By ARK Invest
本レポートは、2021年9月7日にARK社のHPに公開された、英語による「Newsletters_#285」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。また、情報提供のみを目的としたものです。
1. 米連邦航空局がVirgin Galactic社を調査中
リチャード・ブランソンを宇宙に運んだVirgin Galactic社の飛行中に起きた事故を受けて、現在、米連邦航空局(FAA)が調査を行なっています。絵に描いたような完璧なフライトでしたが、宇宙船は予定していた軌道から外れ、着陸を危険にさらす可能性がありました。The New Yorker誌は、Virgin Galactic社のプロセスや手順の不備を痛烈に批判し、宇宙計画の安全性に懸念を表明した飛行試験ディレクターを解雇したことを指摘しています。
また、The New Yorker誌はVirgin Galactic社の戦略や技術を、競合他社であるBlue Origin社やSpace X社のものと対比しました。Virgin Galactic社では、非常に複雑なシステムを人間が制御しているのに対し、Blue Origin社やSpace X社ではそれらが自動化されています。ARKは、自動化はロケットに限らず、あらゆる乗り物の複雑なシステムの安全性や保障を高めるものと考えています。
2. Googleの「DeepConsensus」アルゴリズムは、言語ツールを使ってDNAシーケンスデータの精度を向上させる
先週、Google (GOOGL)とPacific Biosciences (PacBio, PACB)の科学者たちは研究と臨床の両方の用途でPacBioの高忠実度(HiFi)シーケンシングデータを改善するDeepConsensus (v0.1)と呼ばれる深層学習アルゴリズムを発表しました。DeepConsensusには、自然言語処理(NLP)を応用した機械学習の原理が組み込まれているのが特徴です。
1文字のミスでも誤診の原因となるため、下流の研究や臨床のバイオインフォマティクスのパイプラインでは、高品質のシーケンスデータを入力する必要があります。DNAシーケンシングは、それ自体がエラーを起こしやすいものです。エラーを最小限に抑えるため、シーケンサーは同じDNA文字を何度も読み取り、その信号を平均化してコンセンサス(合意)を得ます。
DeepConsensusは、一次解析と呼ばれるDNAシーケンス処理の最初のステップで、PacBioのアルゴリズム(pbcss)と一緒に動作します。このモデルは、音声認識アルゴリズムが文章の意味を解釈するように、配列されたDNA文字のストリームを処理します。例えば、NLPモデルでは、名詞に注目し、文中の「it」のような曖昧な単語に意味を割り当てることができます。同様に、DeepConsensusは、シーケンスリードの小さなセクションを関連するメタデータ*と一緒に比較して、データ生成時のシーケンスエラーを排除します。
エラーを排除することで、DeepConsensusは、より速く、よりコスト効率よく、より正確なHiFiリードを生成します。私たちは、研究者がHiFiの弱点を深く理解していたことが成功の鍵だったと考えています。具体的には、DNAの繰り返し部分の近くで発生するHiFiシーケンスデータの系統的な「ギャップ」を考慮した「ギャップ認識」手法を用いてDeepConsensusをトレーニングしました。
今後のDeepConsensusの改良では、チームはアルゴリズムを高速化し、広く普及させることを目指しています。将来的にロングリード・シーケンスシステムは、AIによる推論を加速させるためにGPUを搭載するものとみられます。
著者らによると、DeepConsensusのヒューリスティックな手法は、シーケンシングの実行中にまとめてバッチ処理された混合DNAサンプルをデカップリングするために使用されるアルゴリズムだけでなく、Oxford NanoporeDuplexのロングリードにも有効であると考えられます。これらのアプリケーションでは、わずかな違いを探すために、多くの類似したシーケンスの配列を揃えることが含まれます。私たちは、科学者がDeepConsensusの原理を生物学の他の課題にどのように適用するかを楽しみにしています。
*Subread partitionsは、ベースコール、パルス幅、インターパルス時間、信号対雑音比、およびストランドアイデンティティを含むテンソルオブジェクトです。
3. ゲイリー・ゲンスラー会長、SECがPFOF(ペイメント・フォー・オーダー・フロー)を禁止するかもしれないと発言
先週、ゲイリー・ゲンスラー氏がインタビューで、SECがPFOF(Payment-for-order-flow)の禁止を検討していると述べました。Robinhood、Schwab、Interactive Brokersなどの多くの手数料無料のリテール・ブローカーは、1株あたりの報酬と引き換えに取引注文をマーケットメーカーに流します。そしてマーケットメーカーは、買値と売値の差であるスプレッドから利益を得て、市場全体の流動性を高めています。
米国の規制当局は過去にPFOFを批判しており、リテールブローカーが個人投資家のための取引執行を最適化するのではなく、各社の報酬を最大化するために注文をルーティングするのではないかという懸念を示していました。ゲンスラー氏は最近のコメントで、マーケットメーカーは他の投資家が入手できない取引データにアクセスしていると考えていると付け加えました。
現在、リテールブローカーはPFOFを公開しなければなりません。例えばRobinhood社は、株式100株あたり約0.23米ドル、オプション1契約あたり約0.60米ドルを受け取っており、取引の95%を最良の取引価格(NBBO)以上で執行しています。これに対し、Schwab社はS&P500銘柄の取引の92.4%をNBBOと同等かそれ以上の価格で執行しています。
ARKの見解では、バランスの取れたPFOFは、個人投資家にとってより低価格でより良い執行をもたらしています。コミッションのような代替手段はうまく機能していません。とは言え、私たちは、投資家を保護するためのSECの取り組みを常に歓迎し、イノベーションと競争を促進し続け、最終的には個人投資家に十分なサービスを提供することを願っています。
4. NFTは8月に新領域に突入
8月、分散型マーケットプレイスのOpenSeaが月間取引で記録的な30億米ドルを超えたため、非代替トークン(NFT)の取引量が急増し、2番目に好調だった7月の2億4,800万米ドルから12倍以上に増加しました。
現時点では、3つのNFTカテゴリーがこの爆発的な成長を牽引しています。
- One-of-One Pieces:デジタルアート、ジェネレーティブアート、音楽、3Dレンダリングなど、複数のメディアを駆使したユニークな作品。
- アバター: CryptoPunksやBored Ape Yacht ClubなどのNon-of-Nコレクションで、購入者がソーシャルメディアのプロフィール写真で自分のデジタル人格を表現するために使用するもの。
- ゲーム内資産: ARKが先月取り上げた通り、購入者が「Axie Infinity」のようなプレイ・トゥ・アーンのゲームでプラットフォーム間で取引できるNFTベースのアイテム。
NFTの取引量は驚異的に増加していますが、多くの投資家はNFTの本質的な価値を理解するのが難しいと感じています。Loot(戦利品)と名付けられた新しいコレクションの発売は、その難しさを物語っています。Vineの共同創設者であるドム・ホフマン氏が制作したこのプロジェクトには、8,000個のNFTが含まれています。それぞれのNFTには、「ランダム化された冒険者の装備」が平文で記載されていますが、画像、統計、ルール、ロードマップなどは一切ありません。その代わりに、NFTを主張するコミュニティは、自分たちだけのアドベンチャーゲームで独自のNFTの使用例を作成します。Lootは発売から1週間足らずで、オリジナルテキストを基に作られた製品の熱狂に拍車をかけ、OpenSeaでは2億米ドル以上のボリュームを生み出しました。
“Play-to-earn”ゲームの台頭やアートの民主化に加えて、Lootは、NFTがデジタル資産の所有権を中心とした新しい形の社会的共同作業やコミュニティへの参加を可能にしていることを示しています。すでに、Budweiserや全米オープンに至るまでのブランドが、この新しい技術を使って顧客エンゲージメントの向上を試みています。
ARK’s statements are not an endorsement of any company or a recommendation to buy, sell or hold any security. For a list of all purchases and sales made by ARK for client accounts during the past year that could be considered by the SEC as recommendations, click here. It should not be assumed that recommendations made in the future will be profitable or will equal the performance of the securities in this list. For full disclosures, click here.