By Brett Winton
インパクト投資:イノベーションは国連の「持続可能な開発目標」への前進を加速させるカギとなるか?
この白書をお読みいただいている現在、7億人を超える人々が極度の貧困のなかで暮らし、栄養不良の状態にあり、基本的な飲料水へのアクセスを持たず、電気のない生活を送っています。2億人を超える人々がマラリアにかかっており、5人に1人の子供は学校に通っておらず、読み書きができない大人の数は7億5千万人(その3分の2は女性)に上ります1。世界の都市では、人口の4分の1がスラム街に暮らしており、9割の人々が汚染された空気を吸っています2。一方で、先進諸国の経済成長は深刻な犠牲を伴ってきたと言えるかもしれません。過去一世紀にわたって海洋水の酸性度が26%増すとともに気温が華氏2度上昇しており、両傾向ともペースが加速している模様です3,4,5。このような悲劇的状況にもかかわらず、世界の地政学的対応は甚だ不足しているように見受けられます。
2015年、国連総会は17の「持続可能な開発目標」(SDGs)6を設定し、同目標に対するコミットメントを表明しました。これらの目標は、2030年までに貧困を終わらせ、地球を保護し、経済成長を持続させ、平和と繁栄の基盤を築くことを目指す協調的な取り組みです7。当社では、以下に示す通り、同17目標を「経済の収斂」、「健全な経済成長」、「環境へのアクション」、「未来への基盤」という4つの幅広いサステナビリティ(持続可能性)戦略分野に整理しました。