By Sam Korus

ポルシェは今秋、同社初の完全電気自動車「タイカン(Taycan)」を発表しました。見た目については人それぞれの好みも多少ありますが、デザイン面においてポルシェは期待を裏切りませんでした。

新たな競合の台頭はテスラにとって悪いニュースであると主張する声もありますが、ARKではそうとは考えていません。タイカンの成功は、ポルシェだけでなく電気自動車(EV)業界、そして世界全体にとっても朗報となるでしょう。最も難しいのは、初のEVを購入してもらうように自動車購入検討者を説得することでしょう。タイカンを売るためには、ポルシェは同社のガソリン車よりもEVを買うべきと顧客に納得してもらわなければなりません。

電動ドライブトレイン(エンジンから駆動車輪への動力伝達機構)のメリットに納得すると、次に顧客は様々な電気自動車を比較して、それらの違いに目を向けられるようになります。そうなると、タイカンは見劣りします。テスラの旗艦車種「モデルS」に比べて50,000ドル(または50%)割高であるにもかかわらず、タイカンは主要性能指標の大半で劣っています(下チャート参照)。

 

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EVの比較では、タイカンのギアボックス(変速機)について見落としている場合がほとんどです。ギアボックスは複雑な機構の装置で、可動部品が比較的少ない標準的電動ドライブトレインのシンプルさとは正反対です。タイカンに搭載された2段変速機は、素早い加速とトップスピードの維持を可能にしています。興味深いことに、そのギアボックスによってさらに複雑な作りになっているにもかかわらず、タイカンは同等車種であるガソリン車のポルシェ911ターボまたはテスラ モデルSの性能を上回っていません(下表参照)。

つまり、ポルシェは、テスラと競争するためには機械式のソリューションが必要なほど、電動ドライブトレインが性能の足かせになっているようです。テスラの初代ロードスターは2段変速機を搭載する設計とされていましたが、耐久性不足を理由に最終的な生産段階でそれが除外されたことは注目に値します。とは言え、ポルシェは、トランスミッション技術の成熟度において2008年当時のテスラを大幅に上回っています。ARK社では、実際に運転を体験した顧客によるタイカンのレビューを心待ちにしています。

 

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