By Tasha Keeney

213日にカリフォルニア州フリーモントにおいて、ARKのポッドキャスト番組「FYI –For Your Innovation」のゲストにイーロン・マスク氏を迎えて対談を行ないました。世界の電気自動車(EV)市場に関するマスク氏の見通し、テスラ社の自動運転戦略、その戦略に関する誤解、他の自動車メーカーへのプラットフォーム公開に関する意向について議論しました。そこから学んだ重要なポイントの一部をご紹介します。

 

EV販売台数に関するマスク氏の見通し

ARKでは、バッテリーの生産能力の拡大に伴なって、2023年にはEV販売台数が2018年の130万台から2,600万台へと増加する可能性があると予測しています。[1] そうした加速度的な成長を遂げる可能性について、マスク氏は同じ意見を持っており、テスラ単独でも生産台数を昨年の24万台から2021年には150万台へ、2023年には300万台へと急拡大できると予測しています。EV電池生産量で世界第1位のテスラは、EV生産台数のポテンシャルを示す重要なバロメーターとなっています。

 

「オートパイロット」の今後に関するマスク氏の見方

マスク氏は、テスラの「オートパイロット」が今年の終わりまでに自動運転機能の「完成形」になると確信しており、また、2020年の終わりまでには、人々がオートパイロットにすべてを任せ、出発点から目的地までの移動中に寝ることができるようになると考えています。ただし、そのための規制当局の認可はまだ得られていません。規制当局の認可を得るためには、テスラは、同社顧客が運転する自動車から収集された何十億マイルにも及ぶ走行データをもとに、人間の運転よりもオートパイロットによる移動の方が安全 であることを示せなければなりません。マスク氏が言うように、規制当局はデータを重視しています。

実際の道路を走行するテスラ製自動車の数が増加するにつれ、同社が収集するデータは加速度的に増加しており、その巨大なデータベースには、「ハリケーン、火災、煙、ほこり」などの、発生確率は低いが発生すれば走行に大きな影響を及ぼす事例も含まれることから、オートパイロットの性能も加速度的に向上していくとみられます。データ収集でテスラに太刀打ちできる競合他社はいないと思います。例えば、第1世代および第2世代のオートパイロット・ハードウェアを搭載したテスラ製自動車から収集した累計走行データは、現在80億マイルに及びますが、一方でウェイモ社製自動車から収集された累計走行データは2018年10月時点で約1,000万マイルでした(テスラが800倍多い)[2]。テスラ車のオーナーがオートパイロットの車を運転するたびに、彼らはシステムに対し、さらなる改善のための情報を自動的に与えているわけです。イーロンによれば、このプロセスはまた、人工知能(AI)を鍛え上げる上で最も時間のかかる、人の行動の類型化のプロセスを簡単にしていきます。

テスラはこれまで自ら掲げた期限までに目標を実現できてきていないことが多いですが、ARKでは、自動運転アルゴリズムの向上ペースを正確に予測することは不可能であることも認識しています。世界全体での自動運転関連企業への投資機会については、現在の株式市場ではあまりにも過小評価されていますが、仮に自動運転の普及にARKの予測よりも2倍の期間がかかり、実用化が当初予測の2019年ではなく2021年になるとしても、現時点で時価総額1兆ドル規模に達していて然るべきと言えます(ARKの基本シナリオでは2兆ドル規模と予測)。[3]

 

テスラに関する誤解に対するマスク氏の意見

マスク氏は、テスラのオートパイロットのAIスーパーコンピューターは世間からその価値を正しく理解されていないと考えています。ARKの推定では、昨年終盤に公開されたカスタムチップのスペックに基づくと、テスラは自動運転ハードウェアにおいてエヌビディアなど競合他社の3年先を行っています。この見方が正しいことを認めるように、テスラが3年前に開発に着手したチップは、置き換え予定のエヌビディア製システムに比べて2000%の性能向上が可能になる、とマスク氏は言います。エヌビディア製システムの 場合、テスラは現在、カメラからの画像データを処理する上でフレームをクロップする(切り取る)、「ピクセルを曲げる」、コンテンツの解像度を引き下げる必要があります。一方、テスラ製ハードウェアであれば、カメラからのデータ画像をフル解像度およびフルフレームで処理できるようになります。

 

他の自動車メーカーによるテスラのプラットフォーム採用についてのマスク氏の考え

他の自動車メーカーがテスラのプラットフォームをもとに自動車を開発する可能性についても、マスク氏に質問しました。テスラの特許は、開放され利用可能になってから数年が経ち、すでに実際に用いられています。より最近では、ダイムラーがテスラと協議中であることを明らかにしたほか、ゼネラル・モーターズ(GM)がテスラのパワートレインの採用を検討しているとの噂も流れました。イーロンはパートナーシップの可能性を否定していますが、不必要な変更を要求されない限り、テスラのプラットフォーム、オートパイロット、スーパーチャージャーネットワークを他のメーカーに解放すると、イーロンは述べました。

 

 

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1. ARK Invest’sBig Ideas 2019, Page 44 (Available for download here:https://research.ark-invest.com/big-ideas-2019)

2. Sources: ARK Investment Management LLC, 2018, Data sourced from:https://waymo.com/ontheroad/,https://hcai.mit.edu/tesla-autopilot-miles/,https://hcai.mit.edu/tesla-vehicle-numbers/

3. ARK Invest’sBig Ideas 2019, Page 56 (Available for download here:https://research.ark-invest.com/big-ideas-2019)

 

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