By Max Friedrich

前回のリサーチレポートでは、SquareCash Appは米国南部の州において現在特に人気が高まっていることを紹介しました。過去4年間のGoogle検索トレンドデータをCash AppVenmoで比較してみると、Cash App2017年後半に南部州で大きな市場シェアを獲得したことがわかります(下図参照)。

 

Rise-of-Cash-App-Loop_NEW-1

Cash Appは、2017年に行なった複数の商品投入やマーケティング展開を受けて急速に普及が進んだ感があります。Squareは、20175月にCash Appに予め入金された残高に連動したデビットカード「Cash Card」を投入し、その後にCash Cardを使ってATMで現金を引き出せる機能を導入しました。201711月には、Cash App内でユーザーが手数料無料でビットコインを売買できるようにしました。

また、重要なポイントとして、Cash App20178月に毎週金曜日に抽選で賞金が当たるマーケティング・キャンペーン「Cash App Friday」を開始しました。ARKのリサーチによると、Cash App Fridayは新規ユーザーの獲得に大きな効果を発揮してきたようです。

そうした流れを受けて2018年になると、銀行口座非保有率が高いアトランタなど、低所得者層の多い都市でCash Appが人気を集めていると報じられるようになりました。同社CEOJack Dorsey氏は、「人々は[Cash Appを]メインの銀行口座として使っており、一部のケースでは、それしか銀行口座を持っていないという人もいます」とコメントしています。ARKの前回のリサーチレポートで説明したように、Google検索件数でみたCash Appの普及状況と、米国連邦預金保険公社(FDIC)の調査による銀行口座非保有世帯比率を比較すると、Cash Appの普及が進んでいる地域と非保有比率が高い地域が重なっているのは印象的です。また、Cash Appが普及している地域は、FDICが発表しているマネーオーダー(郵便為替)やペイデイローン(給料を担保とした短期小口ローン)などの代替金融サービスの利用率が高い地域とも一致します(下図参照)。

Cash Appはすでに年間売上5億ドル規模のビジネスへと成長していますが、銀行口座非保有層は米国で現在も2000万人にのぼるほか、言うまでもなく世界中にも存在することから、今後も事業が拡大し続ける見込みです。

 

188_02[1]

 

 

 

PDFをダウンロードする

 

 

Max Friedrich

About the author

Max Friedrich Read more articles by Max Friedrich