kim 2024. Generative AI: A New Consumer Operating System.” ARK Investment Management LLC. Magna. 2025. “MAGNA RELEASES U.S. ADVERTISING FORECAST SPRING 2025 UPDATE.” Prasanna, V. 2024. “Armed With Purchasing Agents, Digital Wallets Could Turn One-Click Checkout Into One-Query Purchases.” ARK Investment Management LLC.

[6] Coatue. 2026. “C:\Takes. Quick Takes on Trends Driving Markets. Chart of the Day 01.23.2026.”

[7] Replit. 2026. “Idea to App Store in minutes."

[8] Cursor. 2025. “Past, Present, and Future.”

[9] Replit. 2025. “Replit Closes $250 Million in Funding to Build on Customer Momentum."

[10] Elluswamy, A. “Robotaxi rides without any safety monitors…” X.

[11] Inside EVs. 2026. “Elon Musk Promised Self-Driving Cars For Years. Tesla Finally Started Robotaxi Rides With No Safety Monitors.”

[12] Keeney, T. 2021. “Waymo Snafu Points to the High Costs of Servicing Its Autonomous Vehicles."

[13] Seabaugh, C. 2018. “Waymo Adds 20,000 Autonomous Jaguar I-Pace SUVs to Test Fleet.” Prince, R. 2018. “Waymo Orders 62,000 Chrysler Pacificas for Self-Driving Service.” Wide Open Spaces. Cunningham, M. 2025. “Waymo recalls more than 3,000 vehicles over faulty software following school bus violations.” CBS Newsも参照。

[14] Earnings Call Insights. 2025. “Tesla targets 3M vehicle production within 24 months as full self-driving expansion accelerates. Seeking Alpha. The Waymo Team. 2025. “Scaling our fleet through U.S. manufacturing.” Waymo Waypointも参照。

 

 

 

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